利権と圧力
オフィス街で見かける、路上弁当販売に今秋から規制がかけられるのですが、
これについて、既得権者と役所がサラリーマンの味方をイジメている、という風に書く報道が出ています。
今回の規制強化の主な点は、
・これまでは保健所に「届け出」さえすれば誰でも営業できる「届け出制」であったが、「許可制」に変わる。
・許可を得るには「食品衛生責任者」を置くことを義務づけられる。
・許可を得るには保冷容器や保冷剤、温度計などを用意することを義務づけられる。
です。
これについて、ある報道では・・・
「資格利権」の存在がある。「食品衛生責任者」の資格認定を行なう団体の全国組織には旧厚生省出身の天下り役員がいる。」
「加えて「店舗型業者の圧力」がある。都内で営業する移動販売業者が語る。 「店舗で弁当を売る業者や地元飲食店からすると自由に動き回って商売をする業態は煙たい。これまでも保健所にクレームをつけるなどの圧力があった」
「役所と既得権を持つ業者が手を組んで、新しいビジネスを邪魔する構図は他の業界にもあり、不利益を被るのは消費者です」
さて、皆さんはどう思われますか?
私は最初、弁当業者に「食品衛生責任者」が居ないと聞いてとても驚きました。
「衛生責任者」は、料理屋には当然居ますが、コーヒーしか出さない喫茶店にも、酒と乾き物だけのスナックにも、高~い酒と高~い乾き物だけのキャバクラにも居ます。
瓶を開けて注いだだけの酒を飲み、パックを開けて皿に盛っただけの乾き物を食べるのと、色々の料理を詰め合わせた弁当を食べる方が、はるかに食中毒のリスクが高いことは、誰が考えても明らかですが、今まで責任者がいなかったのです。驚きました。
さらにですよ、それをオフィス街まで運んできて、日に照らされながら売るなんて、アンビリーバブルです、私には。
弁当業者は保冷設備とか当然のことを用意しないから安かったのであって、公正に安かったのではありません。
食中毒事例が確認されてはいませんが、なにせ移動販売ですから、無届け営業も多くて、捕捉できなかったという事情があります。
ついでに申せば、人様の土地を無料で借りているのですから、家賃を払っている固定店舗と比べて、やはり不公正に安いです。
この件を「利権」「圧力」と書くのは、そう書いている本人が「庶民の味方ぶりっ子」をして有名になりたいのだろうと考えられます。
庶民の皆さんも、ここはよくよくお考えいただきたいです。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
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