冬ごもり志向
さて税率が8%になりました。
駆け込みと反動ばかりが報道されていますが、そんな表層的なことで大丈夫なんでしょうか?
と思っていたら、経済学者の斉藤精一郎先生も、私と同意見だったようです。
3月に小売業界が駆け込みを奨励した結果、先生によりますと、
「結果として見ると、消費者の冬ごもり志向(低価格志向)を強化させてしまった面もあります。換言すれば、小売業界の“仕掛け”がかえって消費心理を低価格志向に向かわせてしまった。「安くてもいいものがあるのではないか」「できるだけ消費は効率的にしなければならない」という志向が高まってしまっているように思います。」
その通りですよね。業界が自分で自分の首を絞めたのではないか、と私はとても心配です。
税率が上がった結果「冬ごもり」が強化されて、必需品の業界では今後低価格志向が強まり、一方贅沢品は購買頻度が下がるでしょう。
で、どうなるのか⇒斉藤先生の見立てでは、「プチ贅沢」が盛んになる、例えば「吉野家」さんの「牛すき鍋膳」が売れる、ということだそうです。
いやあ、それは困りますなあ、たしかに牛丼に比べれば贅沢かもしれませんが、本物のすき焼きに比べれたらチープなのであって、すき焼きという贅沢品の購買頻度を下げて、「プチ贅沢」品で代替させるだけだと思いますよ。
この部分については私は無視します。
まあ、学者さんの見立ては、こういう感じになるのでしょう。
このブログの2013年5月18日号に書きました通り、
すき焼きを必需品にしていまえば良いんです。
自分の家族は毎年初詣の後に、浅草ですき焼きを食べる、とか
自分の家族は毎年お彼岸には墓参りに行って、帰りに浅草ですき焼きを食べる、とか
自分の家族は毎年お爺ちゃんの誕生日には、浅草ですき焼きを食べる、とか
ウチの会社の忘年会は毎年で浅草ですき焼きを食べる、とか・・・
決めている人には、すき焼きが必需品なのであって、他の商品では代替できません。
そういう商品=その方の気持ちと結びついた商品を提供していくのが良いと思います。気持ちと結びついていれば値引きも要求されません。
だいたい、値引きを言ってくるのは旅行業者とかネット業者とかだけです。
逆に申しますと、そういう売り方をしていかないと消費税が引き起こした「冬ごもり」志向=新たな低価格志向の波に呑まれてしまいます。
それは学者さんには出来なくても、商売人には出来るんです。簡単ではないですが出来るんです。
そして、これから経済を支えることが出来るのは、そういう商売人だと思っています。
追伸
JALさんの機内誌『SKYWARD』の4月号
「JAPAN PROJECT 東京ようこそ、おもてなしの首都へ」に載せていただきました。在り難いことです。ご搭乗のおりにご覧ください。
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毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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