君の十銭で浅草が建つ

 「君よ、散財にためらうなかれ。君の十銭で浅草が建つ」

 1923年の関東大震災の後、浅草ではそう書かれた立て看板が随所で見られたと言います。

 浅草は、実は関東大震災の最大の被災地の一つなのです。「ちんや」の店舗も、この時の火災で全焼しました。大震災の経験者でお元気な方は、もう少ないと思いますが、この時の記憶は今も浅草の街に生きていて、私が通っていた浅草小学校でも、防災教育・防災訓練が盛んだったことを思い出します。

 冒頭の「君の十銭で」の意味については、この話しを伝え聞いたという、競馬評論家の井崎脩五郎さんが「サンデー毎日」(4月3日増大号)の中で説明されていましたが・・・

 当時トンカツ定食が二十銭したと言いますので、十銭というのは大したお金ではありません。それでも浅草の商売人にとって、十銭の料理を注文する、客の声はただただ有り難く、元気が出てきて、本当にこういうことの積み重ねで浅草は立ち直っていくのだ、そう実感できたと、経験者は語っていたそうです。

 このように訪れた人が五銭、十銭と浅草にお金を落としてくれたおかげで、浅草は立ち直ったのだと思います。「自粛」をすることが、結果として被災者の為にならないことは、昔も今も変わりません。

 今回の震災で巨額の寄付をされた方もおいでだそうで、それは勿論素晴らしいですが、小額の金であっても多数の方が毎日毎日お金を使うことが、やはり大事だと分かります。

 それともう一つ、関東大震災について調べていて気付いたことの中で、残念なことも指摘しておきたいと思います。

 当事被災した直後は、デマの嵐が吹き荒れて人心がすさみました。デマのせいで復興に向かうべきマンパワーが「自警」のために投入されたのも事実です。災害の時は情報が大事だということがわかりますね。

 今回ITメデイアの発達でデマをある程度まで抑えこめていますが、まだまだ人心を不安にさせるデマが発生しないよう、皆が気をつけた方が良いと思っています。

 そのためにも、たくさんの人に「自分の十銭で」という感覚を持っていただきたいと思います。

 消費するぞ、ニッポン!

追伸①

 雑誌「ノジュール」2011年4月号に載せていただきました。「50代からの自分ライフを格好よく!」というコンセプトの雑誌です。

 その「ザ・東京めし これぞ江戸の味!」というコーナーに載せていただきました。

 JTBパブリッシング社より発行。定価750円だとか。

追伸②

 仙台牛メニューの提供を開始しました。普段より高い値段で、お買い求めいただき、利益を被災地の畜産関連団体に贈ります。弊社も利益の一部を供出いたします。

 宮城県登米市・千葉正憲牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号は03686-13232。

 美味しく食べて被災地支援を!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて404連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: ぼやき部屋,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)