日本語はなぜ美しいのか
黒川伊保子先生の、「日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)を読みました。
黒川先生はコンピュータ企業で人口知能開発に携わり、その後は脳と言葉の研究をされてきた方です。商品名の音と売れ行きの関係を書いた「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」が有名です。
「日本語はなぜ美しいのか」によると、日本語は、ポリネシア語とともに、世界でまれに見る、母音を軸に音を捉える言葉なのだそうです。それに対して、その他のインド=ヨーロッパ語やアジア語は、すべて子音を軸に音を捉えているそうです。
ほお。
例えば、日本語で「コーヒー」は、「こ・お・ひ・い」ですが、英語では「ク・フィ」と聞こえます。「こ・お・ひ・い」と捉えるのは、日本人とポリネシア人くらいだそうで、距離的には日本に近い中国人も、「こ・お・ひ・い」とは捉えないのだそうです。
母音を主体とする日本語は、「ああ!」「うっ!」「ええ?」「おお!」とった感嘆詞が母音であることからもわかるように、語感と人間の感情とが密接な言葉であり、そこが素晴らしい、というのが黒川先生の御説です。
また、日本語は語感と風土とが密接な言葉でもあります。
日本語の「朝」という言葉は、開放感のある「あ」、爽やかな感じの「さ」と発音されますが、それは、日本の朝が爽やかだからであって、緯度の高い土地なら、朝は暗くてドンヨリしていますので、「あ・さ」とは成らないのだそうです。
たしかに、英語で「朝」は「m」「n」が入った「モーニング」で、随分感じが違いますね。
日本語の素晴らしいのは、その、言葉が出来た時の語感を今日まで、連綿と伝えていることなのだとか。日本の東は大洋ですので、外部の影響を受けることが少なく、漢語や英語が入ってくる前の大和言葉は、独自の言語世界だったと考えられるそうです。
へえ。なるほど。
さらに、黒川先生は読者に、会話に親しみを感じさせるためには、母音や大和言葉を使うことを勧めておられます。
「そう」より「ああ、そう」
「そうですか」より「おお、そうですか」
が秘訣とのこと。
逆に、
「失礼します!」
「感謝申し上げます!」
と言えば、ピシってなって、親しみはわきません。
・・・とここまで読んで、私は思いました。
それって、ブログを書くコツだよね。
お気づきの方もおいでと思いますが、このブログを多くの方に読んでいただくため、私は漢語や英語より大和言葉を使っています。
「FAXを送信しました。」より
「FAXを送りました。」と書きます。
また感嘆詞も多用しています。しかも、
「ほー」ではなく「ほお」
「へー」ではなく「へえ」と書いています。
実は黒川先生には、私のブログを、光栄にもお褒めいただいたことがあるのですが、そのわけが分かったような気がします。
後は、ヨメ相手に使うだけです。
「ああ、そう」
「へえ」
「ほお」
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて591連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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