牛肉誰のおかげで
西友の、すき焼きのテレビCMをご覧になりましたか?
「牛肉 誰のおかげで篇」というバージョンが、この所しきりと流されていますよね。
このCMは、夫婦・息子・娘の4人家族がすき焼きを囲んでいる所から始まります。
父が直箸で鍋をかき回すと、残りの3人が、
何やってんだよ!
やめてよ!
と文句を言います。
それを聞いた父は「誰のおかげで、こんな肉を食べられるんだ!」と机をたたいて怒りますが、
西友のおかげでしょう!
という娘の反論に父も納得してしまう、という筋です。
最後に「国産黒毛和牛切り落とし100g297円」と価格が提示されて終わりです。
ここに描かれている、
・家族内なのに直箸を忌み嫌う子の態度
・父親の労働に敬意を表さない子の態度
を不快に思う方もおいででしょう。
しかし、まあ、これは諷刺なわけで、CMの本意はむしろ裏返しの、
・家族の中では直箸で行こうよ。
・父親の労働に敬意を表そうよ。
というメッセージです。子の役にわざと可愛くない男女がキャステイングされていますから、そうと分かります。
ですので、これを視てすぐ怒り出すのは野暮と申すものです。
それ以前に、家族揃ってすき焼きというイメージが、しっかり今でも現存していることを、私は嬉しく思います。
ここで現代の食の風景を眺めてみましょう。
親は残業や共働き、子供は塾通いやお稽古事と、親子の生活サイクルが噛み合わなくなるのと並行して、外食産業・中食(なかしょく)産業が発展しましたので、子供がコンビニ弁当やおにぎり、ファーストフードのハンバーガーなど出来合いの食べもので済ませる傾向が強まっています。
所謂「個食」「孤食」という現象ですね。
その傾向を歓迎している人などいないでしょう。しかしサービス残業を断れない労働環境の中で、団欒を諦めてしまっている人が多いのだと思います。
たまに親子が揃う場面ではなんとか幸せな食事をしたい、すき焼きを諦めたくない、という願望が映像に表現されるのなら、それは嬉しいことと申せましょう。
残る問題は、価格が安すぎること。
デフレ脱却も諦めたくはないですね。
ところで今日は当然3.11の日であるので、ブログを続けている者としては、何かコメントした方が良いのだとは思います。
でも、今残っている課題は、あまりに重くて、私が建設的なことを書ける気がしません。
ただ思いますことは、二つ。
一つは、放射能で家を追われた方への対処が薄情過ぎないか、ということです。
「家の周りは国費で除染するので帰りなさい」では帰れないですよ。山林は除染しないんですから。
こうした方々には除染だけでなく、近くの別の地域にも家を用意して差し上げる、つまり家2軒が必要と思います。
もう一つは、なんだか、活きた金の使い方がされている感じがしない、ということです。
活きた金とは、金だけでなくて、それに能力・意欲がある人が付いている金のことです。
除染をするにしても、世界的な除染技術の研究センターを作って、そこに世界中から技術者を集める、とかできないんでしょうか。
そうでもしないと、この事故を「世界の教訓」にすることが出来ないと思うんです。
とにかく除染・とりあえず除染、みたいな除染だけが行われている現実に失望を覚えている人は私だけではないと思います。
結局残念ながら、このくらいしか書けないので、終わりますね。お粗末様でした。
追伸①
BSジャパンの、『空から日本を見てみようplus』に出演させていただくことになりました。
雲に乗った気分で見てまわる「新感覚空撮地理バラエティー!番組」です。
今回は「空から見る東京の下町」というテーマで、下町のおこり・変遷・現在を歴史的・地理的観点から紹介する、という内容です。
3月12日(火曜)20:00~オン・エア予定。
是非ご覧ください。
http://www.bs-j.co.jp/sorakara/
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は336人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.103日連続更新を達成しました。あと8日で1.111日連続更新です。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。