ラムネとサイダー

 ラムネの話しの続篇です。

 ラムネとサイダーのどこが違うか、ご存じですか。

 中身は、だいたい一緒だそうです。

 違うのは瓶でして、ラムネは昨日ご説明しました通り「玉栓瓶」。サイダーの方は、普通の王冠を使用しています。

 「だいたい一緒」と申しましたわけは、ラムネもサイダーも、いろいろな御味の飲み物の総称だからです。ラムネもサイダーも、カテゴリーの名前なのです、現状では。だから、 「だいたい一緒」としか言いようがないのです。

 え? ラムネはレモネードという英語が訛ったものなんだから、レモン風味の炭酸水なんじゃないの?・・・と思った方→ご尤もです。

 本来、ラムネはレモネードですから、レモン味かせいぜい柑橘系の味の飲み物のはずですが、それがですね、日本に渡ってきて独自の発展を遂げてしまいました。

 イチゴ味やメロン味は、まだ許せますが、

 ワサビラムネとか、紫蘇ラムネとかも存在するようです。

 うーん、ですね。

と、いうわけで、「ラムネとは、日本で独自の発展を遂げた、独特の容器に封入されたフルーツ系の風味のついた炭酸飲料」としか定義できなくなっている模様です。

 ワサビラムネや紫蘇ラムネは、この定義では苦しいですけどね。

 サイダーは、さらに曖昧です。

 サイダーの語源はシードル(=発泡性のリンゴ酒)ですから、アップル風味でなければオカシいわけですが、現在のサイダーはシードルとは別物ですよね。サイダーはアップル風味に限る、なんて思っている日本人の方が少ないでしょうね。

 ありとあらゆる、炭酸入りの飲料が、「サイダー」というカテゴリーに、ブチこまれています。

 私が子供の頃お世話になった、7up、チェリオ、スプライト、ファンタ、スカッシュ・・みんな「サイダー」類です。最近では「地サイダー」「ご当地サイダー」もいろいろありますね。

 王冠のついた炭酸飲料なら、なんでもOK、という感じです。

 そう言えば「トンカツ」も、元々の西洋料理とは違っています。

 輸入したものを日本風にするだけでなく、さらに自由に変えてしまうー日本人のやることには驚かされますね。私は、日本人の得意技は、自分の国の伝統をビシりと継承するばかりではないと思っています。

 IT時代の日本人も、頑張って、外人の創ったモデルをゆるゆるに変えてやったら、どうなんでしょう。

 元々の名前が「アップル」でも、ワサビ風味のiPhoneとか、紫蘇風味のiPadとかに変えちゃっても良いんじゃないですかね。

  スティーブ・ジョブズ氏の御逝去を、心よりお悔やみ申し上げます。

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飲み物世界遺産

 実は最近弊店の、ドリンクの品揃えを再検討しております。

 従来より地元志向を強化して、「どこにでもある物」より、「地元だけにある物」を売っていこうと考えつつあります。

で、思いつきましたのが、ラムネ。

 あの懐かしくも、スパークリングな飲み物です。

 残念ながら、三ノ輪のメーカーさんは廃業してしまいましたが、浅草から隅田川を渡ってすぐの所に、「興水舎」さんという、大正13年創業の老舗メーカーさんがあり、仕入れさせていただくことになりました。

 ところで、ラムネって何語か、ご存じでしたか。

 英語です。レモネードという英語が訛ったものです。

 ですので、当然ラムネは英国生まれです。「興水社」のK社長が見せて下さった、「日本清涼飲料業界史」なる、厚さが8センチもある御本をひもときますと、1843年に英国人のハイラム・コッドという人が「玉栓瓶」を開発し、その瓶にレモネードつまり炭酸水にレモン味を付けたものを詰めたのが起源だそうです。

 この「玉栓瓶」に詰められていることが、ラムネの大きな特徴です。

 ラムネ瓶には、上から5分の2ほどの位置にくびれが設けられており、口とくびれの間に「ラムネ玉」と呼ばれるガラス球が入れてあります。

 この瓶にラムネ液を詰めて、すぐさま瓶をひっくり返すと、内部の炭酸ガスの圧力で「ラムネ玉」が口まわりのゴムパッキンに押し付けられ、瓶が密閉されます。つまり炭酸飲料の中の圧力だけを利用して密封する仕組みなのです。

 ラムネ瓶が、あのようにユニークな形をしているのは、この瓶詰め方法を採用しているからだったのです。

 でも英国人は、このユニークな形の瓶を見捨ててしまい、今は日本人だけが使っています。

 見捨てられた理由は、その後に、王冠で炭酸水に栓をする方法が開発されたからです。そちらの方は瓶の形がシンプルです。一方のラムネは、瓶の形がユニークですから、当然造るのにコストがかかりますし、また洗浄も面倒です。

 しかし、なぜか、下町の日本人はラムネを造り続けています。しかも、瓶をリサイクルさせて造り続けています。ちょっと感動します。

 ラムネ瓶は、王冠を使う普通の瓶と異なり、栓(=玉)まで含めてリサイクルが可能です。カンペキな「リターナブル容器」と言えます。

 この厄介な瓶を使い続けていることは、日本人のmottai-nai精神の一つの現われ、と言って良いのではないでしょうか。

 いや、「飲み物世界遺産!」と言っても良いと思います。

 まもなく「ちんや」に登場です。請う御期待。

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電話の切り方

 一般常識の問題です。

 電話を切るのは、架けた人ですか、受けた人ですか?

 そりゃあ、架けた人ですよね、普通の電話は。

 でも「ちんや」内の業務用の電話は、受けた人が切ることにしました。最近そう決めました。受けた人が用件を復唱して、それから切ります。

 架けた人が、相手に頼みたい用件を早口で言って、すぐさまブチっと切ってしまうと、受けた人が、間違えて聞いてしまった時に困ったことになりますね。受けた連絡内容に疑問を持って「確認したいな」と思っても、ブチっと切られた後だと、もう一回電話を架け直すのが面倒です。

 浅草にある店ですから、当然忙しい日は忙しいのですが、忙しい日こそ、一個一個の仕事を丁寧にやらないと×です。

 間違いがあると、手間が数倍増えますので、間違いを減らすことこそ、最大のスピードUPですよね。

 例えば、こんな感じです・・・

(架けた人)お願いします! ○○コースの、ご飯・みそ碗・時雨が2、4階です!

(受けた人)はい、○○コースの、ご飯・みそ碗・しぐれが2、4階へ。OKです!(通話を切る)

 最初に「お願いします!」と言うのは、話し出しを統一しておかないと、受けた人が聞き取りづらいからです。

 また受けた人は「お願いします!」の間に、相手の声を聞いて、誰が担当かを耳で判別します。ここで判別してしまうので、後でわざわざ「誰が担当ですか」と尋ねる手間が要りません。

 時雨とは、牛の時雨煮つまり佃煮のことで、弊店ではご飯と一緒に召し上がっていただいていますが、シグレニが2!では早口言葉のようなので、こう略しています。

 皆さんも、いろんな状況でお試しあれ。

 お願いします! お八つの、コーヒーと茶うけが1、パソコン部屋です!

 お願いします! 夜食の、酒とつまみが1、キッチンです!

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すき家強盗

 大手牛丼チェーン「すき家」について、私はこれまで一切関心を持ったことがありませんでした。しかし、今回ばかりは関心を持たざるを得ませんね。

 なにしろ強盗被害が相い次いでいて、2011年に報告されている被害件数は、なんと一社で71件! 5日に一度は、全国どこかしらの店舗が被害に遭っているペースなのだそうです。

 9月上旬には埼玉の店舗で「恒例の『すき家強盗』だ。金を出せ!」と言いながら押し入った強盗がいたとか。これは、チト面白すぎるので創作かもしれませんが。

 結果、「すき家」の運営を行っている会社「ゼンショー」は、警察庁から指導を受けたそうな。特定企業の防犯体制について、警察庁が指導なんて聞いたことないですね。

 夜間はバイト一人の体制で、レジが必ず出口付近にあるのが良くないそうです。それも、従来交番から注意を受けていたのに、それを無視していたため、「指導」→「公表」ということになってしまった模様です。

 さらに、読売新聞が報じたところでは、この件について、「ゼンショー」の広報室長は「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい」と発言したとか。もっとも、この「発言」については、「読売」と「ゼンショー」は、言ったじゃないか=言ってないぞ、で揉めているようです。

 その、言った・言わないで揉めている最中の読売新聞に、19世紀イギリスの評論家ジョン・ラスキンの経済思想についての記事が載っていました。

 18世紀アダム・スミスに始まった経済学は、やがて人間を単なる経済的な利益を求める機械のように想定するようになりましたが、ラスキンは、その流れの経済学を批判しています。曰く・・・

 経済学者の誤りは、生きるとは快楽を追求することであり、労働は苦痛以外の何ものでもなく、冨とは苦痛を補い快楽を増す手段だと教えたところにある。

 あくなき冨=快楽の追求は、自然環境を含めた他者への配慮を二次的なものにし、共同体や地球の生活圏を脅かすことになろう・・・

 まさに今回「すき家」では、他者=アルバイトの体や、周辺の治安への配慮が「二次的」なものになっていたようですね。ラスキンから100年以上たってますけど。

 ところで今頃関心を持ったんですけど、美味いんですか、「すき家」の牛丼って?

 食いに行ってみようかな、夜中に。

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格言

  格言を言って聞かせましょう。

 百viewは一見に如かず!

「大事な方をお連れする」のは、勿論有り難いですが、そういう時は事前に下見をしていただきたいです。

 たしかに今時はネットに情報が溢れていますが、ランキングサイトのコメントを読んだだけで店を決めるのは如何なものか、と思います。あれは、とても主観的に書かれた文章ですから、書いたその人のニーズと、あなたのニーズが同じとは限りませんよ。

 店のことは書いてありますが、書き手その人のことは、たいてい書いてないですからね。分からないと思いますよ・・・

 いらっしゃいませ! 中へどうぞ。お靴は脱ぎっぱなしで結構です。

 ええ?! 靴を脱ぐの?!

 そうですが、何か? ああ、その靴下が問題ですか。スーツは上下ビシっと決めておいでなのに、靴下はミッキーちゃんですか。私は嫌いじゃないですけどね。御接待の時には、マズいですねえ。

 靴を脱ぐってサイトに書いてなかったですよ(怒り!)

 いえ、書いてありますよ、手前どもの公式サイトには。ひょっとしてランキングサイトのコメントを読むのに忙しくて、肝心な所を読み落としましたか。ご愁傷様です。私の靴下をお貸ししましょうか・・・

・・・(中略)・・・

 ええ?! 一人ずつ、すき焼きかしゃぶしゃぶかを選べないの?!

 はい、お鍋1台を3〜4名様で囲んでいただきます。

 聞いてないよ(烏賊り!イヤ怒り!)

 そうおっしゃいましても、この机1台の上に、鍋4台と肉皿4枚とザク皿4枚と玉丼4個としゃぶタレ入れ8個と薬味一式と灰汁取り鉢を置くのは、無理です。

 ゲストの方はバラバラに頼みたいんだよ!客が好きなメニューを選べない店なんて聞いたことないぞ(怒り!)

 そうおっしゃられても、できません。だいたいですよ、鍋4台使うには、ガスのホースを4本引かないといけないわけですが、机1台にガスホース4本なんて、とっても無理です。事前に一回でも下見をしていただければ、お分かりいただけたはずですけど。(あーあ、言っちゃた。)

 格言を繰り返します。

 百viewは一見に如かず!

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日本酒、と醤油を愉しむ会

 つくば市の「ホテルグランド東雲」さんで、「第6回茨城の日本酒を愉しむ会」があり、参加してきました。

 今回の私の参加目的は、醤油でした。

 はあ? 日本酒が目的じゃあないの?

 もちろん日本酒も目的ですよ。でも、この日使われる醤油も期待していました。

 実は10/7に、茨城県酒造組合さんが「浅草はなやしき」で「地酒まつり」という大イベントを開催されたのですが、その帰りがけに「東雲」のI社長が、弊店の売店にお立ち寄り下さり、販売している醤油をお買い上げ下さいました。

 その醤油を、今回の「日本酒を愉しむ会」のお料理に使って下さったのです。

 数あるお料理の中に「常陸牛ステーキご飯」という、小さな丼のようなものがありましたが、このステーキの味つけに、弊店で販売している「藤野醤油」の「有機こいくち醤油」使って下さいました。

 しかも、会場の皆さんに「ちんや」で買った醤油だとご紹介下さり、有り難いことでした。

 「藤野醤油」さんは、「醤油づくりは、原料づくり」ということで、女性の蔵元さんが、原料の有機栽培にこだわっています。お味もバランスが良い、結構なものと思っていますが、ご評価いただいて、嬉しく思いました。

 さて、日本酒の方ですが、

「白菊酒造」さん(石岡市)

「結城酒造」さん(結城市)

「宏和商工」さん(日立市)

の三蔵でした。

 「東雲」のI社長は「茨城の蔵元を全軒、自分の店で紹介する!」という志を立てられて、「日本酒を愉しむ会」を連続して開催しておられます。既に今回で6回目ですが、茨城県内に蔵元は50軒以上有るとかで、遠大なプロジェクトです。

 毎回、蔵元さんご本人が出席され、自慢の御酒を出されるので、大満足・大盛況です。

 日本酒の消費は落ち込む傾向が続いていますが、まだまだファンがたくさんいるのだなあ、と実感できます。

 今回の御酒もそうでしたが、最近の傾向として、生原酒や古酒が出品されることも多く、酒の搾り方もいろいろ瓶に表示されていたりして、楽しみ方のバラエテイーが増えてきたなあ、と感じます。

 今後も楽しみです。

追伸

 今回は、無事に浅草へ帰り着きましたよ、はい。

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ノンアルコール・ワイン

 今日は何の日でしょう?

 毎年10月15日は「日本記念日協会」公認の、『すき焼き通の日』です。

 2008年のこの日、向笠千恵子先生の御本『すき焼き通』(平凡社新書)が刊行され、その出版祝賀会が、「ちんや」で開催されました。

 やがて、その祝賀会に出席したメンバーを中心に、すき焼き店とすき焼き愛好家の団体「すきや連」が誕生。

 すき焼きの、美味しさと楽しさをアピールする日として、この日を記念日登録いたしました。まあ、私が登録申請したんですけどね。さて、

 先日テレビの情報番組のトレンド・コーナーで、ノンアルコール・ワインの特集をやっていました。

 ノンアルコール・ビールが売上げ好調なのを見て、ノンアルコール・ワインも売り出し攻勢をかけている模様で、酒屋さんでも大きなスペースを割いて陳列しているのだとか。それがトレンデイーで便利なこととして、「絶賛」の勢いで紹介されていました。

 私は、酒の拡販に心血を注いでいる方を何人も存じ上げていますので、この番組を見て、とてもブルーな気分に成ってしまいました。

 話しをワインに戻しますが、

 ノンアルコール・ワインって葡萄ジュースのことじゃないの?

と思った方もおいでと思いますが、残念ながら、違います。

 ワインができる醸造の工程を思い出していただくと、ジュースの中の糖分は醗酵することでアルコールに変わります。ノンアルコール・ワインの糖分は、その醸造後の方の糖度でないといけないわけです。元のジュースと同じというわけにはいきません。

 さらに、やはり醸造中にできてくる、アミノ酸や酸も、できるだけワインと同様でないと、ワインの味になりませんね。

 いったん、ワインとして醸造した後、アルコールを除去するそうで、方法は膜を使ったり、ガスを使ったりと、いくつかあるようです。

 結構難しいですよね。ご出演の醸造部長さんは、相当苦心してお造りになったようです。

 さらに、です。どうせ、加工するのなら、「本格的なテイストを!」ということで、重みのある御味にするために、タンニンを入れます。

 担任の先生じゃあないですよ。

 有機化合物の「タンニン」のことでして、これは渋みを感じさせる物質ですが、それを補強するために、なんと、お茶を加えます。ワインの渋みもお茶の渋みも化学的には、タンニンで同じなのです。

 そうです、ノンアルコール・ワインは、実は葡萄ジュースではなく、葡萄茶だったのです。

 この配合を編み出した、醸造部長さんの御苦心には感服します。

 また、こういう飲み物があることで、酒の飲めない人が、楽しく酒席に参加できるのであれば、その人達を幸せにする商品であることは、間違いないのでしょうね。

 でも、うーん、ですよね。

 S菊酒造の若旦那なんかは、まったくの下戸でいらっしゃるけど、ウーロン茶だけで、三次会までつきあってくれますよ。

 

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日本語はなぜ美しいのか

  黒川伊保子先生の、「日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)を読みました。

  黒川先生はコンピュータ企業で人口知能開発に携わり、その後は脳と言葉の研究をされてきた方です。商品名の音と売れ行きの関係を書いた「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」が有名です。

 「日本語はなぜ美しいのか」によると、日本語は、ポリネシア語とともに、世界でまれに見る、母音を軸に音を捉える言葉なのだそうです。それに対して、その他のインド=ヨーロッパ語やアジア語は、すべて子音を軸に音を捉えているそうです。

  ほお。

  例えば、日本語で「コーヒー」は、「こ・お・ひ・い」ですが、英語では「ク・フィ」と聞こえます。「こ・お・ひ・い」と捉えるのは、日本人とポリネシア人くらいだそうで、距離的には日本に近い中国人も、「こ・お・ひ・い」とは捉えないのだそうです。

  母音を主体とする日本語は、「ああ!」「うっ!」「ええ?」「おお!」とった感嘆詞が母音であることからもわかるように、語感と人間の感情とが密接な言葉であり、そこが素晴らしい、というのが黒川先生の御説です。

  また、日本語は語感と風土とが密接な言葉でもあります。

  日本語の「朝」という言葉は、開放感のある「あ」、爽やかな感じの「さ」と発音されますが、それは、日本の朝が爽やかだからであって、緯度の高い土地なら、朝は暗くてドンヨリしていますので、「あ・さ」とは成らないのだそうです。

  たしかに、英語で「朝」は「m」「n」が入った「モーニング」で、随分感じが違いますね。

  日本語の素晴らしいのは、その、言葉が出来た時の語感を今日まで、連綿と伝えていることなのだとか。日本の東は大洋ですので、外部の影響を受けることが少なく、漢語や英語が入ってくる前の大和言葉は、独自の言語世界だったと考えられるそうです。

  へえ。なるほど。

  さらに、黒川先生は読者に、会話に親しみを感じさせるためには、母音や大和言葉を使うことを勧めておられます。

  「そう」より「ああ、そう」

  「そうですか」より「おお、そうですか」

が秘訣とのこと。

 逆に、

 「失礼します!」

 「感謝申し上げます!」

と言えば、ピシってなって、親しみはわきません。

・・・とここまで読んで、私は思いました。

 それって、ブログを書くコツだよね。

 お気づきの方もおいでと思いますが、このブログを多くの方に読んでいただくため、私は漢語や英語より大和言葉を使っています。

 「FAXを送信しました。」より

  「FAXを送りました。」と書きます。

  また感嘆詞も多用しています。しかも、

  「ほー」ではなく「ほお」

  「へー」ではなく「へえ」と書いています。

  実は黒川先生には、私のブログを、光栄にもお褒めいただいたことがあるのですが、そのわけが分かったような気がします。

  後は、ヨメ相手に使うだけです。

  「ああ、そう」

  「へえ」

  「ほお」

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チンザノは、お好きですか?

 チンザノは、お好きですか?

 チンザノとは、下戸の方のために念のため解説しますと、イタリアのトリノにあるチンザノ社が造るベルモット、別の言い方ではフレーバード・ワインのことです。

 ワインにハーブ、スパイスなどを加える、独自の製法により造られた酒です。

 正確なことを申しますと、チンザノ社はスパークリング・ワインも作っていてベルモット専門ではないのですが、ベルモットがあまりに有名なので、「チンザノ」と言えば、まずベルモットのことを意味します。有名なカクテル「マンハッタン」にも入っていますから、飲んだことがおありの方は多いと思います。

 お味はと言うと、ハーブの風味が強く、カラメルを加えてあるので、当然甘いです。

 なるほど、それで、そのカクテルの原料が、「ちんや」と何の関係があるのかって?

 そりゃあ、ありますよ。「ちんや」と「チンザノ」ですから。

 この所オヤジギャグ路線を歩んでいる私としては、最近チンザノが店で使えないものか、研究してみることにしました。カクテルには、学生の頃、いっときだけ興味を持ったことがありますが、それ以来久しぶりの研究です。

 でも、すき焼きに合わせてみて・・・

 うーん、やはり、チト、個性が強すぎるかなあ、チンザノは。

 どうしても食中酒よりは、食前酒か食後酒だけど、甘いからなあ、このままだと食前酒には、どうもなあ。何かいじった方が良いのかな・・・

と思案しながら、精肉売店を巡回していると、目の前に「しぼりゆず」が並んでいました。

 「しぼりゆず」と申しますのは、和歌山県古座川町の農事組合「古座川ゆず平井の里」さんが作っている商品の名前です。今「ちんや」の精肉売店で売っています。

 ゆずを搾っただけの、無添加の、100%ゆず果汁の商品です。

 しゃぶしゃぶにポン酢が御約束なように、脂っこい食べ物の場合は、少し酸味を利かせて食べるのも悪くないですね。

 そういう理由で、精肉売店で売り始めましたら、ポツポツと売れています。ところが、どうも「ちんや」の売店のお客さま方は、これを肉料理に合わせるより、炭酸で割って飲んだり、焼酎に加えているらしいのです。

 その報告を聞いた時、思いました・・・

 そうだ! チンザノに「しぼりゆず」を入れて、氷も入れて、カクテルっぽくしてみよう。

 これは大成功でした。

 何杯も、かぱかぱ飲むものではありませんが、食前の食欲増進には利くような気がします。

 我が家の夜食の前の、一杯として定着しつつあります。

 「ちんや」の営業の方には、ゼンゼン定着していませんが。

 「ちんや」で「チンザノ」を!

 「ちんや」で「チンザノ」を!

 イケてるんだけどなあ、このコピー。

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すき焼き川柳 結果発表

 川柳で、日本の食卓に笑顔を!

ということで、8月〜9月末まで「すき焼き川柳onツイッター」を募集しました。

 結果、 530もの多数の句をお寄せいただき、誠に有り難いことでした。しかも、全国各地からご投稿がありました。福岡、岐阜、新潟、愛知・・・

 ツイッターに投稿された句を、自社サイトにコピペーする作業だけで、あやうく筋肉痛になるところでした。

 募集を締め切りまして、早速、審査をするため審査員の皆さんにお集まりいただきました。審査したのは、浅草の有名店の皆さんです。

 @asakusaowariya さん(日本蕎麦『尾張屋』女将)

 @kaminarishigeさん(『常盤堂雷おこし本舗』工場長)

 @kikunorie さん(浅草芸者)

 @unosuke8 さん(神輿・太鼓『宮本卯之助商店』若旦那)

 @asakusa_8295 さん(もんじゃ焼『雷門おすぎ』若女将)

 以上の皆さんの投票により、賞を決定しましたので、お知らせします。

  超ウケ賞(1句) :ちんや御食事券20.000円

  すき焼きの 匂いにポチも 猫の声(黙爺様の句)

 大ウケ賞(2句) :ちんや御食事券10.000円

  嫁の分 肉確保する 姑(はは)心(あき嫁様の句)

  すき焼きを 近所にばらす 換気扇(鹿おとこ様の句)

 ややウケ賞(5句):ちんや御食事券  5.000円

  和牛だと 息子に喰わす 米国産(新富町様の句)

  三歳児 こんないい肉 早過ぎる(かきくけ子様の句)

  反抗期 すき焼きだけはついて来る(とっちん様の句)

  野菜・米 野菜・米・米 やっと肉(らおんぴん様の句)

  午前様 つつくすき焼き 肉は無し(あんちゃん様の句)

   どれも秀逸で、ニヤリとしてしまう句ばかりですよね。

 受賞された皆さん、おめでとうございました!

 そして、ああ面白かった。

 よし、お次は、ig-Sukiyaki賞の創設だ!

 今度は動画で投稿してもらおうかな。

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