家畜改良技術研究所
家畜改良事業団の家畜改良技術研究所を訪問しました。
以前に山形県畜産試験場を訪問した時のことは、弊ブログの4/14号に書きましたが、今回お目にかかった家畜改良技術研究所の研究員さんは、山形でお目にかかった研究員さんの前任の方です。
山形県を退任された後、改良技研に移られたというわけです。いずれお目にかかりたい、と思っていましたら、「すきや連」群馬メンバーの「鳥山畜産食品」さんがかねて懇意だと言います。改良技研は群馬県前橋市に在るのです。
早速鳥山さんのお世話で訪問することになりました。前橋市と言っても、山の上の方で涼しいですねえ。眺めも良いです。
さて、その改良技研さんですが、
スゴいです、科捜研みたいです。
と、申しましても、ホンモノの科捜研には行ったことはないんですけどね。とにかく、
DNA鑑定で、融点の低い脂を付ける牛が事前に分かるのです。
クールです。Cool Wagyuです。
脂肪を構成する脂肪酸の内、オレイン酸を中心とする不飽和脂肪酸の割合が多いと、その脂肪の融点が下がるのですが、どんな脂肪酸を体内で造るか、決めているのは遺伝子でして、その遺伝子の型を既に改良技研さんは特定しているのです。だからDNA鑑定で、融点の低い脂を付ける牛が、交配する前に分かるのです。
融点の低い脂であれば、食べた後に胃モタレしませんし、それに調味料や旨み成分が融けた脂肪と混ざって味がマイルドになります。
脂肪自体に味や旨味はありませんが、味がマイルドに成りますので、それを甘いと感じる人もいるようです。
Cool Wagyuです。世界に売り出す価値があります。
「ちんや」で「脂が甘い!」と言う方がいるのは、これです。常温で脂が融けるからですね。
一方、肉の見栄えばかりが良くなる遺伝子型も分かっています。
飽和脂肪酸が多ければ脂の融点が高く、肉がカチっと立って見栄えが良いのです。写真で良く見かけますが、人間の体温で融けないとモタレますね。
また畜産経営のコスパが良くなる遺伝子型も分かっています。短時間で霜降りが付く遺伝子も特定しているのです。
願わくば、Cool Wagyuを世界に売り出す時、見栄え重視やコスパ重視を止めていただきたいと思います。
日本でも外国でも、お肉は最終的にお客様を幸せにするものでなければならず、その為には、どのような牛なのか、極力分かった上で取引きしなければなりません。
日本国内はまだまだ、
肉の見栄えばかりを追う時代、
畜産経営のコスパばかりを追う時代、
ですが、それをそのまま輸出して欲しくはないですね。
・・・この日勉強してきたことがまだまだ在りますので、このブログにも書いて行きます。ご期待下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.651日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。