都庁店

知人の新店がオープンした、というので行って来ました。
その御店は、とんかつ「伊勢」さんの「都庁店」。
? 都庁に食事する所なんて、在ったっけ?
たいていの行政サービスは区役所で用が足りますから、都庁に行く用事なんて、ほとんどありません。久しぶりに半信半疑で都庁に向かいましたら、在りました。本庁舎と議会棟の間の、扇型の「都民広場」の地下にレストラン街が在ったのです。
「2月9日都知事選挙!!!」と大書された垂れ幕を横目で見ながら、私は地下へ降りて行きました。
新店がオープンしてすぐはお忙しいだろうと思い、1週間ほどたってからお訪ねしたのですが、チラっと中を覗くと大盛況です。
しまった! 忙しい時間に来てしまったか。出直そうかなあ、
と思っていると、見つかってしまいました。
住吉さん、いらっしゃいませ!
御主人自らが現場に入っていて、
どうぞ、どうぞ、とおっしゃるので、申し訳ないことながら、開店記念サービスの「上ロース」をいただくことにしました。
いただきまして、トンカツが結構だったのは勿論ですが、感心しましたことが二つ。
「おろしポン酢」「八丁味噌」「カレールー」といった、調味料の小鉢が有料で売られているのです。
だいたい、こうした調味料は嗜好性のものですから万人が使うわけではなく、全員に出していたら無駄になります。御客様からリクエストがあったらお出しする、という方式の店が多いと思いますが、客は遠慮して頼まないことも多く、あまり使われない内に年月がたつと劣化してしまいます。で、いつの間にか在庫切れ、という結果になっていることが多いように思います。
でも欲しい人は欲しいんですよね。
調味料=タダ、という神話に捉われずに、多少の金額を課金する方式でも、こういう物が在った方が良いと思います。
特に私は食後の「胃モタレ」が気になる性分ですので、喜んで有料の「おろしポン酢」を注文いたしました。
それから、もう一点。店の方向性・顧客ターゲットを明瞭になっているのは良いことです。
「伊勢」さんのメニューの表紙には、こう書かれていました、
とんかつ「伊勢」は働くあなたを応援します。
新入社員も社長さんも、
お父さんもお母さんも、
営業マンも縁の下の力もちも、
ピカピカの彼もキュートな彼女も、
み~んなとんかつ食べて、
元気にがんばりましょう!
実に明瞭で良いですね!
世の中には、ウチの料理は誰が食べても旨いんだから、全員に食べて貰いたいんだよね!
と言う店がありますが、消費者心理とは、そういうものではないと思います。
この店は、まさに自分の為に在るような店だ!
とお客様が感じて初めて、その店は流行るのだと、私は思います。
そう感じながら10回この御店に通うと、そのたびにスタンプを押してくれるらしいのですが、スタンプが双六形式に成っていて、ゴールは、なんと伊勢神宮。
屋号が「伊勢」だけに伊勢国なのです。
スタートが日本橋でなくて都庁になっていて「・・・」ですが、まあ、そこは仕方ないか。

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毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)