無料の氷

客が好きなだけ物を持って帰れるようにするのって、今時は良く見かける光景ですが、ものスゴく問題在ると、私は思っています。

タダで、好きなだけ持って帰れる箸やスプーン、楊枝。

タダで、好きなだけ持って帰れる各種付属品類や袋類。

タダで、好きなだけ持って帰れる調味料。

みんな相応の経費がかかっているのに、客が好きなだけ持って帰れるような状態で放置されています。

店側が物を管理したり、配膳したりする人の人件費を支払うのがイヤなので、放置されているわけです。

変わりダネとして、スーパーの肉売り場には、

タダで、好きなだけ持って帰れる「牛脂」が在ります。

でも「牛脂」ですよ。

100%牛の脂ではなく、牛の脂のように固めたものです。売り物ではないので、成分表示はまずたいていなされていません。今度時間があったら、スーパーの肉売り場の人に成分を確認なさってはいかがでしょうか。

こうした放置物品の源流はファミレスのドリンク・バーでしょうか。1992年に「ガスト」で始まったと言いますから、登場して20年以上たちますが、日本の「失われた20年」に重なりますね。

ファミレスでは金を払わないとドリンクの食器が出て来ませんが、今時の回転寿司などでは食器までも放置されていて、それを使ってビール(のようなもの)を飲みます。

これは恐ろしいことです。その食器を意図的に汚すテロリストがいたら、誰もそれを防げませんね。

テロは、まあ、少し大げさかもしれませんが、これが経済の悪循環の入口だということは確実に言えます。

*物を管理したり、配膳したりする人の人件費を支払うのがイヤ

⇒タダで、好きなだけ持って帰れるように放置する

⇒本当に好きなだけ、自宅で使う分まで持って帰るヤツが現れる

⇒対抗策として、出来るだけ安く、品質の悪い品を用意する

⇒経済全体をデフレ方向に引きずる

⇒デフレで店の経営が悪化し、物を管理したり、配膳したりする人の人件費を支払うのがイヤになる

という見事な悪循環が成立しますね。

「ちんや」の場合、トイレの置いてある楊枝が、「好きなだけ持って帰れる」に該当します。

たまにこれを自宅で使う分まで持って帰られます。たまに、ですが。

しかし、個室の室内でカレシの面前で楊枝を使いたくないという女性は多いですから、トイレに適当な量を置いておく他ありません。

「楊枝がご入用の方は係員にお申しつけ下さい」と廊下に貼りだすのもヘンです。トイレにおけば、自宅で使う分まで持って帰られます。

しかし、ここで経営者としては堪えないといけません。相応の品質の品を置かねばなりません。

相応の品質の物である方が、むしろ常識人にとっては、過剰にたくさん持って帰ってはいけない物に見える筈です。常識人なら「安物ではないから、余分に持って帰ったら御店の人が気の毒」と思う筈です。その心理に依拠して、どんな品を置くか考えることが大事だと思っています。

さて、ここで〇×クイズです。

そのような、好きなだけ持って帰れる物って、本当に好きなだけ持って帰っても構わないものでしょうか? さあ、〇か×か?!

報道によりますと・・・

「・・・茨城県にあるスーパーマーケット、その入り口付近には、買い物客が無料で氷を持ち帰れるように、製氷機が用意されていた。」

「男性(49歳)は7月29日午前10時20分ごろ、この製氷機から12キロの氷を、持参した袋に入れて持ち帰ろうとした。」

「店長から「買い物客用の氷だからやめてほしい」と注意を受けたが応じず、通報を受けて駆けつけた警察に現行犯逮捕された。」

容疑は「窃盗」。しかし逮捕された男は「私は窃盗だと思っていない」と言っているとか。

はい、クイズの正解は×でした!

まったく、世も末ですな。

南無観世音菩薩。

追伸

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詳しくは、こちらです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.621日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)