風評被害
隅田公園の桜が満開です。花見は初詣や墓参りのようなもの。震災の年だからこそ、お元気な方は、今年の花に無事を知らせてはいかがでしょう。
花見するぞ、ニッポン! さて、
食品を供給する立場の者が、風評被害に遭った時どれだけ辛いか、そういう経験のおありでない方に説明するのは難しいかもしれません。
私も、平成13年のBSE問題の時の苦しさを忘れることはできません。あの問題が明らかになってから、牛の全頭検査体制が整うまでの間の時期が、特にしんどかったと記憶しています。
今、原発に近い地域で、野菜や作物を作っておられる皆さん・料理屋の皆さんは、本当にお辛いだろうと拝察いたします。
なにしろ風評被害は目に見えません。家が倒れたとか流されたとか、そういう具体的な現象はまったく見えないのですが、風評は確実に人の生活を破壊します。少しずつ、真綿で首を絞められる感覚と言って良いでしょう。
さらに辛いのは、自分が被害に遭う、その根拠に合点がいかないところです。ほぼOKの食品であっても、消費者は、ほんの0.1%でも不安を感じたら買ってくれません。
健康被害に遭う確率は、非常に低い。
ただちに健康被害に遭うことはない。
落ち着いて行動して下さい!!
と政府やマスコミが言えば言うほど、消費者心理は不安になります。人間ドッグのレントゲンよりリスクが小さい、と言っても、結局他の産地の野菜を買ってしまいます。
現地の方は、原発以前に地震の被害も受けていて助けて欲しい所なのに、今度は消費者から見捨てられる、というのは、さらにお辛いと思います。
BSEの時も、結局全頭検査によってしか安心を確保できませんでした。安心アピール・安心宣言より、具体的な行動=検査でしか、不安という怪物は抑えこめません。そのBSEの全頭検査には大変な経費がかかりますが、現在までも続いています。
あの時のことを思い出していたら、茨城県つくば市の「ホテルグランド東雲」のⅠ社長からメールが来ました。自主的に放射能測定をした、というのです。
「私どもは、農産物のメイン仕入先である「みずほの村市場」さんの主催した、「放射能測定会」に参加してまいりました。その結果、現在弊社でご提供させていただいているすべての農産物が、国の定めるところの基準値である2,000ベクレル/㎏以下であったことを確認いたしましたのでご報告いたします。これからも今回のような「測定会」に積極的に参加し、安全で安心なおいしい「地元つくば」のそして「茨城」の「農産物」をご提供してまいります。」
Ⅰ社長は、地元茨城の農産物や御酒に、ことのほか力を入れておいででしたので、今回のことは、かなりお辛いだろう、と想像していましたが、凹む間もなく、行動で出ておいでとはスゴいです。
それに聞けば、4/19に「東雲」さんで開催される予定の、「茨城の日本酒の会」は、既に満員御礼なのだとか。酒以外の料理も、勿論茨城産ですが、満員だそうです。
うーん、根性あるなあ、茨城。
凹んでおれないぞ、浅草!
追伸
放射能測定の経費は、牛のBSE検査同様、公費で賄われるべきと思います。当局にご関係の皆さんのご助力を、切にお願い申し上げます。
追伸①
雑誌「ノジュール」2011年4月号に載せていただきました。「50代からの自分ライフを格好よく!」というコンセプトの雑誌です。
その「ザ・東京めし これぞ江戸の味!」というコーナーに載せていただきました。
JTBパブリッシング社より発行。定価750円だとか。
追伸②
仙台牛メニューの提供を開始しました。普段より高い値段で、お買い求めいただき、利益を被災地の畜産関連団体に贈ります。弊社も利益の一部を供出いたします。
宮城県登米市・千葉正憲牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号は03686-13232。
美味しく食べて被災地支援を!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて406連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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