交付を受けられる事業者

 東日本大震災の被災地で再建を目指す中小企業に、公的な支援が届かない。

 そういう事例が少なくないと、報道で知りました。

「福島県浪江町の請戸(うけど)漁港近くの「鈴木酒造店」は11月下旬、山形県長井市に移って酒造りを再開した。」

「酒蔵も商品も津波で流され、経営者の鈴木大介さん(38)の自宅は全壊。福島県内では一時的な再建場所を見つけられず、「いつかは浪江で」との決意を胸に、長井市の酒蔵を買い取ることにした。」

 おお、偉いです。

 ところが・・・

「酒蔵の改修や貯蔵用タンクの購入も含めて1億円強かかる。しかし(中略)補助金を受けられるのは、県内で再建する事業者だけ。福島県が設けた上限3000万円の補助制度も対象外で、結局、銀行から融資を受けるしかなかった。鈴木さんは「誰のための公的支援なのか」と、ため息をつく。」

「交付を受けられる事業者は6割程度。公的支援を受けられる条件が実情に合っていないため、申請さえできない事業者もいる。」

 なんということでしょう!

 馬鹿げています、実に。

 この規定を作った人間の、発想方法を疑います。

 思い出しますのは、福島県酒造組合が昨年秋に「セルリアンタワー東急ホテル」で開催した、試飲会のことです。

 「鈴木酒造店」の御主人は、酒瓶を手に独り舞台に登り、復興への決意を語っておられました。津波と原発事故で二重に被災しながら、また立ち上がらんとする、人間の精神力というものを、目の前に目撃して、心の奥底から感動しました。

 それなのに、そういう方に、この国が救いの手を差しのべないとは!

 最近、日本人であることが、ときおりイヤになります。

 いえ、正確には、日本国政府の下に居ることがイヤになります。 

 大政奉還した方が良いかもしれませんね。天皇家に。

追伸

  毎日新聞社発行の毎日ムック『100年の味 店100選』に載せていただきました。有難いですね。2012年1月12日発行。是非お求め下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて684日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)