スゴ~イデスネ
『世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団』というTV番組で、日本の野菜を採り上げていました。
この番組では、毎回テーマに沿った外国人専門家集団=「視察団」を日本に招き、さまざまな場所や人を視察してもらいます。
そうして結局「ニッポン、スゴ~イデスネ!」と言わせようという自画自賛番組です。
私は昨年11月の本放送を見逃して、年始の再放送で視ましたが、うーん・・・と考えさせられました。
考えさせられた今回のテーマは、
「日本の野菜」。
当然野菜のプロが来日して、まず日本のスーパーの野菜売り場を視察。鮮度管理は褒めていたものの、「顔の見える野菜」には、感心しない表情を浮かべていました。
「顔の見える」とは文字通り、野菜のパッケージに生産者の笑顔写真が印刷されている、あれのことです。QRコードにスマホを近づけると生産者からのメッセージやレシピまで見られるとか。ここで当然、
スゴ~イデスネ!!
と言わせたいところですが、視察団曰く、
個人情報より、どんな生産方法かを知りたいですね!
そうそう、そうですよ。
外国では有機農法にウルサい人が多いので、心を込めて育てているかより、どういう育て方なのか、を知りたいわけです。
続いて視察団は野菜の仕分け場へ。地元のJAさんが運営している、キュウリの仕分けラインです。
日本人らしく、実に細かい区分があります。
大きさ、曲り具合、変形などの基準で細かく細かく仕分けします。しかもコンピューター制御で、1秒間に何個も仕分けます。
さらにカメラに映らないキュウリの問題点~例えば「芯ぐされ」は人間が触感で判定します。こちらは所要時間約1秒。
スゴ~イデスネ!と言いたいところですが、私は微妙でした。
仕分けの基準に味が入っていないからです。
曲がっていないものは「料亭に行く」とテレビでは説明していましたが、本当にそうでしょうか。曲がっていないものばかり欲しがるのは、むしろチェーン・レストランのセントラルキッチンでしょう。料理人がいないからです。
本物の料亭は曲がっていても味の在るキュウリを欲しい筈です。
この仕分け方法の根本精神は、徹底的な平準化であって、大量供給・安定供給の為にはこれで良いのでしょうが、私は微妙な気分でした。
そして、これを視てさらに私が思ったことは、
ニッポンのJA、スゴ~イデスネ!ということでした。
日本の農業は「弱い」と評判ですが、JAさんは強いです。
別の場面では、野菜を保管する巨大真空冷蔵庫や出庫管理システムを見せてスゴ~イデスネ!と言わせていました。
たしかにスゴ~イデスネ!な資本の糖化ぶりです、イヤ、投下ぶりですね。農業は弱くてもJAさんは強いんです。
そして私が微妙な気分に成るのは、曲がっていても味の在る野菜を作りたいと言う人も、JAさんの傘下で生きて行かねばならないことです。資金はJAさんから借りてますからねえ。
JAさんは、その利息を投じてますますスゴ~イデスネ!な設備を建設します。
そう言えば、先日の佐賀県知事選でJAさんは、かのアベ政権に勝ちました。
うーん。
スゴ~イデスネ、本当に。
追伸
一冊丸ごと「すき焼き大全」とも申すべき本が出ました。
タイトルは『日本のごちそう すき焼き』、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
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