熟成魚ブーム
熟成ブームが肉から魚に波及したそうです。
良いことなのやら、そうでもないのやら。
「肉に続く熟成魚ブーム 衛生管理わきまえない便乗店に懸念も」という記事によりますと、
「一定期間寝かせた肉を食べる「熟成肉」ブームが続いているが、今度は「熟成魚」を提供する寿司屋や海鮮居酒屋が人気となっている。」
「これら熟成魚ブームの高まりによって、「今後懸念されることもある」と話すのは、日本外食新聞編集長の川端隆氏だ。 「肉も魚もそうですが、きちんとした衛生管理の下で魚の旨味を最大限に引き出す熟成技術をわきまえないと、食中毒などのリスクは高まります。今後、ブームに便乗しただけの飲食店が増え、問題を起こせば一気に規制強化されてしまう恐れがあります」
私の知人の魚のプロも心配していました。
牛肉の場合、肉の大きさ自体が大きく表面は脂に覆われていて、食中毒菌が中へ浸透することが少ないですが、魚はなにしろ小さいですからねえ、心配があります。
菌が付いても表面を削って捨てればOKですが、元々大きくないのですから、それを削って廃棄することは経済的にとっても割高な行為です。
ああ、もったいない!と思うあまり削り方が緩くなれば、はい、食中毒です。
事件が起きて、こちらまでトバッチリが来ると困ります。
それからもう1点。
魚を熟成させるということは、これまでの魚の食べ方と相当違う行為だということに、ちゃんと気づいてから食べて欲しいです、というのが私の意見です。
そもそもですが、魚を食べるとは、魚のイノシン酸の旨味を愉しむ行為です。
細胞の核酸が分解して作られるイノシン酸は代表的な旨味物質ですが、長期間は安定せず、やがて分解されて旨くない物資に成ってしまいます。
「ハマチは〆て10時間~12時間たった頃が旨い」というのは、イノシン酸がピークに成る時期をさしている訳で、その後は増えません。
その後で増えるのは、細胞の普通のタンパク質に由来するアミノ酸で、魚を「熟成」させるとは、元々愉しんでいたイノシン酸を放棄してアミノ酸を求めることなわけです。それは肉の場合と同じです。
日本の魚食文化の本質は、そのイノシン酸なのですから、一時の流行りでそれを放棄することに私は賛成できません。
少なくとも、そのことを食べ手に伝えてから、食べさせるべきだと考えています。
ヨロシクです。
追伸、
すき焼き思い出ストーリーの投稿を募集しています。
すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。でも残念ながら、その思い出話しをまとめて保存したことはなかったように思います。
ご投稿くださったものは、「ちんや」創業135周年を記念して本に纏め、今後店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存させていただきます。
どうぞ、世界に一つだけの、すき焼きストーリーを是非、私に教えて下さい。
投稿〆切は9月末日です。
既にご応募いただいた、50本のストーリーはこちらです。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.017日連続更新を達成しました。