パクチー料理ありません
新しい食が発見されるのは、もちろん基本的には結構なことと思います。
しかし「発見」を通り超してブームにまで仕立て上げようとするのには違和感を抱くことがありますね。
って申しますか、最近は、そういうのばっかり!
その代表が昨今のパクチー・ブームでしょう。
そして、とあるタイ料理店が、その異様なブームに異を唱えました。ツイッターで拡散しているのですが、京都のタイ料理店が以下↓のような貼り紙をドアに掲示したのです。
「当店ではパクチー(香草)だけのサラダ料理や、パクチーを大量に使用するような流行りもの系の料理は提供しておりません。パクチーの追加増量に関しましても大量に増量を希望されるお客様が増えますと通常の料理に使用する量を確保できなくなるため今後はパクチーの追加増量には対応しないことと致しました」
この掲示は意外に長文で、さらに、そもそもタイ料理とパクチーとの関係についての説明も書かれていたそうな。
「タイ・ラオス料理にはパクチーを使用していない料理も多数あり、あくまでもパクチーは薬味としての扱いが基本です。本来のタイ・ラオス料理ではパクチー(香草)そのものをサラダのようにして食べるという習慣はありませんので当店では過度なパクチーのみを強調して使用するような料理は提供いたしません」
「もしそのような料理をご希望される場合は他の店舗様をご利用ください。お客様のご理解ご協力お願い致します」
GJ.
このお店さんの姿勢を、私は断然支持します。
もっとも、貼り紙を良く読みますと、あくまで「流行りもの系」の、過度なパクチー料理はありません、と言っているだけで、ニュースのタイトルの「パクチー料理ありません」では言い過ぎであることが分かります。弊店の「適サシ肉宣言」が「霜降り肉ありません」と言い換えられて報道されたのと酷似していますね。ヒジョーに気になってしまいます。
もう一つ気になったのが、この件を世間がどう感じているのか、でしたので、ヤフコメも読んでみましたら、
「この店の対応は大正解。タイ料理に敬意を払おう。」
→1042対58で多数支持。
「テレビで紹介されていた、芸能人が使っているなどの理由で、特に考えもなく食い付いている人達ばかり。別の物が紹介されれば、また同じ理由で食い付く。それはまるでイナゴのよう。自分もそうですが、日本人は熱しやすく冷めやすいですからね。」
→1361対118で多数支持。
「客は店を選べるのだから、店も客を選んでも良い。」
→478対37で多数支持。
まずは良かったです。
しかし食の「仕掛け人」と称する連中が懲りるという保証はないです。
ブームの結果、多くの農家さんが、他の作物からパクチー生産に転じたと思われますが、その転作バブルは、この掲示をきっかけに崩壊して→損失を負うでしょう。その頃「仕掛け人」は次なる「ブーム創り」に一生懸命・・・
まったくトホホな在り様ですねえ。
先進国なんでしょうか、この国は?
追伸①
5月2日は火曜日ですが、GW連休中なので、「ちんや」は臨時営業いたします。どうぞ、ご利用下さいませ。
追伸②
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.619日連続更新を達成しました。