国分町

 今、仙台が復興景気に沸いている、と大晦日の読売新聞が報じていました。

 東北随一のネオン街・国分町の飲食店は、連日大賑わいで、売上げが前年の2割増し、という状況が続く店も多いそうです。

「震災前より景気がいいのよ。復旧作業で全国から、建設や土木関係や不動産関係、保険関係者とかが来ていて、お金はかなり落としてくれているかな。それもキャッシュで。震災直後は、“これからどうなるんだろう”って途方に暮れたけど、今はちょっとしたバブルね」(飲食店経営者)(=平たく言うとママさん)なんだそうな。

 店内では作業服のままで繰り出して来た客が目立つとか。

 笑えたのは、そうした客を接客するコツが、やはり読売新聞に報じられていたことです。「震災の時に、どうなさっていましたか?と切り出すようにしています」(飲食店関係者)(=平たく言うと、お姐さん)

 客の中には、単にお姐さん達と仲良くするだけでなく、東北の日本酒を飲んで支援しよう、という奇特な方もいるらしく、それは大変結構な話しです。

 ただ、そこに書いてある「飲食店」というのは、全ての飲食店ではないと思います。新聞は風俗店も「飲食店」と表現しますが、立派な御料理を出す御店の方は、ここに書いてあるような景気とは聞いておりません。少なくとも、私は。

 復旧関係者は、仙台へ遊びに行っているわけではなく、昼間は仕事です。ハードな仕事で、夜遅くまでかかるのでしょう。そのハードな仕事が終わって、寝る前にクールダウンしたいから、夜更けて繁華街に行くのだと思います。嫁さん・子供は東京ですしね。

 そういう状況ですので、彼らが向かう「飲食店」とは、立派な御料理を出すお店のことではないと思っています。

 潰れてしまった店もあります。

 帝国データバンク仙台支店の発表によると・・・

やはり「国分町で高級料亭などを経営する「銀たなべ」が事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。」

「東日本大震災の影響で一時、全店営業停止を強いられ、売り上げが急減したことが響いた。負債総額は約5億円。同社は1949年に創業。国分町や周辺で日本料理店などを展開し、地元では高級料亭として知られた。」

とのことでした。お気の毒なことです。

 今の復興景気で儲かった人が、本格的日本料理を食べて下さると良いのですけどね。

 「ちょっとしたバブル」をバブルに終わらせないよう、消費する側もそれを受け取る側も、お金の使い道を、よくよくお考えいただきたいものです。

 しっかり考えて消費してね、お姐さん達。

追伸

  毎日新聞社発行の毎日ムック『100年の味 店100選』に載せていただきました。有難いですね。2012年1月12日発行。是非お求め下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて683日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「すき焼き思い出ストーリー」のサイトは、こちらです。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています

Filed under: すき焼きフル・トーク,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)