格安

「てるみくらぶ」とかいう旅行会社が破綻した件に皆さんは注目なさっていますか?私は注目しています。

「てるみ」に就職が内定していた50人の学生を救おう!という運動が始まっているとかで素晴らしいことだと思いますが、私はあえて、学生さんにやや厳しめのアドバイスを贈ろうと思います。

「厳しめ」とは、次回就職先を決める時は、学生さん、経営や経済について、もう少し学んでから決めようよ!ということです。「格安」ということはどういうことなのか?しっかり考えてから就職しようよ!ということです。

私が知るところでは、安さで勝てる会社は同業で一社だけです。その一社以外は全て「負け組」となって、やがてブラック化して行きます。

そして昨日まで勝っていた会社も環境が変われば勝ち続けられるかどうか分かりません。今回がそのケースでしょう。

「てるみ」は航空会社から余った席をまとめて買って安さを実現していたそうです。ところが航空会社だって、馬鹿でも弱くもありません。小型機を導入したり、アライアンスを組んでシェア運行を導入したりして→席が余らなくなったため、安い仕入れが出来なくなりました。

インバウンド観光が賑やかになったことも、席が余らなくなった一因でありましょう。

このように安さを目指していると、環境が変わっただけで一気に「負け組」に成ってしまうのです。社員は「安いです!」と言う以外に売り方を知りませんから、方針転換も出来ません。

で、破綻です。

社員が80人しかいない会社に50人もの新人を入れるとは、一体どういうことなのか?80人の中に、会社の敗勢を感知して退職しようとしている人が大勢いるからに違いありません。それが「格安」企業の末路です。

しかし、です、学生の皆さんは実はラッキーだったかもしれません。今回経済や経営について真剣に学ぶ機会を得たからです。是非バブル崩壊以降の日本経済について学んで下さい。

想い起しますと、バブル崩壊この方、皆さんだけでなく多くの日本人が「格安」というアヘンにハマってきました。

自分が消費者として「格安」商品を手に入れた時は、その「お得感」に酔うことが出来、次も「格安」を!その次はもっと「格安」を!!と要求せずにはいられなくなります。だからアヘンなのです。

しかし、学生さん、あなた方は同時に生産者でもあります。いったん格安企業に就職したら、値を下げるために辛酸を舐め尽くさねばなりません。

バブル崩壊この方、多く日本人が、このアヘン窟から逃れられませんでした。

だから日銀の黒田総裁が登場して、金融政策によって物価をあげ、デフレを解消する!と宣言した時、多くの人が期待しました。しかし結果は現状の通り。黒田総裁はまもなく寂しい任期切れを迎えます。

そう、人の心を変えない限り、金融政策で物価は上げられなかったのです。それが分かりました。

学生の皆さんは、今回このような経済の在り様を痛切に学ぶ機会を得ました。

次こそ、「格安」企業などへの就職は止めましょう。

そして、消費者としても「格安」消費は止めましょう。「格安」でハワイに行く金があるのなら、定価で箱根に行って、上質の時間を過ごしましょう。

皆がそうする国にしたいと私は思っています。皆さんも、出来ますればご協力願います。

追伸①

テレビ出演の予告です。

NHKテレビ「所さん!大変ですよ」4月13日20時15分放送予定。お楽しみに。

http://www4.nhk.or.jp/taihentokoro/

「霜降り牛肉に異変!?おいしい牛肉の謎」

高級牛肉といえば「霜降りの和牛」。このイメージが覆る事態が!老舗すき焼き店が「霜降りが多いA5の牛肉を使わない」と宣言したのだ。そもそも霜降りの量で格付けを行う動きがでてきたのはアメリカ産牛肉の輸入自由化交渉がきっかけ。肉牛農家では霜降りが入るよう心血を注いできた。それが消費者の健康志向が高まるにつれて「行き過ぎた霜降り」に対する見直しの動きが出始めているという。おいしい牛肉の基準を巡って何が?

【司会】所ジョージ,片山千恵子,【出演】澤口俊之,牛窪恵,モーリー・ロバートソン,【リポーター】徳永圭一,【語り】吉田鋼太郎

 

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.598日連続更新を達成しました。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)