大正10年からの物語

旧臘のことですが、「すき焼き思い出ストーリー」のサイトに投稿がありました。

題して「大正10年からの物語」。

ある御家族と「ちんや」との三代に渡る御縁の物語です。

<以下に転載しますので、是非お読みください。>

先日お店に、両親 娘を連れて始めて伺った者です。P.Cで見つけ投稿させていただきました。

明治39年生まれの祖父が102歳で大往生したのは、2008年6月。その直前におじいちゃんの家の棚から、日記をみつけました。

ずっと読んでいくと、16歳の頃 東京に上京し 修業時代に 涙が出るほど修業先の祖母が無情で悲しかった時 そこの主人が上野の銭湯と帰りに当時有名の肉料理ちんやへ寄り食事を戴いた所、今日の労をねぎらい東京の修業は総て忍耐だと言われ、気持ちを取り戻し、今後如何なる事も耐えるのを心に誓った。と書いてありました。

この話しはおじいちゃんが生前 私の両親に何度も話をしていたようで、美味しいお料理と温かいお店に励まされたと。そして平成6年の敬老の日 (88歳の時)友人を国技館へ招待した時に、16歳で上京したとき 修業先の主人の教訓と温かい思いちんやさんの話しをしたら、その思い出の記念にとちんやさんに案内してくれて最高のすき焼きを戴きその味の甘さ、昔を思い出し忘れられない記念の一日であったと友人に感謝して記事にした。と書いてありました。

それを読んでから2008年7月 ミクシーの私の日記にこんなことを書いていました。

あれから時間を見つけては、打ち続けているおじいちゃんの日記

やっと4分の1ぐらいまできました。

何気なくパソコンでちんやっと引いてみた。

 

16才の頃上野の帰りにっと・・・ あれっ ある。

明治時代から店を構えていたちんやっというお店

これは是非今度行ってみたい・・・

なんて感激。

 

そして2~3年ぐらい前だったか? 浅草に用事があって来たとき、雷門に近づき、ふっと顔を上げたとき

あった~ここにあった~っとちんやさんの看板を偶然みつけ もしかしたらここかもしれないっと。お店を見に行ったら、すき焼き屋さんだったので間違いないと。それから、両親にその話をして、いつか行こうね。と心に決めていた。なかなかタイミングが合わず、そして今年になって 浅草にあるご縁ができ、やっとそれを実現できる日がやってきました。

それが2013、12、21 

日記をコピーして記念にとお店の方にお渡しすると、しばらくして、女将さんがいらしてくださり、丁寧に丁寧にご挨拶していただき、両親、特に母は涙ぐんで 喜んでくれました。

100年近く前におじいちゃんが訪れたところに来られて、とても不思議な気持ちになりました。おじいちゃんを支えてくださった温かいお店のおもてなしに感謝します。父は来年80歳になります。またちんやさんを訪れることを楽しみに、頑張ってくれることでしょう。そして娘もこのお店に来て こんな瞬間を一緒に経験でき、おじいちゃんのこと語り繋いで行ってくれるんではないかと・・私もとても温かい気持ちになれました。きっとおじいちゃんも天国で喜んでくれているんじゃないかと。

ありがとうございました。

<転載終わり>

その他の「すき焼き思い出ストーリー」40話は、こちらです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.405日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,今日のお客様 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)