飼料米
円安で困っているのが畜産業界です。
実は畜産業界はエサの相当部分を輸入飼料に頼っていて、円安に成れば、その飼料価格が高騰します。当然経営が苦しくなる、というわけです。
カロリーベースで見た日本の食料自給率が低い理由も、これです。
「畜産物については、国産であっても飼料を自給している部分しかカロリーベースの自給率には算入しないこと」がカロリーベースの考え方ですので、経済学者の野口悠紀雄先生のように、「カロリーベースの食料自給率向上」は政策目標として無意味であると主張している方もおいでですが、その話しはさて置きまして、今日は飼料が輸入ものばかりである件です。
輸入飼料のメインは、アメリカ産のトウモロコシです。はっきり申しまして日本の畜産農家はアメリカさんの上得意先に成っているのです。
この状況を直そうとすれば小浜さんの逆鱗に触れる可能性もあるわけで、政府中枢は自給率を上げたい!と言いつつ、実は内心本気ではないのだろうと思います。
政府がおよび腰でも地方では、輸入飼料を減らす試みが始動しています。
先日伊勢の帰りに松阪に寄り、三重県畜産研究所の所長さんにお目にかかりましたので、
最近はどういう研究をなさっておられますか?
とお尋ねしましたら、最近は飼料米ですね、というご返事でした。
松阪だけではないのですが、国内で唯一自給可能な作物である米を飼料にする動きが、このところ盛んです。
減反政策によって生産者が作りたくても自由に米を作れない状況にあり、耕作放棄農地が増えている位ですから、それを転用するのは勿論善いことです。
しかも米のような純度の高いデンプンを与えると、トウモロコシと比べて、肉に含まれる脂肪の融点が下がる、という研究結果があります。
脂肪の融点が下がる!⇒食後にモタレない!ですから、「ちんや」としては大歓迎ですね。
しかしです、やはりコストの問題は大きいようです。
アメリカの大平原で大量に育てられたトウモロコシよりは、どう考えても日本の米は高いです。それに牛さんは固い米を食べたがりませんから、粉砕したり蒸したりしてから与えるという手間がかかります。それも当然コストです。
結局薬局、高いコストを負担してもOKな産地=つまりブランド力のある産地で飼料米の研究が進んでいる、というのが、アバウトな現状でしょう。
飼料米導入は善いこととは思いますが、万々歳ではないですね。
追伸
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毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。