顔がいのち②

「人形は顔がいのち」の「吉德」さんの、新本社屋が完成し、お披露目会がありましたので、出かけてまいりました。

建物のことや、「吉德これくしょん」の展示室のことは、おとといの弊ブログに書きましたので、そちらをご覧いただきたいのですが、今日の話しは施工者さんのことです。

この日、「これくしょん」の他にもう1点印象的だったのは、お披露目会での施工者代表=清水建設さんのスピーチでした。副社長さんが登壇して、

「吉德」さんとのおつきあいは、むしろこれからで、この建物の寿命が尽きるまで面倒をみさせていただきます!と宣言しておられました。

うーむ。

そう言えば、清水さんはスーパーゼネコン5社の一角ですが、老舗でもありました。

富山出身の大工・初代清水喜助が日光東照宮の修理に参加した後、江戸に出て、1804年(文化元年)に創業したのでした。

二代目喜助の頃、幕府から「築地ホテル館」を受注(竣工は1868年(明治元年))、

続いて「第一国立銀行」を1872年(明治5年)に竣工させ、この建物は東京の新名所として人々に親しまれました。

「第一国立銀行」は外国人技師の指導によらず、設計施工すべてを二代目喜助が手掛けたそうで、つまり完全に日本人によって造られた最初の西洋館が、この建物です。

名所だったので、当時の多くの錦絵にもその姿を残しており、「ちんや」の所蔵版画にも、「築地ホテル館」「第一国立銀行」を描いたものが在ります。(アンダーラインの箇所をクリックで画像が見られます)

さて、話しを戻しまして、現代の施工者さんです。

建物の寿命が尽きるまで面倒をみる、とは見上げた姿勢です。

建てた建物に自信がなければ、そういう発言はできないわけで、仕事の質に自負がおありなのでしょう。結構なことです。

弊社も、建物の施工者・戸田建設さんの関連会社・戸田ビルパートナーズさんに、今でもお世話になっていますから、まずは安心ですが、1975年竣工と旧くなってきましたので、最近は結構維持するに苦心があります。

施工者とつきあい続けるという日本的方式は、コストの面では最安ではないかもしれませんが、コストだけが価値ではないと、この日のお披露目会が教えてくれました。

新「吉德」ビルの一般公開は、9月15日(月) 9:30からです。

追伸、

誠に勝手ながら、「ちんや」は9/1(月)~9/4(木)まで4連休をさせていただきます。ご諒承下さいませ。

このブログは予約投稿により、休まず更新して参ります。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.646日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: 憧れの明治時代,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)