江戸甘味噌
TV朝日『食彩の王国』を視ていたら、1回の番組に旧知の料理屋さん二人が登場し、嬉しくなりました。
浅草の「駒形どぜう」の渡辺さんと、横浜の「太田なわのれん」の青井さんです。
この2軒の共通項は、老舗だというだけでなく、「江戸甘味噌」を使っている、という点があり、「江戸甘」がテーマの回に揃って登場されたわけです。
「江戸尼」イヤ「江戸甘」は、一説によると徳川家康が「三河の豆味噌のように赤く、京の白味噌のように甘い味噌を江戸で作れぬか」と命じたことが始まりだとかで、その真偽はさておき、なにしろ300年の歴史がある味噌です。
贅沢にも大豆の1.5倍もの米麹を使うので、甘味が濃いです。ツヤのある赤褐色が目立ちます。
その「江戸甘」を「駒形どぜう」さんは「どぜう汁」に使います。
「どぜう汁」はどぜうが丸のまま入っている味噌汁で、この汁が駒形さんのコースの〆の「御約束」です。
一方、「太田なわのれん」さんでは、「牛鍋」の鍋の中に入れます。
今ではすき焼きに味噌を入れる店は少なくなりましたが、明治時代には結構多かったようです。明治元年創業の「なわのれん」さんは、この方法を今も護っておられます。
「ちんや」はご存知の通り、割り下だけですき焼きをしますので、味噌は投入しませんが、精肉売店で、この「江戸甘」を販売しています。
この番組で初めて知りましたが、この「江戸甘」は製法が贅沢なため、戦中・戦後の物資統制の対象になってしまい、一時生産を禁止されていたそうです。その後、関係者のご努力で復活しましたが、生産量は以前ほどでないようです。業界で「幻の味噌」と言われている理由が今回わかりました。
この味噌を売らせていただく者は、貴重な歴史を売らせていただいているのだなあ、と改めて感じました。
販売努力を続けたいものです。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は345人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.122日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。