家畜改良技術研究所②
家畜改良事業団の家畜改良技術研究所を訪問しました。
そのことは弊ブログの9/6号に書きましたが、今回は続篇です。コ難しいですが、我慢して下さいね。
<脂肪の質について①>
融点がひたすら低ければ良い、というものではない。
脂が早く融け過ぎると食感は損なわれる可能性がある。
脂の「粘り」が在った方が食感は良いが、「粘り」つまり、融けた状態のものと融けていない状態のものが同時に在る状態にするには、融点が違う脂が混在している方が良い。
融ける脂、たとえばオレイン酸を極限まで増やすのは、いかがなものか。
<脂肪の質について②>
リノール酸やリノレン酸は良く融ける脂だが、味を損ねる可能性がある。
脂と糖が一緒に加熱された時に起こるメイラード反応=すき焼きが始まる時に出る、あの香りが出て来る反応を、リノール酸やリノレン酸は阻害し、良くない味の物質=アルデヒドを造ってしまう。
<牛の体の中の糖質~グリコーゲンについて>
牛の体内のグリコーゲンは量は多くはないが、加熱した時の香気に大いに関係しているらしい。
メスはオスよりグリコーゲンを多く持っている。(「ちんや」はメスのみ)
しかし産地から、と畜場へ運ぶ間に、牛に大きいストレスをかけると、このグリコーゲンが消費されてしまい、香気が出にくくなってしまう。
よって牛を運ぶドライバーは充分に注意しないといけない。
<熟成を進める酵素について>
肉を熟成させていると、牛の体内の酵素の働きによって、タンパク質がアミノ酸に分解され、旨みが増してくる。
その酵素は1種類ではなく、種類によって作用する速度が違う。
その種類の構成比率が牛の個体によって違う。
それで牛によって、はやめに3週位で旨みが増してくる個体と、しばらくしてから4-5週位かかる個体が在る。
その酵素の構成比率を決めるのは遺伝子型であるが、今のところ、その遺伝子型は特定されていない。
よって、今のところ、やはり牛は4週位熟成させた方が良い。
分っかるかなあ?
分っかんねえだろうなあ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.654日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。