何気ない日本

自戒を込めて書きますが、他者を批判する時は、その対象について多少は調べた方が良いと思います。
「名所でないのに外国人殺到?人気ツアー探る」
という記事の中で、「何気ない日本」へインバウンド客を案内しているツアーガイドだという人が、
「単純にすき焼きとか忍者だけじゃなくて、本当に日本の人はなんでこうなんだろう、なんでみんな信号守るんだろうとか、どういう暮らしをしているんだろうとか、そういう深いところに関心がいっているから、こういったツアーが人気あるんじゃないですかね」
とコメントしていました。
インバウンド客がすき焼きを食べても、忍者体験をしても日本のことは、あまり良く分からない、という文脈で発言しておられるようです。
人気なのは、ガード下での食事とか自動販売機の説明なんだとか。
たしかに私もテレビで視かける浅薄な「忍者体験」には辟易します。すき焼きを出している業者の中には、すき焼きというものについて、何も学んでいない業者がいるかもしれません。
すき焼きという食べ物は、水の国・日本が創り出した、煮物(あるいは鍋物)という特徴的な食文化の代表であり、また血の穢れを厭う国民が肉食を受容するように変わってきた、食の歴史の代表でもありますが、それを学ばずに、肉と野菜と卵さえ用意すればすき焼きが成立するだろうと考えている業者もいるかもしれません。
おそらく、このツアーガイド氏は、たまたまそういうすき焼き屋に行ってしまったので、単純な日本観光の代表として、すき焼きを挙げたのだろうと想像します。もう1軒すき焼き屋に行ってみれば良かったですね。私の知る限り、すき焼き屋さんはだいたい勉強熱心ですから。
文句ついでにもう一文句書きますと、
「何気ない日本ブーム」って、あんまり好きになれないんですよね、私。
こういう報道が頻繁に出るのは、日本人の自信喪失の裏返しに違いないって思ってしまうのは、私のものの見方がうがっているからでしょうか?ものの見方が古いからでしょうか?
技術立国・日本の象徴だった原発で事故。
→技術は自慢しづらくなった。
→技術以外の日本も世界で目立って欲しい。
→しかしサッカーでは勝てない。他に何かないのかな?
→おや、「何気ない日本」が、「目立って欲しい」ではなくて、既に人気沸騰だ!これを自慢のタネにしよう!
という流れに見えてしまうんですよね、私には。
普通の公道をオチャラケた観光の場所に変えてしまうマリオカートも嫌いですね、私は。
はい、古くてあいすみませんでした。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.996日連続更新を達成しました。三千日連続更新まであと四日です。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)