魯山人の器

国際観光日本レストラン協会の研修会が紀尾井町の「福田家」さんでありました。

「福田家」さんと言えば、魯山人。

初代が昭和14年に「福田家」を開業する時に魯山人に指導を乞うたという歴史があります。

この日も魯山人作品を拝見した後、食事。食事の最後のデザートは魯山人の器に盛って出して下さると言います。光栄至極です。

そういう次第で、まず食事前に鑑賞タイムです。

800年前の古民家を移築したという一室に魯山人作品が並べられていて、しげしげと拝見する内、一人の人が言いました・・・

なんで、魯山人って、こんなに珍重されているの?

私も、それは疑問に思っていましたので、この際考えてみたのですが、それは、

やはり知名度であり、知名度の背景にあるのは作品の絶対数だろうと思います。

魯山人作品は「作品」と言うよりは、実際に使う器で、魯山人が関わった店のために多数焼かれています。

成形作業は人にやらせ、本人はそれを少し歪めた上で、絵付けや釉薬掛けをして焼きます。

絵付けのデザインも、独創は多く無くて、骨董の模写で在ることが多いです。そういう造り方だから、作品数が非常に多く、色々な所で目にすることが出来る、それで知名度があるのです。

知名度は取引価格に反映され、魯山人=高いというイメージが出来上がったと思われます。

一方、魯山人と対照的な存在として板谷波山がいます。

波山は陶芸家として初めて文化勲章を獲った人ですが、非常に精緻な仕事をした人ですので、当然作品点数が少なく、作品を目にする機会がほとんどありません。

作品が少ない⇒目にする機会がない⇒知名度が低い と成ります。

例として適当か分かりませんが、〇〇牛という牛のブランドも、ある程度の頭数をコンスタントに出荷してくれないと知名度が上がらないいうことがあります。

味の評価

美術品としての評価

とブランド力は別物という事例だろうと私は思います。

さてさて、野暮な話しはこの位にしましょう。

食事は進み、魯山人でデザートを食べるだけではつまらないので、空いたその皿で酒でも飲みますか。

すみません、徳利をこちらへ回して下さいな。

え? その皿で飲むのか、関取みたいだぞ、それにそんなことすると出禁になるぞ って?

うーい、ひっく、もう飲んじゃいました・・・

追伸、

すき焼き思い出ストーリーの投稿を募集しています。

すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。でも残念ながら、その思い出話しをまとめて保存したことはなかったように思います。

ご投稿くださったものは、「ちんや」創業135周年を記念して本に纏め、今後店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存させていただきます。

どうぞ、世界に一つだけの、すき焼きストーリーを是非、私に教えて下さい。

投稿〆切は9月末日です。

既にご応募いただいた、約60本のストーリーはこちらです。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.027日連続更新を達成しました。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)