飲むための口実
慶應義塾発行の『三田評論』には「社中交歓」という、短文を投稿するコーナーがあります。
毎月何かテーマを決めて、4人のOB・OGが投稿するのですが、だいたいテーマが軽めのお題であることが多く、文章も粋なので、私は大変楽しみにしています。ここが読みたくて広告を『三田評論』に出稿していると言っても良いでしょう。
さて今年の5月号のテーマは、
「カクテル」。
ミステリ研究者の松坂健さんが、「飲むための口実が大事」と題して寄稿しておいででした。
この松坂さんという御方、略歴を調べますと、
東京都浅草出身。1974年、慶應義塾大学文学部英文学科卒業。在学中は推理小説同好会に所属。
1974年、出版社柴田書店入社。1978年「月刊食堂」副編集長。1984年「月刊ホテル旅館」編集長。
という経歴の方です。
今の所残念ながら面識がなく、いつか御縁があったら、と思いますが、それはさて置きまして、「飲む口実」です。
松坂さんは、『大いなる眠り』(1939)、『さらば愛しき女よ』(1940)、『長いお別れ』(1953) で有名なレイモンド・チャンドラーの命日3月26日を、必ず飲む日に決めていて、飲むカクテルも義務レットに決めている、いや、ギムレットに決めているそうです。『長いお別れ』のワンシーンの通りに、です。
曰く、「小さな記念日」が必ず飲む日でもあり、また、
「カクテルは大事な人の記憶を蘇らせる妙薬なのだと思う」
とも書いておられます。
うん、これは良い考えですね。
「カクテル」を「すき焼き」に入れ替えても、まったく同じことだと私は思います。
飲む口実・食べる口実を発明する名人に成りたいものです。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.920日連続更新を達成しました。