伏流水

第15回「すきや連」を開催するため、彦根市に行ってまいりました。

激しい雨の降る日でしたが、

・中川畜産さんの牛舎見学

⇒岡村本家さんの酒蔵見学

⇒彦根の江戸時代の牛肉文化についてのレクチャー

⇒全国のすき焼き屋さんが集結しての大宴会@「千成亭」さん

⇒袋町に移動して、歌いまくりの二次会

⇒ホテルの部屋の冷蔵庫の振動がうるさくて、ほとんど仮眠のような睡眠

⇒朝食を摂りながら、次回以降についての打ち合わせ

と、ここまで怒涛の日程を済ませ、意識がボンヤリした私は、自分の部屋に帰ろうとして道を誤り、ホテルの売店に入り込んでしまいました。

そこで見つけましたのが、

「びわこ検定」の解説本。受験参考問題&解説100問収録!という本です。

そう言えば滋賀県のことも琵琶湖のことも良く存じませんし、「すき焼き通検定」の主催者としては、パスできない本です。

で、その本を購入して帰りの新幹線で読んでみますと、結構面白いネタが満載です。

なかでも、私の興味をひきましたので「水系」でした。

前日の宴会の最中にも、中川畜産さんから、

水系によって牛の肉質に違いが出て来る、

という話しを聞いていたからです。

中川さんが力説するのは、

鈴鹿山脈を水源とする川の流域で育った牛は、肉質が良い

ということです。

たしかに、

・愛知川(愛知郡、東近江市)

・宇曽川(愛知郡、彦根市)

・日野川(蒲生郡、近江八幡市)

・野洲川(甲賀市、湖南市、野洲市、栗東市、守山市)

の流域が「近江牛」の本場と重なりますね。

大きな川にはたいてい「伏流水」が在るので、中川さんの牛舎でも井戸を掘ってそれを牛に与えています。

うーむ、これは牛の見方に、新しい視点が出来ました。早速、中川さんに連絡をとって、今後の研究テーマに加えることにしました。

だいたいですよ、昨今は行政主導で農産物のブランドを造ることが多いですが、行政域と、こうした天然の地質とは合致しないことが多いので、そこに、そもそもの無理が在る、と私は見ています。

それだから苦し紛れに「ゆるキャラ」を造って宣伝しようとかしてしまうのです。無駄ですなあ。

実は「松阪牛」も元々は「雲出川以南、宮川以北の地域」という流域のブランドでした。松阪市役所の行政のブランドだと信じていた方! その知識はアバウト過ぎます。

たしかに「松阪肉牛協会」の会長職は、充て職のように松阪市長が兼任するのが慣例ですが、松阪市以外からも牛を出して来たのです。

ところが「平成の大合併」の結果、「雲出川以南、宮川以北の地域」の小さい町村が松阪市以外の市と合併してしまったりして、現在はヒジョーに分かりにくく成っています。

「松阪牛」とは、ただ「松阪牛個体識別管理システムに登録している牛をいう」としか定義できないのが現況です。流域ブランド・水系ブランドとしての特色が、行政の都合で歪められないか、私は心配しています。

逆に、近江に関して申せば、エリアが広すぎて特色が出しにくい所を私は心配しています。

農産物を考え・取り扱う場合は、もっと水系とか、自然の地質に則して考えていただきたい、そこを強く要望したいと、私は思います。

追伸①

単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。

21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。

時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。

くわしくはこちら↓です。

追伸②

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

皆様も、是非御参加下さい!

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.250日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

Filed under: すきや連,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)