ノンアルコール・ワイン
今日は何の日でしょう?
毎年10月15日は「日本記念日協会」公認の、『すき焼き通の日』です。
2008年のこの日、向笠千恵子先生の御本『すき焼き通』(平凡社新書)が刊行され、その出版祝賀会が、「ちんや」で開催されました。
やがて、その祝賀会に出席したメンバーを中心に、すき焼き店とすき焼き愛好家の団体「すきや連」が誕生。
すき焼きの、美味しさと楽しさをアピールする日として、この日を記念日登録いたしました。まあ、私が登録申請したんですけどね。さて、
先日テレビの情報番組のトレンド・コーナーで、ノンアルコール・ワインの特集をやっていました。
ノンアルコール・ビールが売上げ好調なのを見て、ノンアルコール・ワインも売り出し攻勢をかけている模様で、酒屋さんでも大きなスペースを割いて陳列しているのだとか。それがトレンデイーで便利なこととして、「絶賛」の勢いで紹介されていました。
私は、酒の拡販に心血を注いでいる方を何人も存じ上げていますので、この番組を見て、とてもブルーな気分に成ってしまいました。
話しをワインに戻しますが、
ノンアルコール・ワインって葡萄ジュースのことじゃないの?
と思った方もおいでと思いますが、残念ながら、違います。
ワインができる醸造の工程を思い出していただくと、ジュースの中の糖分は醗酵することでアルコールに変わります。ノンアルコール・ワインの糖分は、その醸造後の方の糖度でないといけないわけです。元のジュースと同じというわけにはいきません。
さらに、やはり醸造中にできてくる、アミノ酸や酸も、できるだけワインと同様でないと、ワインの味になりませんね。
いったん、ワインとして醸造した後、アルコールを除去するそうで、方法は膜を使ったり、ガスを使ったりと、いくつかあるようです。
結構難しいですよね。ご出演の醸造部長さんは、相当苦心してお造りになったようです。
さらに、です。どうせ、加工するのなら、「本格的なテイストを!」ということで、重みのある御味にするために、タンニンを入れます。
担任の先生じゃあないですよ。
有機化合物の「タンニン」のことでして、これは渋みを感じさせる物質ですが、それを補強するために、なんと、お茶を加えます。ワインの渋みもお茶の渋みも化学的には、タンニンで同じなのです。
そうです、ノンアルコール・ワインは、実は葡萄ジュースではなく、葡萄茶だったのです。
この配合を編み出した、醸造部長さんの御苦心には感服します。
また、こういう飲み物があることで、酒の飲めない人が、楽しく酒席に参加できるのであれば、その人達を幸せにする商品であることは、間違いないのでしょうね。
でも、うーん、ですよね。
S菊酒造の若旦那なんかは、まったくの下戸でいらっしゃるけど、ウーロン茶だけで、三次会までつきあってくれますよ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて592連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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