とりあえずビール
新年会シーズンですね。
とりあえずビールで乾杯!
という場合が多いと思います。
その「とりあえずビール」が廃れつつある、という話しを耳にします。
「とりあえず」では、ビール関係者の皆様やビールさん御本人に失礼ではないか!態度を改めるべきだ!という理由で廃れつつある、わけでは勿論ありません。
もっと違うものを最初から飲みたい、という方―特にそういう若い方が増えているそうなのです。
その気持ちは分かるけど、最初の一杯位は、皆と同じにしたら良いのに!と私などは思いますが、了見が狭いでしょうか。
先日、ある「打ち上げ会」をすることになり、15人ほどで飲みに行った時に、こんなことがありました・・・
仕切り役の幹事さんは、もう夜も遅いし、とにかく早く乾杯して盛り上げたいので、
ビール以外の方はいますか〜?!
という注文の採り方をしました。いちいち個別に注文を採ったら時間がかかって盛り下がりますからね。そうしましたら御一人だけが、店員さんにビールの銘柄を聞いて、別の銘柄を注文しました。
私は、その方はひょっとしたら、そっちのビールメーカーさんと御取引きがあるのかと思い尋ねてみましたが、そういうことではなく単に「お好み」のようでした。
うざっ!
と口には出しませんが、内心私がそう思ったことを、ここに言明いたします。
最初の一杯位は、皆と同じにしたら良いのに!と思いました。心が狭いもんですから。
ところが、です。最近の状況=「とりあえずビール」が廃れつつある状況は、そういうことでもないのだそうです。単に「お好み」の話しではなく、アルコールに弱い方が増えているようなのです。
ビールのアルコール度数は、たかだか5%であって、12%のワインや15%の日本酒より、かなり低いです。だから、酒に弱い方でも、とりあえず乾杯だけは参加できるはずです。
ビールはこれだけ度数が低いのだから、誰でも少しは飲めるよね。だから乾杯位は全員が同じ物を飲んで、グループの一体感を深めようね。というのが「とりあえず」の真意だと私は思っています。
勿論、一体感という意味では「とりあえず御酒」の方が、さらに望ましいです。日本酒業界の方は口を揃えて、そうおっしゃいます。
フクシマ第一原発が出来て、運転を開始した時の祝いの乾杯は日本酒で行ったようですね。テレビで見ました。GE社から派遣されて来たらしき、アメリカ人技術者も、酒の試飲会で見かけるような、大振りの猪口を手にして乾杯に参加していました。
同じ日本酒で乾杯することが、日米関係技術者の一体感を深めたと想像できます。その後の事態はさて置きますが。
しかし、ここでネックになるのは、やはり度数です。5%のビールでも「・・・」という方が増えている状況では、15%の日本酒はキツいですね、ゼンゼン。
そう言えば去年「大震災6カ月―全ての食材を東北から集めた、住吉史彦の会!」を開催した時は「とりあえず御酒」で乾杯しました。東北の蔵元さんが3社参加してくれたからです。
そうしましたら、会が終わった後、いつもなら二次会に行くような面々が「帰る・・・」とおっしゃいます。
どうかしました?と尋ねますと、
いやあ、酔っ払っちゃってねえ、えらく・・・
ということでした。
翌日のフェイスブックでも、
住吉さんの会は最高だったけど、酔っ払ったなあ、最初から日本酒はキツかったなあ。
というコメントが書いてありました。
なるほど、そうでしたか・・・
要するに「とりあえず御酒」はもちろん「とりあえずビール」すら危ういので、日本酒業界の方は、低アルコールのものを開発するよりないかもしれません。
でも、そういうのはおいしくないんですよね。「低アル」飲料は、そもそも飲めない人に飲ませる飲料なので、甘くしてあったり、酸っぱくしてあったりします。
嫌いなんですよね、個人的に、そういう「御子様テイスト」の酒が。これまで「いいね!」というのにお目にかかったことがありません。
だから、私個人の会は、今後も「とりあえず御酒で乾杯!」しますね。
最近は、加水してしない「原酒」が出回っていて、あれは美味しいですよね。
度数は18%とかですけど、あれは美味いですから、ああいう御酒で乾杯しましょう。
うーい、ひっく。
追伸
毎日新聞社発行の毎日ムック『100年の味 店100選』に載せていただきました。有難いですね。2012年1月12日発行予定とか。是非お求め下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて679日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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