和牛を食す②
慶應義塾の広報誌『三田評論』の10月号に出演させていただきました。
『三田評論』には毎月「三人閑談」といって、三人の卒業生が対談するコーナーがあるのですが、今月のテーマが
「和牛を食す」で、そこに入れていただいた次第です。光栄なことでした。
以下↓は『三田評論』に載った文そのものではないですが、対談の準備のために書いたものですので、是非お読み下さい。
<やや長いので、10/8から四日間に分けてUPしています>
次に、日本人がどのような場合に牛肉を食べて来たか考えましょう。
通常は食べることを避け、滋養強壮の為ときおり「薬」として肉を食って来ました。所謂「薬喰い」ですね。
江戸時代には彦根藩の味噌漬けが将軍家へも献上されていました、お薬として。
明治三年に福沢諭吉先生が『肉食之説』を唱えた時も滋養強壮が主眼でした。
「肉類のみを喰ひ或は五穀草木のみを喰ふときは必ず身心虚弱に陷り、不意の病に罹て斃るゝ歟、又は短命ならざるも生て甲斐なき病身にて、生涯の樂なかるべし」さらには肉食を避ける人達の論は「人の天性を知らず人身の窮理を辨へざる無學文盲の空論なり」とまで言っています。
では、このように弱った人~腸チフスに罹った時の福澤先生のような状態の人が食べ易い肉とは、どのような肉でしょうか?
私は、脂肪の融点が低い肉が食べ易い肉だと考えます。逆に融点の高い=融けずに固形のままの脂は消化しにくいのです。
そもそも脂肪というものは、胆汁で乳化され、次いで膵臓からのリパーゼで分解されて、腸管から吸収されますが、食後3~4時間してやっと吸収される位消化しにくいものです。このプロセスでとりわけ固体の脂肪が消化されにくいのは当然のことです。「かたい脂は胃もたれする」と言われるのは、これです。
その「かたい脂」が和牛には少ないのです。ここも和牛の一大特長です。世界的に比較して、和牛の脂の融点は低いのです。
牛の脂の融点を「40℃~50℃」などと表示している本があったりしますが、私が店で仕入れている和牛の脂は25℃位の室温でも融け始めます。かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいるからです。こういう脂なら、病身の人やお年寄りでも食べられるのです。
かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は、普通の人にとっても食べ易い肉です。
とりわけ、箸で肉を生食する場合に、かたくない脂=不飽和脂肪酸を多く含んでいる肉は食べ易いです。
ここからはもう、和食のもう一つの特徴である「箸で生食する」話しに入っています。
日本人は、魚の刺身は勿論のこと・・・
<この続きは、明日の弊ブログにて>
追伸
デパートの催事に出店して精肉の販売をさせていただきます。
どうぞ、お立ち寄り下さい。
催事名:dancyuフェスティバル~dancyu×髙島屋グルメの祭典~
会期:平成27年10月14日(水曜日)~19日(月曜日)
会場:玉川髙島屋 6階催し会場
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.050日連続更新を達成しました。