和牛を食す④

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>

このように、和牛肉は、

・「煮る」

・滋養強壮の為ときおり「薬」として食う。

・生食する。

・箸で食べる。

という日本の食文化に合う食材として食されて来たことが良く分かると思います。

 

さてさて、それではこのような和牛と、日本人はこれからどのように接して行けば良いのでしょうか。

これまで通り、愛し食べ続けていただきたいことは勿論です。

初詣の帰りに・お彼岸の墓参の帰りに御家族と食べ、お爺ちゃんの還暦の祝いの日に食べ、あるいは会社の恒例の忘年会で食べ、はたまた課長さんが部長に昇格した日に食べていただきたいと思います。

とりわけ和牛肉はモタレませんから年配の方に適しています。是非お孫さんと一緒に食べていただきたいです。

しかし、最近は日本人が和牛を食べるだけでは飽き足らないようですね。所謂「強い農業」の一環として和牛を輸出する商談が盛んなのは私も知っています。

しかしですね、私は和牛の輸出は、和牛の特長をよくよく分かっておいでの方にやっていただきたいですね。

さらに申せば、和牛が食されて来た環境であるところの、日本の食文化についてもよくよく分かっておいでの方にやっていただきたいですね。

和牛肉は日本の食文化と一体のものです。輸出とは単にモノを運ぶだけの行為ではない筈です。文化のメッセンジャー役も果たしていただいて、それで初めて輸出なのではないでしょうか。

聞くところによりますと、海外からの注文に応えるために和牛の特質を損ねるような肥育方法~例えば肥育日数が不充分~に移行している生産者も在るということです。肥育日数が不充分であれば脂の融点が上がってしまいます=食べたらモタレてしまいます。

つまり和牛が和牛らしくなくなる懸念が今在る、ということです。

いかがなものかと私は思います。

おっと、最後がまた嫌味になってしまいました。私の悪いクセですな。

こういうことを言わなければ、このブログももう少し人気が出るんでしょうけどねえ。

あ、いや、今の読者さんで不満だという意味では決してないですよ。今回も長い文を読んでいただきありがとうございました。引き続きヨロシクです。

(終わり)

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.052日連続更新を達成しました。

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和牛を食す③

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>

かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は、普通の人にとっても食べ易い肉です。

とりわけ、箸で肉を生食する場合に、かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は食べ易いです。

ここからはもう、和食のもう一つの特徴である「箸で生食する」話しに入っています。

日本人は、魚の刺身は勿論のこと、卵も生食し、肉すらも生食して来ました。『安愚楽鍋』(1871年~72年)にも「生で食べるのザンスから薄く切ったのをわさび醤油を付けてサアはやく」という注文が出来たと書いてあります。

貴重な食材であれば、とにかく生食したがる日本人。不思議ですね。

本当は、肉も卵も魚も生食したら危険です。現代では冷蔵技術その他で、ある程度生食を実現していますが、それでも肉の生食は気をつけた方が良いと思います。

そんな危険なことを日本人は何故やるのか?!

とてつもなくグルメなのか。

災害大国で常に危険に曝されているから、食中毒くらい危険と思わないのか。

おっと脱線しましたが、ともかく日本人は生食が好きで、その際に食材が箸でちぎれないといけません。

で、和牛肉は生で、箸でちぎることができたのです。

その理由の一つは、上に書きました通り、かたくない脂を多く含んでいるからです。脂、とりわけ柔らかい脂が乗ることは食べ易さの点で大切なことです。

そしてさらには、和牛肉は筋線維(肉の赤身の部分)そのものが柔らかくて、軽く咀嚼するだけで細かくなって、口の中で変形し易く、飲み込み易い、要するに、食べ易い肉です。

だから和牛肉は箸で生食できたのです。

現在では、牛肉を生食することは食品衛生上余程気をつけるべきこととされていますが、従来肉がそういう食べ方をされて来たのは事実ですから、ここでも採り上げておきました。

このように、和牛肉は、

<この続きは、明日の弊ブログにて>

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.051日連続更新を達成しました。

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和牛を食す②

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>

次に、日本人がどのような場合に牛肉を食べて来たか考えましょう。

通常は食べることを避け、滋養強壮の為ときおり「薬」として肉を食って来ました。所謂「薬喰い」ですね。

江戸時代には彦根藩の味噌漬けが将軍家へも献上されていました、お薬として。

明治三年に福沢諭吉先生が『肉食之説』を唱えた時も滋養強壮が主眼でした。

「肉類のみを喰ひ或は五穀草木のみを喰ふときは必ず身心虚弱に陷り、不意の病に罹て斃るゝ歟、又は短命ならざるも生て甲斐なき病身にて、生涯の樂なかるべし」さらには肉食を避ける人達の論は「人の天性を知らず人身の窮理を辨へざる無學文盲の空論なり」とまで言っています。

では、このように弱った人~腸チフスに罹った時の福澤先生のような状態の人が食べ易い肉とは、どのような肉でしょうか?

私は、脂肪の融点が低い肉が食べ易い肉だと考えます。逆に融点の高い=融けずに固形のままの脂は消化しにくいのです。

そもそも脂肪というものは、胆汁で乳化され、次いで膵臓からのリパーゼで分解されて、腸管から吸収されますが、食後3~4時間してやっと吸収される位消化しにくいものです。このプロセスでとりわけ固体の脂肪が消化されにくいのは当然のことです。「かたい脂は胃もたれする」と言われるのは、これです。

その「かたい脂」が和牛には少ないのです。ここも和牛の一大特長です。世界的に比較して、和牛の脂の融点は低いのです。

牛の脂の融点を「40℃~50℃」などと表示している本があったりしますが、私が店で仕入れている和牛の脂は25℃位の室温でも融け始めます。かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいるからです。こういう脂なら、病身の人やお年寄りでも食べられるのです。

 

かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は、普通の人にとっても食べ易い肉です。

とりわけ、箸で肉を生食する場合に、かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は食べ易いです。

ここからはもう、和食のもう一つの特徴である「箸で生食する」話しに入っています。

日本人は、魚の刺身は勿論のこと・・・

<この続きは、明日の弊ブログにて>

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

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和牛を食す①

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。

<やや長いので四日に分けてUPします>

和牛を考えるに当たり、まずは和牛肉が食されて来た環境を考えてみましょう。

「食されて来た環境」とは「和食」という食文化です。和食には次↓のような特徴があります。

・「煮る」という調理方法を好む。

・通常は牛肉を食べることを避け、滋養強壮の為ときおり「薬」として肉を食う。

・生食することを好む。

・箸で食べる。

 

牛の一生は3~4年なので100年かけて改良すれば、25~33世代分の改良が出来ます。和食に馴染んだ日本人が、そういう改良を続けてきたということを念頭に以下をお読み下さい。

 

では最初に、日本人がどのような調理方法で牛肉を食べて来たか考えましょう。

日本人は「煮る」という調理方法を好み、牛肉も煮て来ました。水の豊富なこの国の人々は「煮る」という調理方法を発達させて来ましたが、フランスは「焼く」、中国は「炒める」ですね。で、日本は煮ます。

そもそも「煮る」という調理方法は、あらためて申せば水を媒介として食材を加熱する方法です。

「煮る」の決定的な特徴は、品温が100℃を超えないということです、当たり前ですが。

100℃を超えませんので牛肉を煮た場合も80℃から90℃で加熱されます。で、和牛肉はその温度帯で香り物質をたくさん揮発させるのです。

和牛肉は海外産の肉に比べて香り成分の総量が圧倒的に多く、特に「ラクトン類」という有機化合物がたくさん揮発します。桃やココナッツといった果物の好ましい香りを感じさせる匂いですね。

その「ラクトン類」こそが所謂「和牛香」つまり和牛の一大特長であるところの、独自の良い匂いの正体だと、近年の研究で明らかにされたのです。

このように牛肉を煮る、しかも客の目の前で煮るという調理方法が和牛の「香りが良い」という特長を最も楽しめる方法だと言えるのです。どうも、焼き肉屋さんに行った時より、すき焼き屋さんに行った時の方が良い匂いがするような気がするんだよね・・・と感じるのは、不思議ではないのです。

だいたい、すき「焼き」という料理名なのに煮ているのは、一体全体どういうことなんだ?!という超基本的な疑問の答えがここに在るかも!と私は思っているのですが、今日はすき焼きの話しではないので、それはさて置きまして、とにかく日本人の好む「煮る」という方法に最も合う牛肉が選抜されて来たと言えると思います。

 

次に、日本人がどのような場合に牛肉を食べて来たか考えましょう。

<この続きは、明日の弊ブログにて>

追伸

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会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

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三人閑談

慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが

「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。

さて、私以外の二人の先輩は、

まず銀座の洋食店「つばめグリル」の石倉悠吉さん。石倉さんは「料飲三田会」で旧知です。

それから山形県で「蔵王牛」を生産なさっている髙橋勝幸さんでした。

石倉さんが高い視点から食のビジネスを捉えておいでなのにビックリ。

高橋さんからは生産者としての具体的ご苦労の話しをうかがいました。今肉の相場が高くて、本当に関係者は大変なんです。

私はと申しますと、和牛の特徴を挙げて、それが和食という環境の中でどのように出来上がって来たかの話しをさせていただきました。それから福澤先生の肉食歴を少し紹介。

『三田評論』は基本的には定期購読者のみが読む本ですが、紀伊國屋書店の新宿本店で小売りしているそうですから、ご興味のある方はどうぞお求めください。

追伸

デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。

どうぞ、お立ち寄り下さい。

催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~

会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)

会場:玉川髙島屋 6階催し会場

 

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高級と一流

「高級」と「一流」は、チョイと違いますね。

高いこと自体に意義はあるのであって、そういう店が好きな方もおいでですから、

高級店は必要です。

まず金のかかった店を建設し、次に有名な材料を仕入れて、それにガメつく値入れをして売れば高級な店を造ることは可能でしょう。

できれば接客要員には美女を雇ってセクシーな格好をさせましょう。そうすれば、高級な店を造ることは可能です。

では、そういう店に行って、人は何か学ぶ所があるでしょうか。

微妙ですね。

学べるとしたら、高級な店を造るには金が要るということ位でしょう。

では、ここで浅草の「弁天山美家古寿司」さんに行ってみて下さい。

値段は安い店ではなく、まあ、高い部類に入るかもしれませんが、有名産地のマグロとかはありません。

店の造作も金ピカではありません。造作がシンプルなので、「これが有名な美家古寿司なの?」と拍子ぬけする人もいるかもしれません。

しかし寿司は「江戸前寿司」をしっかり継承したものです。冷蔵庫や冷凍庫を持たない時代に日本人は、このような方法で魚を食べていました。

新技術を持たなかったからこそ、日本人が持っていた食の知恵がここに在ります。それが寿司の中に凝縮されていて、一流の仕事と思います。

そう、この御店さんは超高級ではないかもしれませんが、一流です。

一流なお店に行くと必ず何か学ぶものがありますが、高級なだけの店の場合そうでもないこともあります。

「高級」と「一流」は、チョイと違うのです。

 

追伸

慶應義塾の機関誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。

『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。

『三田評論』は基本的には定期購読者のみが読む本ですが、紀伊國屋書店の新宿本店で小売りしているそうですから、ご興味のある方はどうぞお求めください。

 

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離れですき焼き

「塩爺」こと故・塩川正十郎さんに、私は何の御縁も接点もございませんでしたが、勝手に好感を持たせていただいておりました。

トボけた口調の「塩爺節」が愉快だったというだけでなく、肉好きな方でもありました。

報道によりますと、「健啖家で肉が大好き。亡くなる直前までお元気でした。」

「母屋(一般会計)でお粥をすすっているのに、離れ(特別会計)ですき焼きを食っている」という、あの名言も肉好きだからこその発言だったのですねえ。

亡くなった後に報道されたエピソードもなかなか良い話しですねえ。例えば、

・小選挙区制初の96年衆院選で落選。過去にガンを患っていたこともあり、「復活は絶望的」とみられていた。ところが次回戦で徹底的なドブ板選挙を展開。支持者の主婦に『おばちゃん、知り合い集めといてくれ』と声をかけ、主婦が『せんせ、3人しか来えへんわ。ごめんな』とあやまると『ありがとう、ほな行くわ』と駆けつけた。

・塩川氏は安倍晋太郎氏が死去する際に「小泉の面倒を見てやってくれ」と託されていた。後見役を務めてくれた塩川氏の恩に報いるために、小泉氏は首相になると財務相という要職を用意した。サプライズ人事のひとつと言われたが、大阪弁ととぼけたキャラクターで若い世代にも人気を博し、知名度は一躍全国区に。

 

ご冥福をお祈り致します。

 

追伸

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良いとこ獲り

浅草は「なんちゃって」な店を何時だって許容してきました、と以前にこのブログで書きました。

しかし浅草は「利殖家」「良いとこ獲り屋」には手厳しい街です。

「利殖家」またの名を「良いとこ獲り屋」とは、業界の情勢が良い時に進出して来て、風向きが変ったら撤退して行く人達のことです。

例えば、私が今大キラいなのは「民泊」。

個人の持ち家を「旅館業法」の営業許可を得ることなく、外国人観光客に貸し出す事業のことです。平成26年辺りからインバウンド観光客が増えているとみて、事業を開始した輩が多いですが、連中は、普通の下宿人に貸すよりそうした方が利幅が大きいと思うからやっているだけで、旅館業が好きなわけではありません。

本当にリアルに私が見た話しですが、浅草のマンションの一室の所有者が中国人に部屋を貸してしまいました。キーロックで守られている筈のマンションに外国人が自由に出入りしています。アンビリーバボーなことです。

「民泊」の施設は国土交通省、厚生労働省、消防庁、警視庁の御指導をうけていません。

衛生状態や火災時の安全を確保するには、それなりの設備投資が必要ですが、「民泊」の施設は、そういうことをしません。

一方、これまでずーっと、国の御指導に従順に従って来た老舗の宿泊業の皆さんは、あんな連中に客を奪われて、本当にお気の毒なことです。

なのに政界の大勢は、「民泊」を規制緩和して「成長戦略」の一つにしよう!という方向なのだとか。オリンピアなる、いっときの狂騒のために、永年国の指導に従って来た人たちが利益を得る、わずかの機会を取り上げるとは。

「良いとこ獲り屋」が罷り通る国に成ってしまったらいけません。このような為政者の下に居ることが、私は気分悪くて仕方ありません。

南無観世音菩薩。

話しを戻しますが、「なんちゃって商人」と「良いとこ獲り屋」は違います、断じて。

 

追伸

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シルバー・ウイーク

少し前の話しになりますが、9月の「シルバー・ウイーク」に弊店はお陰様にて忙しく営業させていただきました。

FBで「今日は大入り!」などとUPしたので、私がさぞ喜んでいるだろうと思っておいでの方がいるかもしれませんが、

違いますのでね。

店の中に入れないお客さまを断り倒すのって、愉快な作業ではありませんよ。中には怒り出す人もいますしね。

普段は大して忙しくないのに、こういう時だけ忙しいのって、本当に良くないことですが、日本人って、本当に、正月とかGWとかお盆しか観光してくれないなんですよね。

店としてこういう忙しい時期に儲けよう!と思えば、結局基礎体力以上の仕事をすることになり、、サービス品質の低下を招きます。この構造を是正しない限り、日本の観光産業の未来は暗いと言えましょう。

観光の分散化・休暇の分散化を妨げているのは、ハッキリ申して財界です。

新しい祝日「山の日」を制定するに当たっても、当初案の6月に反対し続けたと聞きます。

6月には祝日が一個もなく自殺の季節だから、ということで「山の日」の話しは始まったのに、結局8月のお盆の近所が「山の日」になったは、休暇を集中させたいが為です。

今までは、人々はお盆の前と後にわかれて休んでいたのに、来年からは「山の日」が在る「お盆前」に、全国民の休みが集中することでしょう。桑原。桑原。

この構造を是正しない限り、日本の観光産業の未来は暗いと言えましょう。

だいたいお尋ねしますが、ホンの少しの能率低下が差し障る会社って、日本に何社位在るんでしょう。

グローバルに戦っちゃっている会社の経営者の人は、0.1%の能率低下が気になるかもしれませんが、それはごくごく少数派ですよね。

ほとんどの中小企業は、ひどい非効率を内に抱え込みながら、なんとか頑張っているんです。

休みくらい、自分の会社に合った休みにすれば良いと私は思うんですよね。

全国の、小さい会社の社長さんに申し上げますが、

正月とかGWとかお盆とか、シルバー・ウイークとか、観光地は込むんですよ。出来ればそういう日を避けて休みましょう。

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既読無視

せっかく美味しいすきやきをご用意したというのに、お客様が部屋を抜け出て来て携帯電話で揉めています。

あんまり御声が大きいので、内容が丸分かりなのですが、要するにはラインの既読無視の件。大の大人と申しますか、初老の殿方ですが、内容は中高生と同じですな。

同窓会でラインを始めたらしいのですが、私はラインをしないので、そういう気持ちがさっぱり分かりません。

おや、不審に思ったご家族が呼びに来ました。

何いつまでも話してるのよ?!と烏賊リング・モード、いや、間違えた、怒りング・モード。当然です。かれこれ30分は揉めてますからねえ。

そうそう、戻りましょう。浅草まで見えたんですから、すきやきを食べましょうよ。はい、ちゃんちゃん。

・・・と、思いきや、また抜け出て来て携帯取り出して、さっきの話しを再開するの?!

アイツは昔からそういうヤツだった!

アイツが来る同窓会ならオレは行かないからな、絶対に!

世も末ですな。

南無観世音菩薩。

 

追伸

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