櫂の雫も 

春爛漫ですね。

いや、爛漫でしょうね、皆さんは。

私は春の繁忙期ですので、バトルの最中です、当然。

しかも今年は花見とお彼岸が同時になってしまい、2002年以来のマズい事態です。大戦級のバトルの最中ですね。

でも、まあ、そんな話しは皆さんには面白くはないでしょうから、今日は桜を採り上げた音楽をご紹介しましょう。

それは、滝廉太郎の「花」です。

知ってるよ!♪春のうららの隅田川♪だろう!って?

ご存知なのは分かってますけどね、何しろ、私はこの歌を歌ってカラオケ判定の100点を獲ったことがありますので、意地でもご紹介します。それに最近、地下鉄浅草駅の電車発進の際の音楽が「花」に成りましたのでね。

さて1900年(明治33年)に発表された、この曲は当時隅田川で盛んだった漕艇(ボートレース、レガッタ)の様子などが歌われた歌です。

「櫂(かい)のしづくも 花と散る」の櫂とはオールのことなんですね。

「のぼりくだりの 船人が」と言うと、なんか、現代人はのどかな感じに読んでしまいますが、そういうイメージではないようです。

そう、この時代はもう明治も33年なのであって、日本は近代化の真っ只中でした。

「通人が屋形船で吉原へ」という情景ではなくて、早慶・帝大・高商のボートメンが颯爽と水面を走る様子をイメージしていただく必要があるのです。

ついでに申せば「花」は曲の調性もスポーツ風です。イ町長いやイ長調(Adur)で書かれていまして、「若き血」と同じです。

だいたい、「若き血」は変ロ長調(Bdur)と思っている人がおいでかもしれませんが、あれはブラスバンド向けに半音上げたものです。ブラバンの主力楽器は、変ロ(B)が基調のトランペットやクラリネット、ヘ(F)が基調のホルンですが、そういうB基調の楽器を使ってAdurの曲を吹こうとすると、♯が5個も付いてしまって非常に吹きにくいです。だから、

曲自体を半音上げて、Bdurにしてしまえ!そうすれば♯も♭も無しで吹けるぞ!

という実に乱暴なことをしてしまったわけで、皆さんはそれに慣れてしまっているかもしれませんが、やはり古典を知っている作曲家は、スポーテイーな曲は、かのベートーベンの「第七」=九曲の交響曲の中で最も躍動的な「第七」と同じAdurで書きたかったのだと思います。

だから「花」も「若き血」も「第七」もAdurなのだと思います。

さて、早慶レガッタに話しを戻しますが、

以前はまさに花見シーズンの最中に開催されていましたが、多数の酔客が堤防の上によじ登って観戦して危険なため、最近は桜の盛りとは時期をずらして開催されています。

またレガッタのために隅田川を封鎖してしまいますと、観光汽船が「花見船」を出すことができず、営業上の不利益が生じてしまう、という事情もあるようです。

粋でないですねえ。

そういう大人の事情で、レガッタの開催日は花の盛りとずれておりまして、「櫂のしづくも花と散る」情景を私たちは観ることができません。

今年の開催は4/21(日曜)です。

単独開催となり、大観衆が観ていた頃に比べると、チト寂しい様子ですので、当日お手すきの方は、是非墨堤へ足をお運び下さい。

♪ながめを何に たとふべき♪

(念のための注。二番、三番はレガッタの情景ではありませんね、勿論)

<春の臨時営業(火曜営業)のお知らせ>

春の観光シーズンをむかえ、下記の日は火曜日ですが、営業いたします。

どうぞ御利用下さいませ。

平成25年3月26日(火)隅田公園桜まつり

平成25年4月 2日(火)隅田公園桜まつり

平成25年4月30日(火)GW連休

追伸①

藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に登場させていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は336人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.116日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: 憧れの明治時代,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)