木曽路はすべて
実に残念ですねえ、「木曽路」さん。
あの価格帯で118店もの店舗を展開している会社って、なかなかないです。牛丼とか、ファミレスとか、居酒屋で大規模な会社はたくさんありますが、まともな和牛を使うような店で118店って、私なんぞにはとても考えられないことです。
そもそも、そこに無理があったかもしれません。しかも松阪牛だなんて。
しかし、当の本人はそれが可能だと考えて取り組んだわけですから、やはり偽装はいかんですな。刑事処分もされることでしょう。残念です。
今回の事件で私が一番に残念だと思うのは、ブランドのことです。
やはり日本人って、ブランドがないとお金は出さないんだねえ、ということです。
「木曽路」さんの公式サイトを見ますると、ブランドのことはさほど強調されておらず、むしろ会社の経営理念とか、どういう店にしたいのかが分かるように出来ています。なかなか良いプレゼンに思えます。これを信じて食べに行った人は多数いると思います。
それだけに残念です。内心はやっぱりブランドで客を吊ろうと考えていたんですねえ。
せっかくの経営理念も、これでいっぺんに「絵空事」扱いとなりましょう。
極め付けだったのはテレビ報道です。とあるテレビのキャスターさんがこの事件について、捨て鉢にも、
日本人って、肉の違いは分かりませんからねえ!
とコメントしたのです。ご自分が焼肉屋を経営なさっているのに!!!
「木曽路」さんもキャスターさんも、結局、客の舌を信用していなかったのですね。
しかし私は信じますよ、「ちんや」のお客様の舌を。
信じるどころか、「ちんや」の肉の味を評価して下さる、お客様の舌こそが、弊社にとっての資産です。
本当の資産とは金でも土地でも建物でもなく、そうしたものだと私は考えています。関東大震災・太平洋戦争と二度丸焼けに成った、浅草の人間には自然とそういう思考が身についているのです。
だから私は、知名度のないブランドの肉でも、旨ければ高い値段を付けて売っています。おそらく、
高いなあ!
コスパが悪い店だなあ!
と思われていることでしょう。世間の大方はそうかもしれません。
逆に、ブランドなのに旨くない牛が、世の中にはたくさんいますが、その大方の方々は、そっちは納得して食べるようです。
しかししかし一方、大方でなくても、「ちんや」に通って下さる御客様はいます。はい、店が潰れない程度の数のお客様は。
だから「ちんや」の、旨いノンブランド肉を食べて「旨い!」と思ってくれない人=ブランド崇拝の人は、ウチに来てくれなくてOKなのです。
そういう人は、どんどん、「木曽路」さんにいらして下さい。
今後は多分キチンと表示なさるでしょうから、安心ですよ。
そう、今までが「夜明け前」だったのです。
追伸①
お盆ですが通常通り営業いたしております。どうぞお出かけ下さい。
今月の休業日は8/19(火)と8/26(火)です。連休は9/1-9/4にいただきます。よろしくお願い申し上げます。
追伸②
8/23に、食育企画『親子体験食味学習会』を開催します。まずすき焼きの歴史を学習、その後肉のカット体験。その次には本格的にすき焼き。チャンとした参加証も貰えますから、自由研究にピッタリ。是非親子でご参加を!
詳しくは、こちらです。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.629日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。