たからもの

ちょうど桜の散る頃、なにやら中に物が入っているらしき郵便物が届きました。

差出人は苗字のみで住所は無し。

イヤな予感がしました。異物混入の事件が起きて、そのブツを送ってきたのかなあ、と思ったのです。

ところが開けてみましたら、憂鬱な気分は吹っ飛び、パっと明るい気分になりました。

「先日うかがった時に子供が誤って箸置きをポケットに入れて来てしまいました。申し訳ありません。」

と箸置きを送って下さったのです。これは嬉しかったですね。

その箸置きは実は、なでしこの箸置きなのですが、ピンク色が鮮やかなので、「ちんや」では3~4月上旬に使ってます。

わざわざ送って下さり、もう一度桜が咲いた気分でした。

差出人が苗字のみで、こちらからは連絡できないので、画像をFBにUPしましたら、知人から、

「面倒だから、いいか、と思うのが普通でしょう。いやいや、ちゃんと返そうと思わせたのはお店の力です。いいお客さんが多いですね。たからもの。」

とコメントが入り、ますます気分がよくなりました。

実を申しますと、箸置きはなくなることが結構あります。

でも、持って帰りたくならないような、サエないものではダメと考え、意地で気の利いたものを使うようにしています。

弊店は会員制の店ではありませんので、全ての来客が善人というわけには参りません。しかし、だからと言って性悪説をベースにしてしまったら、そこでその店はお終いだと思います。

今回の御客様は、きっとそこを分かって下さったのでしょう。

在り難いことです。

南無観世音菩薩。

追伸

JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号

「JAPAN PROJECT 東京ようこそ、おもてなしの首都へ」に載せていただきました。在り難いことです。ご搭乗のおりにご覧ください。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.496日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)