嚥下食コンテスト
「嚥下食コンテスト」というのが在るのですね、知りませんでした。
報道によりますと、その嚥下(えんげ)し易い食事のコンテストで「近江牛のすき焼き」が最優秀賞を獲得したそうです。
湖国草津市「南草津病院」の栄養科長・高嶋典子さんが開発したのだそうですが、出品された128品の中から最優秀に選ばれた、と言いますから結構難関なのですね。
「すき焼き」と申しましても、そのままでは嚥下障害のある方は飲みこめませんから、肉をミキサーでペースト状にし、アルミホイルの上に薄く広げて冷まして固めるのだそうです。アルミホイルのしわが表面に写って本物の薄切り肉のように見え、「質感が工夫されている」とか。
「近江八幡市安土町出身の高嶋さんが、お盆や正月で親戚が集まったときに食べたすき焼きの思い出から考案した」そうです。
近江八幡と言えば、滋賀県の中でも鈴鹿山系の水が素晴らしく、牛の農家さんが特に集中している辺りです。やはりお盆や正月はすき焼きなのですねえ。
で、「この日、病院の食堂で、脳梗塞の後遺症などで嚥下障害がある入院患者10人に昼食として出された。「すき焼きの味がしますか」との看護師の問い掛けに、患者たちは「はい」と答え、おいしそうに食べていた」と言います。
でも、私はこの嚥下食が、本当に美味しいのか、少し気になってしまいます。
ミキサーにかければ肉の細胞は木端微塵に粉砕されしまいます。充分に熟成させていない肉を、そうすればドリップ(=血糊のこと)が出るでしょうけど、それは捨てるんでしょうか。とっておいて凝固剤に混ぜたりしたんでしょうか。
上手くやらないと、かなり残念な味になると想像されます。衛生的に取り扱うのも結構難しいです。
そこで、ですが、これまで成形肉や加工肉に関係していた皆さんに申し上げます。この際こういう仕事のお手伝いをしませんか。
阪神阪急ホテルズ問題で、皆さんは仕事が激減して大変でしょう。偽装に関わるのなんか、もうやめにして、こういう方向のお手伝いをしませんか。
これまで私は皆さんのことを批判ばかりしてきました。肉の世界でデフレ経済を推進してきた張本人だったからです。
それに、だいたい、皆さんはこれまで志がプアでした。偽装発覚を良い機会と思い直して、新たに志を立てて出直しませんか。
障害の在る方のために少しでも美味しい肉を!なら立派と思います。
とにかく安い肉を!は、もうやめましょう。
病人なんだから、味はそこそこでOKなんだよ!って言うのは、絶対にダメです。
私の知人のお父上は、亡くなる直前に弊店の肉を食べて下さり、それまで全く食欲が無かったのに、その時だけは喜んで召し上がり、それから数日して亡くなったそうです。
知人は、最後の最後に喜んで貰えた!と私にメールをくれました。美味しい肉には、そういう力が在るんです。
成形肉や加工肉は、そもそもデフレ目的でスタートし、今回の事件で大勢の人に迷惑をかけてしまいました。
技術が高いことは知っています。大勢の人をマンマと騙せたんですからね。
出直しませんか。その技術が活かせる道も在ると思います。
追伸①
単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。
21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。
時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。
くわしくはこちら↓です。
追伸②
ビジネスマンの方を対象に、忘年会に関する意識調査を実施させていただました。
目的は、もちろん、日本の会社の忘年会を、もっとワクワクするもの、もっと意義あるものにしたいからです。
忘年会は毎年惰性でやっている…では悲しいですよね。
ビジネスマンの皆さんは、どんな忘年会なら出席したいのか、逆に、どういう忘年会はパスしたいのか、
その答えがここにあります。
この調査結果は、そのための参考にしていただきたいと思います。
会社の忘年会から、この国を元気にしていきたいと思います。
さてさて、大ショックの調査結果はこちら↓から。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.371日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。