建築家の「三方良し」
地元の建築家で旧知の、上垣内伸一さんの講演を聞いてきました。演題は、
「三方よしの『地域よし』を目指して」
~「売り手よし買い手よし世間よし」が地域を幸せに~
でした。ご本人曰く、
「農作物も最近は作り手の顔が見える売り方になってきたように、建築も作り手の顔の見
えるつくり方が見直されてきているような気がします。売り手(作り手)と買い手(発注者)と世間(地域)の三方が、ともに良い思いをする仕事こそ幸せなんじゃないかと信じ実践してきた自分の仕事や、関わった地域のお話しを通して、少しでも皆さんの普段のお仕事のお役に立てれば幸いです。」
この御題にそって、上垣内さんが手がけたいくつかの事例が紹介されました。
福島県鮫川村の村民保養施設「さぎり荘」では第30回福島県建築文化賞復興賞を受賞したそうです。ほおっ!
「さぎり荘」は画像を見るだけでもオサレな建築ですが、しかし本当に面白いのはデザインではなく、暖房です。
「さぎり荘」には高性能の木質バイマオス・ボイラーが導入されていて、そのボイラーが施設に熱を供給しているのですが、このボイラーには、これまでは「廃棄物」として処理されていた間伐材、剪定枝、廃材などを、そのまま投入することができるのです。
木材をいったんペレットやチップに加工する必要がなく、周辺里山のナラ材・杉材が、すぐに再生可能エコ・エネルギーとして生まれ変わるのです。
そして、さらにさらに面白いことが。
それは、その木材の集め方。
村のお年寄りが木材を集めてくると、それを村が買い取るのです。
これにより里山保全と雇用創出が可能になります。それまでは病院のロビーでウダウダしてばかりだったお年寄りが材木集めに勤しむようになり、なんと、お元気に成ってしまった(!)とか。
この方式を、より見える化するため、上垣内さんは、当初裏口に置くはずだったボイラーを表側へと設計変更。ガラス張りにして利用者から良く見えるようにしました。
そしてボイラーの前は「薪割り広場」。
地元の子供や都会から来たエコツーリズムの観光客が、薪割り体験をして、それをボイラーに投入、その熱で沸かした風呂に入れるのです。
素晴らしいです。
上垣内さん曰く、「建築をいつも建築単体として成立させないようにしています。」
とても参考になります。
料理屋でも応用してみたい・マネしてみたいと思う事例でした。
追伸、
入谷鬼子母神の「朝顔市」は、7/6-7/8です。
浅草寺の「ほおずき市」は、7/9-7/10です。
お間違えなく!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.588日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。