ごった煮すき焼

すき焼き思い出ストーリー投稿サイトに、東京都のヨコちゃんから新着ストーリーが届きました。

題して『ごった煮すき焼』。

時は昭和43年、学生運動真っ盛りの頃。

各地から学生寮に入ってきた若者たちがすき焼を作ろうとしますが・・・

是非お読みください。

<以下投稿です>

昭和43年のことであるから、かれこれ約半世紀前の出来事である。

私は大学に合格し故郷を後にして金沢の地で4年間すごすことになった。

貧乏学生である私は大学の寮に入った。

寮には先輩が150人位いたと記憶する。新入寮生も30人近くいたと思う。

当時は学生運動が盛んで寮にも色々なセクトの人がいた。

夜になると集会室で木刀を持った先輩が歌唱指導と称して旧制高校時代の寮歌や校歌を教えてくれた。歌詞カードだけ渡されて先輩の後について歌うのである。

メロデイーを覚えるのが大変であった。

そんな日が何日か続いた頃新入生同士で仲良くなった数人で「すき焼パーテイー」をやろうということになった。

出身地も育ちも異なる者同士だから「すき焼」についても色々な意見があった。

新潟県出身の私が「肉は豚」と言うと愛媛県出身のA君は「肉は牛だよ」、栃木県出身のB君は「肉は鳥だよ」と言う。

千葉県出身のC君は宗教上の理由で肉も魚も食べないので「どっちでもいいよ」という始末。

つけあわせにしてもA君は「もやしを入れろ」と言うし、長崎県出身のD君は「ソーメンを入れよう」と言う。

結局、皆の意見を取り入れて「ごった煮すき焼」が出来上がった。

貧乏学生には大変うまかった、と記憶している。

あれから約半世紀、北陸新幹線が金沢まで延伸したのを機に、この夏思い出の地金沢で全員集合を計画している。

半世紀振りに兼六園の琴路灯籠の前で集合写真を撮るのが楽しみだ。

<投稿終わり>

このように、すき焼き思い出ストーリーの投稿を募集しています。

すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。でも残念ながら、その思い出話しをまとめて保存したことはなかったように思います。

ご投稿くださったものは、「ちんや」創業135周年を記念して本に纏め、今後店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存させていただきます。

どうぞ、世界に一つだけの、すき焼きストーリーを是非、私に教えて下さい。

投稿〆切は9月末日です。

既にご応募いただいた、50本のストーリーはこちらです。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.948日連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)