第3回③

国際観光日本レストラン協会の「第3回青年後継者の集い」が開催され、不肖の私がセミナー講師を務めさせていただきました。

「適サシ肉」の話しを聞きたいということでしたので、以下のような内容になりました。長いので、4/21から8回に分けて公開しています。さて、

<以下本文>

一番困ったのは、ネットの「おまとめ」サイトです。「すき焼き老舗が爆弾宣言」「浅草から衝撃のニュース」「業界激震」などと、センセーショナルな見出しを付けて、自分のサイトに引き込み、結局広告に誘導するのです。内容はと言えば、テキトーなコピペ。だから不正確。

WELQ事件を経てもなお、SEOの為なら何でもやってOKと思っている方が実際においででした。まったく懲りない連中だと思います。

念のため申して置きますが、「適サシ肉」の件で「肉の業界に一石を投じた」のは、私ではなくてヤフーさんです。

私自身は、業界や他のお店さんにモノ申したいなどとは毛頭思っておらず、むしろ戦々恐々の気分です。

私が考えたのは、弊店の割り下の味付けに合う肉を仕入れたい、弊店に以前から見えている、お客様の御口に合う肉を仕入れたい、ということだけでした。違う個性のお店さんが独自のやり方で繁盛なさることについて、何の意見も持ち合わせません。

自分の考える「良い塩梅」を実行したら、結果的に5等級を使わない結果になっただけの話しでして、人様に挑戦する気とか全くないのですが、5等級を止めたことだけに話題が集中したのは愉快なことではありませんでした。

ここで脂の等級について細かくご説明しましょう。

実は従来「ちんや」ではBMS87の肉を「霜降」と称して売って来ましたが、それを今回1段階ずらして、BMS76にしました。BMS8は5等級で、6-7は4等級に相当しますが、4でもそれなりにサシは入っています。4等級を画像で見た方から「結構霜降だよねえ」というご意見も寄せられました。私が子供の頃=祖父である四代目の頃は、1975年頃のことですが、その程度のサシでも「霜降り」と言っていました。当時はそれで立派な「霜降り」でしたし、今現在でも「霜降り」の定義はありません。ですので4等級を使って、それを「霜降り」と言い続けることも不可能ではなかったかもしれません。

しかし今は1975年頃と違って、BMS12とか11の「ザ霜降」の肉がたくさん在ります。そういう肉をどんどん生産することが30年間で出来るようになり、それをテレビで見た方が弊店を訪ねて来られて、BMS6の肉を見た場合、ランクの低い肉だなあ!と思ってしまう可能性があります。それで結局「適サシ肉」という言葉を造語する他ないと思ったのです。

そして、このことを世間に先回りしてお報せしておくことにしました。それを「宣言」と言っただけなのです。つまり店とお客様の間の、ミニ・コミュニケーションを意図しただけの宣言だったのですが、まったく予想外の展開と成り、心底驚きました。

人生まったく先は分からないもんです。

今回の宣言では・・・

<続きは明日の弊ブログで>

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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四六判240頁

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978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.611日連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)