遊興の波及効果
無駄な「箱物」を建設することは「国民経済の為に成る」と言われます。
花街で遊ぶことは「国民経済の為に成る」とは言われず、無駄だと言われます。
「国民経済」の為に成る理由として、土木工事は経済の広い範囲に波及効果があるからだ、と説明されます。
では、土木工事の波及効果は広くて、花街の遊興の波及効果は狭いでしょうか。
どうして、どうして遊興の波及効果はありますよ、結構。
食材を生産する、農家の方・漁師さん、
御酒の蔵元さん、杜氏さん、
酔えば食器を割ったりしますから、それを補充する陶器屋さん、漆器屋さん、
芸者さんの着物を売る呉服屋さん、髪結いさん、
お客さんだって着物を着ることがありますね。
芸に使う三味線や太鼓
洋靴で行く場合も、靴を脱ぎますから貧相な靴では行けませんね、靴屋さん、
酔って遅い時間になれば、タクシ―に乗りますね。ガソリン・スタンドまで。
ほら、結構あるんです。馬鹿になりません。
しかも、品質的に一流ばかりだという点が土木工事と決定的に違います。
もう一つ決定的に違うことが。
遊興=消費した本人の労働意欲が向上する、という点です。
「箱物」を建設してしまった役人や受注業者は、工事が終われば次の工事が降って来るのを待つのみですが、散財してしまった旦那さんは、
また今夜のように遊びたい!
と心に誓いますから労働意欲が向上するのです。ここがかなり違います。しかし、
無駄な「箱物」を建設することは「国民経済の為に成る」と言われます。
花街で遊ぶことは「国民経済の為に成る」とは言われず、無駄だと言われます。
ひどい場合、会合を花街の御店に設営するとクレームをつけられたりします。
「皆さんに参加していただきたい会ではもっと会費の安い会を行うべきだ」とか
「真面目な勉強会をやった方がいい。」とか。
けっ、真面目な勉強で経済が発展したことなんてあるんですかね。
事業意欲がそもそもなのだと思いますよ。
事業意欲が無くてOKな人は気楽ですな。
けっ。
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毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。