年に一度の
成人の日の3連休が過ぎまして、「ちんや」の営業も平常モードに戻りました。今は繁忙期をなんとか乗り切った安堵感があります。毎年のことながら今年も楽はさせてもらえませんでしたが、まずは「やれやれ」です。
思い出しますと、「ちんや」に入ったばかりの頃、私は正月がイヤでイヤで仕方ありませんでした。
何故って、正月はひたすらスタッフに消耗を強いるガテンな現場で、連戦の疲労から生じるミスがとにかく心配でした。
特に、正月は15時とか16時とか半端な時間にもお客様がどんどん入るので、休憩というものがまったく取れないのが辛いところです。
また売り上げが作れるとは言っても、それは観音様の御利益なのであって、自分の力で売り上げた達成感が、ほとんどありません。それもイヤな点でした。
だから、まず「ひたすら」感をなくさないといけませんでした。
で、一組の御客様の食事時間を「2時間半(=150分)」と明確に定め、1日の動き方の見当をあらかじめ立てて行動するように心がけました。
あらためて計算してみますると、
(150分×3組)+(予約と予約の合間の時間30分×2回)=510分=8時間半です。
このように、すき焼き屋の個室1室は、1日にせいぜい3組の御客様が使うだけなのであって、「ひたすら」感は、そもそも在ってはおかしかったのです。
1日の動き方の見当をあらかじめ立てていなかったから、「ひたすら」感を感じていただけだったのです。
休憩の件も、1日の動き方がハッキリ見えていれば、短時間の休憩を取ることができるようになります。決まった時間の2時間半を使い切らずに帰ってしまう方も結構おいでですから、そこから次の予約までの時間に一息いれることが可能になります。
次に「達成感」のことですが、お客様のデータを蓄積してみましたら、かなりモチベーションが上がりました。毎年見えている方が実に多かったのです。
そこで「毎年」の方は赤字で予約帳に書き込み、「毎年ありがとうございます!」と挨拶するようにしました。そうしましたら、
ウチの家族は1月2日にここへ来るのが、年に一度の、何よりの楽しみなんだよ!
と言って下さる方も多く、実に励みになりました。
「観音様の御利益」は勿論在るのですが、弊店の実力もかなり評価されていたのです。
「毎年」がハッキリして来るとさらに嬉しいこともあります。その御家族にお子さんが生まれていたりします。
勿論逆も。去年は見えたお婆ちゃんが亡くなって今年は見えないということもありました。
存じませんで「おめでとうございます!」と言ってしまい、申し訳ない形になってしまいます。
ともあれ、このように「毎年ありがとうございます!」と挨拶する、ただそれだけで見えて来るものがあります=正月の、弊店での食事をいかにその御家族が楽しみになさっているか。
こうして、ひたすらな消耗戦に見えていた風景は違って見えて来ました。
勿論、そうは言ってもキツいものは今でもキツいです。
また繁忙期の間、目の前のことだけに追われて長期的視野にたった仕事は何一つできませんが、そこは諦めるよりないですね。
年に一度の、何より楽しみ~それに貢献するのはキツいものなのです。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.413日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。