山縣有朋の庭

 年始の激闘営業も、1/10「成人の日」をもって一応ひと段落、1/11火曜日は休業させていただきます。

 さて、椿山荘の庭に「錦水」という料亭がありますが、最初の火曜日に、その料亭の個室で日本料理を戴くのが、ここ数年の我が家の慣習になっています。

 椿山荘は、明治の元勲・山縣有朋の造営した庭です。

 山縣は長州・奇兵隊の出身で陸軍に入り、日清・日露の戦役で日本を勝利に導きました。その辺りはエラかったのですが、やがて政界に転じてからは、内務大臣や司法大臣、総理大臣を歴任する内に、あちこちに子分を配置して一大派閥網を造り、その勢力を背景に、政党が政権を獲るのを妨害し続けました。それが業績です。

 その一方山縣は趣味人でもあって、和歌に長じ、造園を趣味にしていました。そうした庭の一つが椿山荘で、今や数少ない東京の別天地とも言うべき場所です。こういう場所に来ると気分の入れ換えができます。

 その昔、この庭を望む、フォーシーズンズ・ホテルで結婚披露宴をしましたので、以来年に一度訪ねています。

 その庭にある「錦水」さんで、ウチのヨメは着物を着て食事するのを楽しみとしていますが、それにあわせて髪も造営しないといけません

 年末年始の仕事をする内、その髪はボー然とした状態になっており、美容院に行く必要がありますが、椿山荘には美容院もあるので便利なのです。 

 そういう次第で、ヨメが美容院に予約の電話を入れると、こう聞かれたそうです・・・

「何か、お祝いごとですか?」 そう聞かれてヨメは困り、

「ええ、新年会みたいなものではあるんですけど、ムードとしては、法事って感じですかねえ」

 電話の係の人は、困ったでしょうね・・・

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて317日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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シャトーブリアン

 「成人の日」は今日ですが、1/8や1/9に御家族だけで成人式をしてしまうケースが結構あったようです。昨日、弊店へも紋服の若者が入って来てギョっとしましたが、成人式と聞いて納得。公共の成人式は荒んでますからねえ。さて、

 今年から「ちんや」精肉売店で「シャトーブリアン」を売っています。

「シャトーブリアン」とは洋菓子「モンブラン」の仲間、では勿論なく、肉の部位の名称です。

 細長い形をしたフィレ肉のうち、中央部の最も厚みのある部分のことを言います。長さにして10cm前後、目方にして1.2kg位の部分です。

 19世紀フランスの作家で政治家でもあったシャトーブリアン公が、好んでこの部位を調理させたことから、この名が付いています。フィレの特徴である、柔らかさやキメ細やかさが一段と感じられる部位である上、1頭から数キロしか取れないフィレの内の、さらにその一部ということで、究極の稀少部位と言われたりします。

 実は、弊店ではこれまで、稀少部位をことさら取り出して売る、ということをあまりしてきませんでした。稀少部位は、在庫が在ったり無かったりするからです。

 在庫が無い時に買いに見えたお客様は、当然ガッカリなさいますから、販売の係としては、それに応対しないといけません。ガッカリな気持ちをなだめるのは一苦労ですね。

 また「いつ入るの?」「入ったら電話頂戴ね!」とかメンドウなやりとりをしないといけません。

 それよりもケースに並べてある商品を、

「これ下さい」⇒「はい、ありがとうございます。」とお渡しするだけの方が、当然簡単です。

 でも、簡単なことだけしていると、お客様との関係が深まりませんね。

 せっかく、肉の専門家が応対しているわけなので、いろいろお話ししている内には、肉のウンチクをお教えすることもできるハズで、それなのに「これ下さい」⇒「はい、ありがとうございます。」だけ終わるのでは、モッタイナイ話しです。

 だから、多少のメンドウを覚悟して、稀少部位を売ってみたいと思います。

 理由はそれだけでなく、もう一つあります。稀少部位は、当然値段がお高くなりますから、単純にその部位を取り出しただけでは、値段にみあう味が感じられない結果になることがあります。

 牛全体の状態が良い場合に限って、その中の稀少部位を取り出すから旨いのです。いくら稀少部位であっても、牛全体の状態が良くなければ、値段ほどじゃないね!と言われてしまいます。

 それは困りますので、「ちんや」では牛全体の状態が良い場合に限って、その中の稀少部位を取り出して売ります。売場には「ちんや精肉部長厳選」と表示してありますが、それは、そういう意味です。

 フィレの中央部だけ選ぶことは誰でもできますが、本当に旨いと言えるかは、専門家だけが判断できることです。そういう理由でお高いのね、ということをご理解願いたいところです。

 牛全体の状態が良い場合に限って、その中の稀少部位を取り出しますので、当然さらに、在庫が在ったり無かったりします。その節は販売の係をつかまえて、どうぞ、メンドウな問いあわせもしてみて下さい。

 不愛想な連中ではありますが、悪い人間はおりません。

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粗相はじめ

 やってくれました。

 粗相はじめを・・・やってくれました。

 まあ、でも意外なことではありません。例年のことですが、年始からの激闘営業で、スタッフは皆、1/7頃には疲労が蓄積していて、集中力が落ちていますので、年始営業後半戦のミスについては要注意です。

 でも今回、被害を受けたお客様には、勿論、大変申し訳ないのですが、「洗濯すれば済む」事故だったのは助かりました。

 汁を御洋服にこぼした等の事故については、すぐにお詫びして、クリーニング代を支払う姿勢を示せば、そこで治まるケースがほとんどです。悪気のないミスを犯した人間を責めたてようという人は、あまりいません。自分も人間ですからね。

 「ちんや」での過去10年の事例の中で、治まりの良くなかった事例と言えば、「オタクの店で汚されたブラウスを、洗濯したけど汚れが落ちなかったので、新品を買った」ということで、その新品の領収書が送られてきた例が1例あっただけです。

 気分的にはザンネンですが、勿論、こういうケースでも、迷わず、即座に支払う姿勢を堅持したいところです。法的には過剰なのでしょうが、事故のたびに対応方法を考えていると、悩んでしまい、精神衛生上良くありません。

 新品の代金を請求されても全額支払うぞ、という方向性が決まっていて、その方向で腹が据わっていれば、粗相事件も、さほど恐れることはありませんね。

 今シーズンの事故としては、もう一つ、昨年末の忘年会シーズンの最中に、下足の取り違え事故がありました。

 弊店の下足番が間違えたのではないのですが、同じ会社のお仲間の中で、取り違えが起きました。

 悪いことに、その取り違えた方、よほど早くお帰りになりたかったらしく、他のお仲間が玄関に降りてみえるのを待たずに、「お先に!」とお帰りになってしまいました。後から、ゆるゆるとお仲間が降りてみえた時には、くだんの間違えた方の御靴が玄関に残されていました。あーあ。

 勿論、大勢様のご宴会とか、少人数でも「○○組合」とか「△△協議会」とか他人さんのお集まりの場合は、個別の靴札をお出ししていますが、同じ会社の方の場合は、1グループに1枚の札で済ませています。それでこういう事故が起こってしまいます。

 事故と言っても、明日朝会社に出勤して靴を交換すれば、それで済むハズですが、今回困ったのは、間違えられた方の人が、この靴はキツくて履けないから帰れない、とおっしゃったことです。

 普通、そんなに寸法の違う靴とは、そもそも取り違えないんですけどね。

 それで、その被害者の方、「ちんや」のスリッパを貸して欲しい、とおっしゃいます。今日家に帰るのに必要だ、といわけです。

 それは仕方ないので、当然お貸ししましたが、あれから3週間、スリッパは戻ってきません。

 そのスリッパは、私の愛用のスリッパでして、「ほとんど靴に見える」スリッパでした。

 私は日頃、店の中と、店の周囲や下足室を上がったり降りたりするので、靴をいちいち着脱するのがメンドウ臭く、スリッパを愛用しています。そのスリッパは、足の甲の部分が立派で、ほとんど靴に見えるのですが、後ろの部分がすぐ脱げるように出来ています。前から見ると、靴にしか見えません。

 便利だったんですけどね。

 スリッパ、カム・バック!

 追伸

 1/8は大相撲・東京場所の、初日の前日でしたので「呼び出し衆」の皆さんが、興業の宣伝のため、弊店を訪問されました。店内に居あわせたお客様にも、初日の取り組み力士名を読み上げるところを、御観覧いただきました。

 ♪相撲は明日が初日じゃぞぇ〜♪白鵬に〜は〜魁皇じゃぞぇ〜♪

っていう感じの、独特の名調子を文字にできないのですがザンネンですが、良いものですよ。

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正月は大儲け

 1/7には、浅草観光連盟・浅草商店連合会・浅草観音奉賛会の合同新年会がありました。

 新年会に出たりいたしますと、

 いやあ、住吉さん、正月は大儲けなんでしょ、いいねえ、羨ましいよ!

などと言われたりします。

 たしかに損はしておりませんから、儲けてはいますが、大儲けとまではいきません。

 そんなの、ウソだろ!大儲けに違いない!と思った方は、冷静に考えてみて下さい。

 そもそも飲食店というのは、お客様に店の中に入っていただいて、一定の時間をかけて食事をしていただいて、それで初めて売上げが立つものです。食事をしていただくには席が必要であって、その席は、正月だからといって急に増えません。

 大勢のお客様が押し寄せて来たとしても、席数以上に受け入れることは出来ませんから、後は結局、お断りする結果になります。断った分は売上ゼロですよね。

 今の御時勢で、毎年見えていただいている方がお支払いになる単価は、確実に下がっていますので、席数が増やせないのであれば、売上げも確実に減ります。忙しさは同じで、売上は減るのです。

 冷静に考えてみれば、忙しそうな様子であっても、それがイーコール大儲けでないことがわかると思います。

 では、そういう状況の中で、売上を増やすにはどうしたら、良いのでしょう。

①正月だけ、単価の安いメニューの販売を中止する。

⇒これを簡単に実行できると思っていただくと困ります。

 電話で、予約したい日を言わずに「料理はいくらからありますか」と問い合わせ、いったん切ってから、また後であらためて、日を指定して予約をする方がおいでですが、そういう予約の仕方をした方の場合、安い価格のメニューがあるのだ、と信じてご来店になります。当然、トラブルの元になりますね。

「安いメニューがあるって聞いたから来たのに困るじゃないか。どうしてくれる!」っていう経験した方が多いのでしょう。頻繁に聞かれます・・・

「正月は「正月メニュー」なんですよね?!高いんでしょう?!」って。弊店は違うんですけどね。

②正月だけ利用時間を短くする。

⇒これも簡単に実行できると思っていただくと困ります。

 お客様は遅刻をなさることがあるからです。弊店では、1回のご利用時間を2時間30分と決めさせていただいていますが、これなら30分遅刻をされても、まだ2時間あります。だから「まだ2時間あるので、ゆっくりなさって下さい」と申すことができます。

 でも、もし「2時間制」と決めた場合に、お客様が30分遅刻をなさると、もう困りますよね。1時間30分で食べていただかないといけません。担当スタッフとしては、「お次が控えてるんだぞ」「早く食べてくれ」「終わったら帰ってくれ」という気分になってしまい、険悪ですね。

 要するに、正月だからと言って、飲食店は画期的に儲けることは出来ないのです。

「外には人がいっぱい歩いているんだから、単価の高い客だけ上手く選べば、大儲けのハズなのに、それが出来なくて悔しい!」

「予約の客が遅刻してきて、そのクセ単価の安い物しか注文せず、さらに、そのクセいつまでも長居して悔しい!早く帰ってくれ!」

って、思わないようにするには、特別な心がけが必要です。正月とは、そういう心がけが必要な時季なのです。

 洋物をお取り扱いの方にとっては、クリスマスが浅草の正月に相当するようですが、その洋物関係の方に、先日、心がけを教えていただきました。

 私がツイッターでフォローしている、「洋菓子舗ウエスト」さんのアカウント@yogashihowestに、去年のクリスマスの頃、次のようなツイートが出ました・・・

「クリスマスになると先代社長の言葉が思い出されます。「洋菓子屋にとってクリスマスはお客様に恩返しをするときだから、儲けようなどと思っちゃいけない。とにかく損得抜きで精一杯美味しいものを作って美味けりゃまた一年ご贔屓にしてもらえる。まずけりゃ?それでおしまい。」

 私が存じ上げているのは現社長のY田さんで、先代社長の、この話しは初耳でしたが、Y田さんの、品質に大真面目な姿勢は、こういうところから来ているのだなあ、と感心&納得しました。

 メッポウ良い話しと思い、今年の正月は、日に一度この文章を読むようにしていました。

 こちらにとっては「繁忙期」でも、お客様にとって、年に一度の楽しい食事の機会ですからね。「美味けりゃまた一年ご贔屓にしてもらえる」と信じたいところです。

  ♪はやく〜過ぎ去れ〜お正月♪(小学校唱歌「お正月」、作:住吉廉太郎)

追伸①

 上に綺麗ごとを書きましたが、この御時勢で、営業時間を延ばしたこともご報告いたします。その分、スタッフの疲労度が上がりますから、ミステイクにつながる懸念はあります、勿論。「成人の日」の3連休が終わるまで、気はぬけません。

 ♪はやく〜過ぎ去れ〜お正月♪(小学校唱歌「お正月」、作:住吉廉太郎)

追伸②

 1/8は大相撲・東京場所の、初日の前日ですので、「呼び出し衆」の皆さんが、興業の宣伝のため、「ちんや」を訪問されます。当店3階ステージ上にて、初日の取り組み力士名を読み上げられますので、いあわせたお客様にも、ご観覧いただきます。

 到着時刻は3時前後で、所要時間は1〜2分です。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて314日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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待ち時間

 平成23年年始の激闘営業も、中盤戦です。

 1/2〜1/4の忙しさは去りましたが、まだ「成人の日」の3連休があるので、気は抜けません。

 また「新春浅草歌舞伎」を浅草公会堂でやっていまして、筋書きに広告を出していますので、ご見物がえりのお客様にも「ちんや」へ来ていただいています。さて、

 正月は、当然忙しいので、予約の無いお客様には、長時間お待ちいただくわけですが、そういう場合に、その方の人間性が現れるもので、観察していると勉強になります。

 すき焼きは食べたい、しかし「30分待ちです」とか「1時間待ちです」とか、自分の気に入らない状況を告げられた時に、人はどう反応するか・・・いろんな方がいるものです。

 一番合理的なのは、大人しく待つことです。年始の浅草で、予約をしていなければ、待たずに美味い食事にありつくのは困難です。それをすぐ了解して、ジタバタしないのが、一番早道と言えます。

 でも、ジタバタなさる方もおいでです。今年の1/3の昼時には、同じ方が同じ日に3度もやって来ました。

 その方、最初の時「1時間待ち」とお話しすると、すぐに諦めて、出て行かれました。

 20分ほどして、またやって来たのですが、その間に別の方が、中に入って待ち始めたので、待ち時間が最初よりさらに延びてしまいました。2度目には「1時間半以上待ちです」と宣告されて出て行かれたので、「もう戻っては見えないだろうな」と思っていると、なんと、それから小1時間ほどして、またやって来たのです。

 さすがに、その頃には、昼のピーク時も過ぎていたので、25分ほどの待ち時間で、ご案内することが出来ました。要するに、「ちんや」のすき焼きにありつくまで、おおよそ2時間を費やしたわけです、その方は。

 有り難いことは有り難いですが、「待たされた」「疲れ果てた」という印象が残るのは、微妙な気分ですね。

 困るのは、「じゃあ、1時間後にまた来るから席取ってといて!名前は、

戻手来須男ね。モドリテ・コズオって言うから!」と言い捨てて出て行こうとする人です。

 そういうタイプの方の内、結構な割合の方が、戻っては見えないのです。そう、ノー・ショーなのです。

 歩いている途中で他に空いた店が見つかるのか、あるいは、家に帰りたくなるのか、理由は知りませんが、見えないことが結構あるのです。しかも、連絡をよこさないのが御約束です。その間取っておいた席は、空かしっぱなしですから、こちらにとっては損害です。

 性悪説に立ちたくはないのですが、これには私も懲りまして、数年前から、そうした短時間の予約は受け付けないことにしました。

 今は、1時間でも、2時間でも、あくまでも、中で待っていただきます。

 店に入った後、出かけるのは構いませんが、全員の外出は許しません。どなたか御一人は必ず中に残っていただきます。

 このような強気とも思える手段を、不快に思う方も、勿論、おいでです。ワザと強気にしているわけではなく、自己防衛なのですが、受け取りようによっては、強気=態度がデカいとも見えます。

 3年ほど前の、松ノ内のある日、外国の方と御二人で道中のお客様が、弊店の席を待つハメになりました。そして中へ入った後、その外人さんは日本語が出来ないから、どうしても一緒に外出したい、と言い出しました。

 それが拒否されると、今度は、自分は、ここの御主人と同じ大学の卒業だ、先輩だぞ、と言い始めました。そう、かのテイノウ義塾大学のご卒業だそうな。

 わが母校の雑誌「三田評論」に広告を出しているので、私が低脳、イヤ慶應出なことをご存じだったのでしょう。でも、その本人が今貴殿で話している人物ですよ、ということには、どうやら気がつきません。

 店の態度がデカいので、自分もデカい態度をとりたくなったのでしょうが、そんなことは言わずもがな、ですよね。ムカ。かえって私の心証を害する結果となりました。

 その方を、結局外出させましたが、1時間後ではなく、1時間50分後に戻ってきました。ムカムカ。

 そこで、そうして戻ってきた、その先輩に私は言いました、

「お食事できる御席を、後ろの予約の方が見えるまで、2時間空けてあったのですが、遅く戻って見えたので、1時間10分になってしまいました。どうなさいますか。すき焼きを食べるには、最短1時間30分かかりますから、大急ぎで召し上がっていただくことに成りますね。え?それで良い?ありがとうございます。さすがです。ご高配に感謝いたします・・・」

 本当は、後ろの方との間には、少し余裕の時間をとってはあるのですが、そういうことは申すハズもありません。だって、予約時間より30分位早く見える方はザラですからね、特に正月は。

 さて、そうして食べ始めた、その先輩、食べ始めてから40分後に係から「ラスト・オーダー」を宣告された時は、さすがに不快げだったらしいのですが、自得な話しであることは申すまでもありません。

 皆様、お正月こそ、ご利用は計画的に。

追伸

 年明けは1/1だけ休ませていただき、1/2〜1/10は続けて営業いたします。1/11は悪しからず休業させていただきます。

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鐘撞き

   1/5の夜の、弊店の賄い食は、すき焼きでした。

 実は1/2〜1/4は、賄いを作る暇が全く無いほど忙しいので、恥ずかしながら、弁当を買って食べています・・・

 久しぶりの「ちんや」の賄いは、旨かったです、やっぱり。ひひひひ。さて、

  昨日のブログに、年末年始の浅草のカレンダーについて書きましたが、その時、書き漏らしましたのが、鐘撞きです。

  大晦日の晩、浅草寺(=浅草の観音様)の、除夜の鐘を撞かせていただいておりまして、百八番のうち、今年は第二十七番が私でした。鐘の音をお聞きいただいた方がいれば嬉しいです。

  観音様の鐘撞きは「百八会」という会員制で運営されていまして、基本的に欠員が出ないと新規の方を誘いませんし、欠員が出ても、親の指定席を子が世襲するケースも多いので、誰でも撞ける形式にはなっていません。

 大晦日の夜、ご本堂から少し離れた、通称「弁天山」という、鐘撞き堂に行き、旧知の面々に会って、今年のおつきあいを御礼申し上げた後、順番の列に並ぶのが、恒例です。

 会員の他に一部、「有名人枠」がありまして、ここ数年、第二十二番〜第二十五番がそうです。歌舞伎の板東三津五郎丈・巳之助丈父子、落語の林家正蔵師匠・三平師匠兄弟が、今年も来て下さいました。この辺りで、ギャラリーも盛り上がります。

 しかし、困るのは「有名人枠」の後です。第二十六番は、有名な下駄屋さんなのですが、ご本人が有名人というわけではないので、二十二〜二十五で盛り上がった後、自分の番で盛りさがるのを、しきりとボヤイておいででした。

 そして、その後の第二十七番がウチです。

 有名人の後で盛り下がっているだけでなく、当方は暮れの繁忙期の疲れ、特に12/29〜12/30の深夜残業の疲れが、顔面に噴出しておりまして、また12/31は仕事でオメカシする時間も全くありませんので、そうした姿を大勢の、ギャラリーの皆さんに曝すのは、大変心苦しいところです。

 浅草人にとって、除夜の鐘撞きは大変名誉なことですが、少しイタい場面です。

 そうやって撞き終わりますと、酒の下賜があります。担当は、浅草芸者のNえ姐さん。Nえ姐さん=またの名を@kikunorieさんは、「ツイッター芸者」として知られる、浅草花柳界きってのIT通です。

 疲労気味の私を、Nえ姐さんが慰めてくれました、

 「おにいちゃん(=私のこと)のブログ、いつも読んでます!」

 うーん、「鐘撞き、カッコ良かったです!」ではないのか。

 出直さねば。

追伸

 年始は1/1だけ休ませていただき、1/2〜1/10は続けて営業いたします。1/11は悪しからず休業させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

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浅草のカレンダー

 元日営業すれば、儲かるのに何でやらないの?というご質問をよくいただきます。

 そういう質問をなさる方は、年末の12/29-12/31に肉屋がどれだけ忙しいか、ご存じないのかもしれません。この三日間「ちんや」精肉売店の店先に、最大「1時間待ち」の行列が出来ます。皆さん、正月用の精肉をお求めの方々です。

 肉の予約もやっておりまして、予約した方は、すぐにお引渡しをするのですが、その他に、さらに行列する方がおいでです。その行列の整理をするのが、私の年末の恒例行事となっています。

 大手食品メーカー・Eバラさんが「正月はすき焼で笑おう!」というTVコマーシャルを流していますが、そのように(?)、「正月は、すき焼き」と昔から決まっているのです。 

 たしかに食品添加物の見本市のような、おせちを召し上がるよりは、よっぽど良いと思います。

 ただし、Eバラさんの商品の商品名は「すき焼のたれ」。「すき焼の割り下」に変えて欲しいところですよね・・・

 え、さて話しを戻しますが、そういう次第で、年末の12/29-12/31に精肉売店がメッポウ忙しく、12/29や12/30の夜などは夜半まで残業して仕込みしますが、それも全て大晦日に売り尽くしてしまいます。

 そこへ、さらに元日も営業するとなれば、ハンパでない量を再度仕込みしないといけません。それでは大晦日なのに家に帰れないわけで、いくらなんでもキツいですね。

 だから大晦日は店の連中には帰宅してもらい、元日に一部の者が出勤して、1/2からの分の仕込みをいたします。

 1/2や1/3も、当然最高・猛烈に忙しく、1/4も仕事始めを終えたサラリーマンの方で賑わいます。さらに、その後「成人の日」の3連休があり、それが終わって、やっと、ひと安心できる、というのが浅草の毎年のカレンダーです。

 困るのは、年始に普通の職業の方とお目にかかると、皆さんがヤル気に満ちておいでなことです。こちらはと言うと脱力状態で、再起するのは2月半ばです。ギャップがあって、毎年違和感がありますが、仕方ないところですね。

 例えば、毎年1/5には台東区役所の新年賀詞交換会があって出席しますが、区長や議長の祝辞の間も、私は呆然としていることが多いです、スミマセン。 

 だから意気揚々と新年会にやって来た、普通の職業の方から、

「住吉さん、今日は、とことん飲んじゃいましょうよ!」

などと言われない前に、予防線を張っておかないといけません。

 いやあ、店の水道管が破裂しまして・・・

 いやあ、店の者がサルモネラ菌に感染しまして・・・

 いやあ、ヨメの機嫌悪くて・・・

 どれにしようかな。

 追伸

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住吉史彦の初夢披露④

 年始の激闘営業が続いております。

 一日が終わる頃には、当然疲労が甚だしいのですが、その疲れを翌日朝までに回復するのが急務です。だから、年始は夜毎、肉を食います。当然、大量に!これしかありませんね、実際。さて、

  年始でございますので、元日から住吉史彦の初夢をご披露申し上げています。しかも四幕構成の初夢です。序幕から第四幕まである夢ですので、4日間に渡ってUPしています。東西、東〜西〜

 滑稽な、ごく短い前奏につづいて第四幕が開きました・・・

 四幕の情景は、私が「イグ・スキヤキ賞」を創設し、大勢の人の笑い声の中で、受賞者に表彰状を与えている、そういう場面でした・・・

 皆さんおわかりでしょうが、念のため説明いたしますと、「イグ・スキヤキ賞」は「ノーベル賞」のパロデイーである「イグノーベル賞」のパロデイーです。

 「イグノーベル賞」は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞で、1991年に創設されました。受賞例として、渡辺茂・慶應義塾大学教授らが、ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功した業績に対して、1995年の、イグノーベル心理学賞が与えられています。

 「イグ・スキヤキ賞」は、「イグノーベル賞」のパロデイーですから、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる、スキヤキ」に対して、賞を与えます・・・

 皆さん、たびたび、演目の途中ですが、これは、あくまで初夢です。すぐに実行されると思っていただくと、本当にとっても困ります。

 もとい。「イグ・スキヤキ賞」自体は、勿論ふざけた賞に決まっていますが、こうしたものを始めようと思った意図は深刻です。

 考えてみて下さい。過去10年間、食をめぐるニュースは、なにかと暗いものばかりでした。BSE、O-157、強毒性鳥インフルエンザ、口蹄疫、中国製毒ギョーザ、事故米転用事件、食品添加物、個体識別、偽装表示・・・・・そんな話題ばかりでしたね。

 思いおこしますのは、国産牛で初めてBSEが見つかった1991年9月のことです。その翌月には、弊店も売上が前年の、おおよそ半分になりました。

 その年の8月に「ちんや」の六代目を継いだばかりの私にとって、随分良い勉強をさせてもらいました。(勿論、二度としたくない勉強ですが)

 そして、その後10年間、食をめぐるニュースは、なにかと暗いものばかりでした。楽しい時間は、あまりに少なかったように感じます。そういう10年が過ぎ去って、皆さん、そろそろ、気分を変えたくありませんか!

 食は、もっと楽しい気分で語られて良いものに決まっています。

 2011年、日本のお笑いの聖地である浅草から、食と笑いを同時に発信したいと思っています。浅草の知人の中には、お笑いの仕事にかかわっている人もいます。最高の立ち位置ではありませんか。

 今は、夢ですが、やれないことではありません。やりたいですね、「イグ・スキヤキ賞」!どんなふざけたスキヤキが提案されるか、楽しみです、今から本当に・・・

 あ、もう朝か、急に終わるなあ、この夢。

 それにしても、楽しくやりたいもんだなあ、食の仕事。2011年。

<初夢披露終わり>

 追伸

 年明けは1/1だけ休ませていただき、1/2〜1/10は続けて営業いたします。1/11は悪しからず休業させていただきます。

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住吉史彦の初夢披露③

 弊店には「正月だけの常連様」がおいでです。店としては、当然他の時季にもお越しいただきたいのですが、決して見えません。玄関で、そういう方をお見送りしていると「また来年来ます!」

 ってことは年内は、もう見えないって意味だよね・・・さて、

 年始でございますので、元日から住吉史彦の初夢をご披露申し上げています。しかも四幕構成の初夢です。序幕から第四幕まである夢ですので、4日間に渡ってUPしています。東西、東〜西〜

  大きく盛り上がった第二幕の後、ゆるやかな間奏があり、第三幕は静かに開きました・・・

 私はパソコンに向かっていました・・・

 何をしているか、と申しますと、最近始めた通販サイトの利用者のために、メッセージ・カードを作っているのです。

 このサイトは、すき焼きセット(具材一式)をギフトとして贈る、専門のサイトなのですが、その利用者のために、メッセージ・カードを作っています。

 人は、自分の親しい人を思いやる時、何か美味しいもの御馳走したくなるものです。

 そういう時「ちんや」へ一緒にご来店いただければ、もちろんベストです。でも都合がつかない場合もあるかと思います。

 遠く離れてお住まいになっているとか、時間があわないとか、そういう場合に、ギフトとして、すき焼きの具材一式を、贈っていただけたら幸いです。

 キャッチフレーズは、

 「思いやりを贈りましょう、さあお肉にそえて。」

 勿論、このキャッチフレーズは、すき焼き屋が世の中に提供できるベネフィットを表しています。

 このサイトの特徴は、①必ずメッセージを添えていただくことと、②必ずメッセージをサイト上で公開させていただくこと、です。

 そのメッセージ・カードは、こんな感じ内容でした・・・

「父さん・母さんへ、結婚30周年おめでとう。とても残念なのですが、僕は、その日はロスで大事な仕事があり、帰国できません。二人で水いらずで、すき焼きでも食べて下さい! ○○男より」

 こういうメッセージに、私達業者が接する機会は多くはありません。でも、この少し意地悪なサイト=①必ずメッセージを添えていただかないと買えないサイトを、開設したおかげで、私は自分がどのように、世の中の御役にたっているか、知ることができます。

 ②必ずメッセージをサイト上で公開させていただくのも、さらに意地悪ですが、でも、サイトでそれを読んだ、世の中の、どれだけ多くの人の心が暖まることでしょう。

 すき焼きは、日本人の心と体を暖める食べ物です。

 感動につつまれて、第三幕は終わりました・・・

  え? 二幕と三幕で、ゼンゼン脈絡が無いぞって?

 まあ、堅い話しはおやめ下さい。

 もう一回、念のためお断りしておきますと、これは、あくまで初夢です。夢ですから、多少の飛躍はあるのです、ハイ。

 四幕は、さらに・・・

追伸 

 年明けは1/1だけ休ませていただき、1/2〜1/10は続けて営業いたします。1/11は悪しからず休業させていただきます。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて309日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)

住吉史彦の初夢披露②

 年始でございますので、元日から住吉史彦の初夢をご披露申し上げています。しかも四幕構成の初夢です。序幕から第四幕まである夢ですので、4日間に渡ってUPしています。東西、東〜西〜

 キャスト全員が♪旨いすき焼き♪楽しい宴会♪と、賑やかに合唱する中、第一幕は閉じ、休憩も無しに、すぐに第二幕が開きました。三拍子の、テンポの速い曲にのせて・・・

  情景はもちろん、「すき焼き検定合格者交流会」つまり、すき焼き大宴会。しかも何故か、この会は、すき焼きを食べるだけの会でなく、チャリテイーも兼ねているのです。

 え?いつの間に、そんな話しになったって?

 皆さん、演目の途中ですが、念のためお断りしておきますと、これは、あくまで初夢です。夢ですから、多少の飛躍はあるのです、ハイ。それに、これがすぐに実行されると思っていただくと、困りますので、よろしくお願い申し上げます。

 もとい。この宴会は、そうです、チャリテイーすき焼き宴会だったのです。

 何のためのチャリテイーかというと、このたび、私の知人のアーテイストが、欧州演奏ツアーを敢行するのですが、そのための資金集めをしているのです。

 このツアーは大変な壮挙なのですが、彼の地の招聘元の中には、滞在費用等の必要経費を全額支弁しない、招聘元が一部あるようです。

 しかし彼は、そのことを承知の上で、日本文化を紹介するため、経済的負担を負って渡欧されます。そこで、このツアーの事業資金獲得のため、チャリテイ―すき焼宴会を開催することになったのです!

 冒頭、挨拶に立った私が、大勢の皆さんの前で説明を始めました・・・

 「この宴会の会費は、お一人様15.000円ですが、この内5.000円をツアーの事業資金として充当させていただきます。一方会場となる、「ちんや」は10.000円を受領いたしますが、今回の公演に協賛して、実質12.000円相当のすき焼を提供いたします。」

 つまり宴会参加者の皆様には、会費お一人様15.000円にて実質12.000円相当のすき焼をお楽しみいただく、という計画です。(この部分、なぜか妙にリアル)

 やがて会が始まると、参加者の皆さんが、猛然とツイッターを始めました。

 はあ、そんなの有り得ないって?

 いやまあ、夢なんだから、まあ細かいことは抜きでお願いします。

 この宴会の参加者は、皆ツイッターができて、この会の存在やツアーのことをPRするため、会場の中から、盛んにツイートしているのです、全員で、電波ジャックのように。

 それをフォローした、近隣の人が「ちんや」へ続々かけつけて大騒ぎになる中、第二幕は終わりました・・・

追伸

 年明けは1/1だけ休ませていただき、1/2〜1/10は続けて営業いたします。1/11は悪しからず休業させていただきます。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて308日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

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