経済波及効果

北海道新幹線開通のニュースと、オバマ大統領のキューバ訪問のニュースとが同時に放送されていました。

北海道の方は52年ごしの悲願で、キューバの方は88年ぶりの出来事なのだそうですが、この2つのニュース、私は似てると思うんですよね。

似てないと思う人は、1959年のキューバ革命を思い出してみて下さい。

キューバ革命で、フィデル・カストロやチェ・ゲバラらが倒したのは親米政権でしたよね。そして、この革命運動を学生や市民が支援したのは、当時アメリカ資本がキューバの経済を牛耳ってしまっていたからです。

アメリカは、目と鼻の先に在るキューバの独立を助けて以来、ここに親米政権を維持させることを国是としてきて、経済面では活発な投資活動が続いていました。「活発な投資活動」つまり、経済をアメリカにすっかり支配されてしまったことへの反感が、1959年の革命を成功させたと言って良いと思います。

で、北海道新幹線の開通ですが、「年約140億円」と言われる「経済波及効果」が曲者だと思います。

たしかに新幹線に釣られて、中央の資本家が、この地域にホテルや観光施設を開業しようとするでしょう。ちょっとしたホテルの建設費なら10億とかですから、それらを足せば140億位には成るかもしれません。

そうした資本と、地元の資本とは共存共栄が図れるのでしょうか。両方ともずっと充分に稼働して行けるんでしょうか。

やがて古臭い施設を使っている地元資本が敗北して→廃業した場合、その負債は140億から引いた方が良いと私は思うんですけど、そういう話しは聞いたことないです。

函館がキューバなら、やがて不満が溜ってキューバ革命が起きると思うのですけど、日本ですからねえ、革命を起せないとなると、地元でホテルを経営している方は、今からよほど工夫して独自性を出さないといけません。

中央の資本が作った、新しいホテルはピカピカで、悔しいことに、地元の優秀な子達を雇用するでしょう。だから新幹線開通は、地元の方にとってはチャンスというよりピンチだと思います。

「経済波及効果」、あの数字は曲者だと私は思います。

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題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

第一話は「世界に唯一の「江戸趣味小玩具」の店」(「助六」五代目・木村吉隆さん)。対談場所は「バーリイ浅草」さんです。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

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Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)