原発依存

 原発が立地する町の首長選挙で、原発推進派が勝つケースが続いているようです。

 フクシマの事故の後なのに何でえ?

と思った方も多いかと思います。この結果を理解するには、こうした町の、原発への依存ぶりを知る必要があるようです。

 少し調べてみますると、ある原発城下町の旅館街では、客のほとんどが原発関係者だそうです。

 良く考えたら、そりゃまあ、当然かもしれません。原発がドーンと聳えている所へ観光旅行に行く客は、限りなく少ないでしょうから。

 それでも、その旅館街が成り立っているのは、原発関係者が泊まるからです。定期検査の時期ともなると、のべ2.000人とか3.000人とかが宿泊するそうで、少なからぬマネーを落としてくれます。

 しかし、です。検査が終われば、また稼働率≒ゼロの状態に戻るとか。それで、旅館組合からは「定期検査を増やして欲しい」という要望が出てきたりするのだそうです。

 ここまで依存してしまうと大変ですね。

 だから、こうならざるを得なかった日本の、地方の実情を知る事なしに、原発のことを論じてはいけないことが分かります。おそらく、こうした町には、海の幸・山の幸があったはずです。それなのに「幸」だけでは町が発展せず、こうなったことに実情の辛さがうかがえます。

 それでも、と私は思います・・・

 原発を誘致する前に、シェフを誘致して欲しかったです。

 町一番の景勝地を整備して、道路をつけ、腕の利くシェフに無償で貸してやって欲しかったです。シェフが店を軌道に載せ、その土地を買いたい、と言い出したら、借金の利息を補填してあげて欲しかったです。

 いくら、海の幸・山の幸が美味しくても、美味しいだけでは、なかなか差別化できません。そこが一次産業のツラいところです。

 差別化をできるのは、創造性のある人間様だけだからです。海や山は素晴らしくても、他に全国各地に素晴らしい所があるので、差別化まではなかなかできません。

 逆に人間が智恵をしぼれば、差別化をできて、人をよべます。腕の利くシェフなら、年に2.000人くらいの客を呼べたかもしれません。

 そこまでやって、それでも町が活性化しないのなら、最悪の手段として、他を考える手もあったかもしれませんが、まずはシェフを誘致して、原発を考えるのは、その後にして欲しかった、そう思わずにいられません。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて585連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

 Facebookも始めました。プロフィールはこちらです。

  

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (2)