木村荘八展

東京駅の「東京ステーション・ギャラリー」が改修工事を終えて、展示を再開しました。

その再開記念展は、

『生誕120年 木村荘八展』です。私も拝見して来ました。

「ステーションギャラリー」は以前から明治の開化絵展を開催するなど、近代日本の渋い美術に力を入れて来ましたが、再開記念展が木村荘八とは、あまりの渋さに、うーん、と唸ってしまいました。

荘八のことや、その生家の牛鍋店「いろは」のことを記憶している方は、今やかなり少数と思います。永井荷風の『墨東奇譚』の挿し絵画家と言えば、ああ、と思い出すかもしれませんが、正直、さほど有名ではありませんね。そこを突いたわけで痛快なことです。

そして、さらにこの展覧会の代表作品が、なんと『牛肉店帳場』(昭和7年=1932年作)なのです。チラシにも掲載されていて、驚きます。

さて、木村荘八(きむら・しょうはち)のことをあらためてご紹介しますが、洋画家・荘八は明治26年(=1893年)に東京・両国広小路の牛鍋店「いろは牛肉店」第八支店に生まれました。

荘八の父・荘平は、当時日本最大の牛鍋チェーン店「いろは」を経営し、「いろは大王」と言われた人物でした。

多数の愛人・妾がいて、東京市内20箇所にのぼる支店に、その愛人をそれぞれ配置して経営にあたらせたことが有名です。画家になった荘八は、その妾腹の第八子なのです。

荘八は、やがて浅草に在った第十支店の帳場をまかされますが、画業の夢を断ちがたく、帳場をしながら、絵も学んでいました。

やがて画家に成る夢を叶えますが、今回展示されている『牛肉店帳場』という作品は、その荘八の、若き日への追憶の結晶です。

「いろは」チェーンは、荘平の死後すぐに傾いてしまいました。しかし、この絵の中で今も活き活きと、戦前の猥雑さを漂わせながら営業しています。

皆さんも是非ご覧ください。

浅草を描いた作品も何点もあります。また戦後の『東京繁昌記』も見ごたえがあります。

展示は、5月19日(日)までです。

追伸①

雑誌『東京ウォーカー』2013年第8号の、新連載コラム「スギちゃんの愛される理由」の初回に、私が登場させていただきました。「長く愛されたいスギちゃんが、東京の老舗を訪れて愛される秘訣を探ります!」というコーナーです。是非ご購読を。

http://www.kadokawa.co.jp/mag/tw/

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は348人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.150日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。