空から日本を見てみよう

BSジャパンの『空から日本を見てみようplus』という番組に出演させていただきました。

この番組は、雲に乗った気分で各地を見てまわる、「新感覚空撮地理バラエティー!番組」でして、今回は「空から見る東京の下町」というテーマで、下町のおこり・変遷・現在を歴史的・地理的観点から紹介する、という内容です。

私がインタビューされましたのは、

・浅草にすき焼き屋が増えた理由

・狆屋からすき焼き屋へ事業転換した理由

結構長時間のインタビューでしたが、例によって大幅カット。ごく短時間の出演でした。

そこで今日は、その内容つまり放送されなかった、『空から見てみよう』をここで公開いたします。

さて、浅草にすき焼き屋が増えた理由ですが、

これは特に深い理由はなく、結果的にそうなっただけと思われます。

明治5年~15年頃に、牛鍋屋の流行がありまして多数の店が開業しました。 既に明治10年には東京府下に488軒もの牛鍋屋があった、と言いますから、かなりすさまじいブームだったようです。

この時期が、浅草の繁華街としての全盛期に当たっていて、浅草は日本随一の繁華街でしたので、店を開業しようとする者は、場所として浅草を選んだと思われます。

すき焼きとか洋食は、その時代の新文化・新ビジネスですから、ビジネスとして成立させるために、経済力のありそうな土地へ出るのは当然のことで、幕末から江戸随一の盛り場だった浅草に店が出来たのは、当然の成り行きと思います。

例えば、今半さんと米久さんは、地方から上京して来て、浅草を選んで開業しています。

逆に弊店のように、以前から浅草で商売をしていたのが、牛鍋の大ブームを見て、商売がえした者もいます。

浅草が栄えていたので、狆屋をやるより、飲食店の方が儲かると考えたのでしょう。

そう、手前どもの御先祖は、江戸時代に浅草で狆屋をしておりました。犬の狆(ちん)ですね。

当時の大名家や豪商などは、ペットとして狆を飼う習慣がありました。

現代でも犬を可愛がる方がおいでですが、狆もたいそう可愛がられたそうで、狆の墓があったりする位です。

その狆の、良い血統を、手前どもの御先祖が押さえていたようでして、現代風に言えば、狆のブリーダーですね。そして、売った狆の具合が悪くなれば獣医として治療したりもしていたようです。

それで「狆屋」だったのです。

その狆屋を、手前どもの御先祖は江戸時代から浅草でしておりましたが、明治時代になりまして、すき焼き屋(牛鍋屋)に商売変えしました。

理由を書いた書類はありませんので、想像するのみですが、犬の趣味が変わったことが大きいのでは、と私は思っています。

添加泰平イヤ天下泰平の江戸時代には可愛いペットが愛されました。特に狆を飼うのはお旗本の奥方とかでしたから、狆は女性イメージの犬でした。

ところが、続く幕末・明治は戦争や政争が続く騒乱の時代ですから、世の中の犬の趣味が変わりました。

上野の西郷さんは犬を連れていますが、狆ですか?違いますね。

西郷さんは猟犬を連れて、野山を歩き回るのが趣味だったようですが、そういうワイルドな世相の時代に狆は可愛い過ぎで、かつ旧時代のイメージに見られたと思います。

要するに、時代が変わって、商売としての「狆屋」の将来性が脅かされましたから、手前どもの御先祖は、狆を捨てて、牛鍋に走ったものと思います。

明治時代に入り、往来が自由になり、鉄道や汽船も出来て、浅草は栄えていました。江戸時代から栄えていましたが、一層栄えるようになり、全盛時代を迎えます。

その浅草に店を構えているのですから、狆屋をやるより、飲食店の方が儲かると考えたのでしょう。

あくまで想像ですが。

ところで幕末・明治に浅草が全盛時代を迎えた理由ですが・・・

え~この話しはだいぶ長くなって来たので、明日に続きます。

<春の臨時営業(火曜営業)のお知らせ>

春の観光シーズンをむかえ、下記の日は火曜日ですが、営業いたします。

どうぞ御利用下さいませ。

平成25年3月19日(火)お彼岸

平成25年3月26日(火)隅田公園桜まつり

平成25年4月 2日(火)隅田公園桜まつり

平成25年4月30日(火)GW連休

*個人的には3/13-4/8まで28連投ですが、頑張ります!

追伸①

藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は336人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.109日連続更新を達成しました。あと2日で1.111日連続更新です。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。