愛嬌・能書き・ベネフィット

 商売をしていくには、愛嬌と能書きとベネフィットが大事と思います。

 まず「能書き」ですが、これは言うまでもなく、どういう食材をどう味付けていくか、あるいは料理以外の面で違いを出すか、とにかく他の御店との間に「差異性」があるようにしていくこと、それを言っています。

 これが無ければ商売が成立しませんので、大事です。

 「ベネフィット」とは、とっつきにくい言葉ですが、お客様にとっての良い事、を言っています。

 例えば、御家族三世代のお食事であれば、お孫さんの笑顔をお爺ちゃん・お婆ちゃんが見て喜ぶことがベネフィットです。

 あるいは、外国からゲストが見えて、食事をご馳走する場合であれば、その外人さんに日本贔屓になっていただくことがベネフィットです。このベネフィットこそが商売することの目的であります。当然大事です。

 で、最後になりますが、愛嬌も大事です。

 愛嬌がないと、能書きやベネフィットを、私たちが主張しても聞いていただけません。

 どうも、いろいろな不祥事や事件のせいで、我が国の人々は疑り深くなってしまいました。ですので、普通に語っていても、信用していただきにくくなっているように思います。

 そこで! あることを思いつきました。

 組織ぐるみで愛嬌を出す方法を思いつきました。

 それは、「個人情報名札」。

⇒これを皆が付けて接客します。

 個人情報と申しましても、まあ、どうでも良い情報ばかりです。

「実は高校のテストで0点をとったことがある」とかそういう事は載せてありません。載せているのは・・・

 ペットの犬の種類とか、

 好きなテレビ番組とか、

 肉以外の好きな食べ物とか、

そういうことばかりです。

 そういう情報を氏名よりデカく載せてあります。たまに内容を更新します。

 どうです、下らないでしょう。

 でも、これで組織ぐるみで強制的に、御客様に親しんでいただけるものと確信しています。「愛嬌出し」を個々人の個性に依存するのでなく、こういう仕組みで創り出すわけです。

 もちろん親しんでいただいた上で、語らせていただきますよ、能書きを。

 「この前ね、浅草の「ちんや」の人にね、肉のことを色々教えてもらったわけよ。たしかね、ダックスフント飼ってる人だったよ。でもね、そのワン子になつかれてないんだって、おかしいよね。え?その人の名前?覚えてないなあ。」

と御客様に言っていただけたら、大成功です。

 え?私ですか?そりゃ、私も付けてますよ。

 <住吉史彦の個人情報>

 好きな食べ物:鰻、天麩羅、焼き鳥

 誕生日:1965年12月3日生まれ、巳年、ペガサス

 血液型:B

 役職:六代目店主

 最近の仕事:すきや連、すき焼き通検定試験、すき焼き川柳オンTwitter

 趣味:ブログ(23年3月1日より毎日更新中!)

追伸

 11/27に第五回「ちんや」すき焼き通検定試験を実施します。

 年内最後の検定です。今年の内に、「自称すき焼き通を、公認すき焼き通に!」

詳しくは、こちらです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて627日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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天麩羅の幸せ

 私の好きな食べ物は=鰻、天麩羅、焼き鳥です。勿論「すき焼き以外では」という前提ですが。

 最近ミシュランで評判の寿司が入っていませんね。寿司も勿論大好きですが、温度のないものなので、寒い季節には、やはり揚げたての天麩羅、目の前で焼いた焼き鳥に吸い寄せられてしまいます。

 食べ物の温度は、その食事の「幸せ感」に直結する、と私は思っています。

 でも電子レンジや電化調理器具による熱はNGです。電子レンジは、食べ物の分子だけを熱くするので、まわりの空気にあまり変化がおきません。それが「幸せ感」につながらない理由だと考えています。

 料理の作り手の「おいしいものを作りたい」という気持ちが、温度というカタチで、食べ手へと、空気を経由して伝わるのが、「幸せ感」の重要な要素だと思っています。

 東電さんがPRするところによりますと、オール電化厨房にすれば、器具からの放熱がとても小さいので、「涼しい厨房」を実現できると言います。厨房と言えば、灼熱の汗みどろの職場というのが相場ですから、「涼しい厨房」に心惹かれる気持ちは、まあわかります。

 でも、なんか幸せっぽくない感じがします、私には。

 そんなことを考えていたら、おいしい天麩羅を、その御店の御主人と一緒に食べる機会に恵まれました。新宿「つな八」の御主人C村さんの「揚げ揚げ会」が、それです。

 それはそれは美味しく揚げられた天麩羅が次々に出て来て、最高でした。

 でもこういう場合に心配なのが、自分の消化力。調子に乗って食べ過ぎて、後でイタい目にあったことが何度もあります。

という話しをしましたら、御主人が用意して下さったのが・・・

 大根ジュース。

と申しますか、要するに、大根おろしをおろした時にできる汁のことです。ここには消化酵素のジアスターゼが含まれています。ジアスターゼと言えば、有名な胃腸薬の『タカヂアスターゼ』でおなじみですね。

 しかも聞けば、大根ジアスターゼは1905年(明治38年)に、日本人が発見したのだそうな。素晴らしいです。

 それが「つな八」さんの裏メニューなのだそうです。御蔭様で、心ゆくまで堪能できました、天麩羅を。

 温度とともに、下着まで油くさくなりましたが、それが「幸せ感」の重大要素と言うものです。

 Banzai 天麩羅。

追伸

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敷居

 11/17(木)放送の、NHKの番組「ブラタモリ」で「ちんや」が紹介されました。皆様ご視聴ありがとうございました。さて、

 「ちんや」さんは敷居が高い、と若い人から良く言われます。

 敷居ってなんですかね。良く使う言葉ですが、明確な意味を聞いたことがないです、そう言えば。

 単純に@単価のことかと言うと、そうでもないようです。

 「ちんや」は安くはないですが、馬鹿高くもないです。「ちんや」より単価の高いイタリアンが、若い女の子でいっぱいだったりすることがありますから、単純に単価@のことではないですね。

 では、「何か特別のチャージがあるに違いない」と心配なさっているのでしょうか。

 たしかに、ご奉仕料はいただいていますが、500円ポッキリです。昼なら400円です。

 料理代、飲み物代とご奉仕料以外は何も請求しません。

 御酒を持ち込めば、持ち込み料がかかりますが、10ml=10円という、とても安い持ち込み料です。フルボトルで@10.000円のワインを持ち込んでも、750円しかチャージされません。

 別に怖がることはないですよね。

 次に考えられるのは、「店のルール」でしょうか。「暗黙のルールがあって、それを知らない客は叱られる」とでも心配なさっているのでしょうか。

 そういう御店もあるにはあるようですが、「ちんや」は、そういうことは考えておらず、守ってもらいたいのは、常識的なことばかりです。

 「予約をしたら、その時間に来て欲しい」とは勿論思っていますが、それは「店のルール」じゃあなくて、世間のルールですよね。

 個室を使える時間は2時間30分、というような「ちんや」独自の決め事もありますが、口頭やサイトやチラシに記載して、事前におわかりいただくようにしています。怖がるような話しじゃあないですよね。

 では「すき焼きや肉の知識が浅いと店内で馬鹿にされる」とでも心配なさっているのでしょうか。

 あり得ませんよ。少なくても、店の側からそうすることはないです。

 勿論、知識をつけていただきたいのは当然で、そのために「すき焼き通検定」とかやっていますが、馬鹿にすることはありません。

 知識が浅い人でも、おいしく食べていただければ、店の人間は喜びます。そんな単純なもんです。

 知識が浅い人を馬鹿にするのは、むしろ、その人と同席した、年配のお客さんでしょう。

 それだから、キミは、ひよっ子って言うんだよ! 

と先輩のオヤジから言われて、ウザっと思った若い女性は多いかもしれません。若くて女でも、良い大学を出ていて⇒やる気に燃えていて⇒こんなオヤジに負けるもんか!と思っているのに、小娘扱いされたら嫌でしょうね、それは。

 そういう女性に申し上げます。

 若い男とつきあいなさい!

 若いカレシは、食べ物の薀蓄なんて知らないでしょう。キャリアを重ねて、修羅場をくぐり、その間に薀蓄もつけたオヤジに比べたら、ガキに見えて物足りないでしょう、カレシは。

 でも貴女と一緒に食事をする間に、カレシに薀蓄をつけさせれば良いんじゃありませんか。

 オヤジに見下されて、嫌な気分になり⇒「敷居が高い店!」なんてことはつまらない話です。

 カレシと来れば、低いですよ、「ちんや」の敷居。

追伸

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菓祖神

 福島県郡山市の蔵元・笹の川酒造さんが東京に御用事があったとかで、そのついでにお立ち寄り下さいました。

 で、いただいた手土産が「薄皮饅頭」。

 土産が饅頭というのは、珍しくはありませんが、包装紙に書かれている記事を読んで、

 へえ、知らなかった!!

 郡山には「菓祖神 萬寿神社」というのがあって、その例大祭のことは「まんじゅう祭り」と言うそうです。

 この御社がお祀りする三柱は、と申しますと、

・林浄因命=中国から日本へ初めてお饅頭を伝えた祖神。

・田道間守命=日本のお菓子の原点、橘(=みかんの原種)を伝えた果実とお菓子の祖神。

 それから、

・初代本名善兵衛命

 ?! なんか3番目の神様だけ、人間っぽいですね。

 それも、そのはず。

 この人は、薄皮饅頭をこの世に送り出した人で、この、いただいた饅頭メーカーの初代なのです(!) しかも年代は幕末と言いますから、最近です。

 人間が神に昇格したのは、菅原右大臣、神君家康公、明治天皇、それに浅草神社の三柱くらいかと思ってました。

 うーむ。

 じゃあ、オレ様もなれるわけだ。

 六代寿喜焼貴命・・・

追伸①

 本日11/17(木)放送の、NHKの番組「ブラタモリ」で「ちんや」が紹介されます。

 と言っても、すき焼きの話ではなくて狆の話し。今回のテーマは「江戸の動物」なのです。私も撮影されましたが、果たしてオンエアされるのか・・・

 放送時間は、午後10時からです。

追伸②

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知り合いかも?

 11/15は七五三でした。浅草の街を歩いていたら、和服を着せられた、ゴールデン・レトリーバーに遭いました。

 げっ、最近は犬も七五三をするんだ! さて、 

  フェイスブックの「知り合いかも?」というページを開けると、なぜか美女のアイコンが並んでいますよね。

 その美女と私には、共通の友達が○○人いて、それは△男さん、□夫さん・・・と書かれていて、たしかに△男さん、□夫さんは、私の知人なのですが、本当に△男さん、□夫さんは、その美女と親しいのでしょうか。

⇒?です。

 フェイスブックは実名性が高いですから、うっかり個人情報を世間に知らせると、美女の場合、ストーカーが付く心配があります。お綺麗な方がフェイスブックをする場合に、顔写真は無しにするか、御顔が見えない写真にしているケースが結構あって、私の知人の中にも、そういう方がおいでです。

 一方、顔写真がばっちりニコやかで、微妙にセクシーだったりする女性もたくさん出ておいでです。しかも、それが私の友達の友達だとは・・・

 変ですねえ。

 たしかに自分の友達欄に、美女を並べたい男性の気持ちはわからないでもないです。でも「ファンである」程度の御縁を「友達」って言うんですかね。

 また友達の数を1.000人とかまで増やして、それを自慢したいセクシー美女の気持ちも、わからないでもないです。まあ、優れた点があれば、自慢したいのは人情ですからね。男どもから友達申請が右派右派いやウハウハと来れば、それは気分良いでしょう。

 でも私は、フェイスブックは原則、「リアル友達ベース」でさせていただいています。

 私が写真に撮られて⇒タグづけされるのは、たいていへロへロなところですからね。

 そういう次第ですので、あしからず。

追伸①

 明日11/17(木)放送の、NHKの番組「ブラタモリ」で「ちんや」が紹介されます。

 と言っても、すき焼きの話ではなくて狆の話し。今回のテーマは「江戸の動物」なのです。私も撮影されましたが、果たしてオンエアされるのか・・・

 放送時間は、午後10時からです。

追伸②

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夜一番

 11/14は酉の日でしたので、夜一番の「酉の市」に出かけました。

 「夜一番」で、誤りではありません。

 鷲神社の「酉の市」は、夜中の0時に始まり、次の夜中の24時に終わるので、0時にお参りするのが一番なのです。

 実は、この前日「湖彪会」の若手・Tさんが滋賀県から上京して見えました。

 滋賀県の、二条彪先生の門下生グループである「湖彪会」さんと、我々台東区の「台彪会」は、今年の9月から交流をスタートさせています。そのメンバーの方が見えましたので、まず弊店で台彪会の有志と食事をしていただきました。

 で、終わりましたのが、夜9時。

 でもここで終わるはずもなく、場所を移して呑み直し。あっと言う間に、夜も更けて11時に。

 それで、どうせここまで遅くなったのだから、もう少し粘って、「酉の市」に出かけよう、という話しになりました。

 11時半に二次会の店を出て、神社へ着くと、既に結構な人数が開門を待っています。

 今回は日曜の夜中に始まる「酉の市」でしたので、「人出が寂しいかも」と想像しましたが、余計なお世話だったようです。

 やはり「台彪会」の、三益酒店さんS姉妹とも偶然合流して行列。

 しばし行列する間に目に入ってきますのは、協賛の提灯です。

 中でも「浅草今半」さんと「米久」さんの提灯がたくさんあって目立ちます。

 「台彪会」幹事長のGさんから、

 来年は「ちんや」さんも張り合って提灯出さなきゃあ!

とハッパをかけられました。

 うーん、でも鷲神社は場所的に、国際通りの「浅草今半」さんや、ひさご通りの「米久」さんのテリトリーなんですよねえ。棲み分けしてるわけですね、一応。

 それはさて置き、私はこの、

 浅草で食事⇒二次会⇒移動⇒開門を待って、夜一番の「酉の市」

という展開をオススメさせていただいています。

 今回の二次会は、浅草の居酒屋でしたが、神社付近には屋台も出ていますから、そこで二次会でも良いでしょう。

 近年温暖化のせいか、夜中でも寒くないので、いい感じですよ。

 オススメしておきます。

 なお「三の酉」は11/26(土曜)です。金曜の夜中から土曜の夜中までですので、混み合うと思います。

 お出かけになるなら、お早めに。

追伸①

 11/17(木)放送の、NHKの番組「ブラタモリ」で「ちんや」が紹介されます。

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 放送時間は、午後10時からです。

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一人前

 本日は、鷲神社の「酉の市」の日です。是非お出かけいただき、浅草の冬の風情をお楽しみ下さい。夜中の12時までやっています。さて、

 最近料理屋の会合に出ますと、

 一人前注文して下さらない御客様が多い!(怒!)

という嘆き・ボヤキを耳にします。

 実際、鰻屋に入って鰻を食べず、天婦羅屋に入って天麩羅を食べず、枝豆とか適当な酒肴を取るだけの人が結構いるのだそうです。驚きです。

 料理屋の商売は面積商売ですので、売上を産むはずの席が、一人前注文して下さらない人に占領されるのは、当然イタいことです。

 この状況、なんとかならないものか、と皆さんが言い募りますが・・・

 無理でしょうね。

 私自身も、忘年会が終わった後、仲間ともう少し話したくて、二次会でチェーンの居酒屋に行った時は、一人前注文しないと思います。

 だから、両方同じ料理屋じゃないか、なんで一人前ずつ注文できる料理屋と、一人前ずつ注文できない料理屋が存在するんだ、おかしいじゃん。一人前の注文を強制する権利なんて無いはずだけど。

という意見に有効に反論できないのが悔しいところです。

 どうやら、そういう場合の注文の仕方が、居酒屋だけでなくて、全体の標準に成ってしまっているようです。入り口にパソコンを置いておいて、「一人前ずつ注文します」というボタンをクリックしないと中へ入れないようにしておかない限り無理でしょうね。

 でも面積のことは、この際置いておきます。それよりも・・・

 お客様は、自分の店の料理を楽しみにいらして⇒おなかを減らしてきて下さるはずだ、という気持ちが裏切られることの、気持ちの面でのダメージの方が痛いです。

 鰻屋の店員に向かって、

 今日は、おなかが空いてないから、鰻は要らないんだ!

と言い放つことは、カノジョとデートするために会っておいて、

 今日は、キミと色々話したりするような気分じゃあないんだ!

と言い放つようなもんです。

 じゃあ、なんでここに来たのよ?! アタシだってヒマじゃあないのよ。さようなら。

と言われても仕方ないと思いますよ。

 この話しを、権利・義務とか、そういう発想で捕らえると、とても虚しいと思います。

追伸①

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ジビエ

 ジビエがブームだそうです。

 ジビエとは地冷えする寒い気候のこと、では勿論なく、野生の動物や鳥を狩って、それを食べる料理のことです。

 最近北海道では野生の鹿の数が増えてしまい、里へ降りて来て畑を荒らすので、それを駆除しないといけなくなっているそうです。駆除するには猟友会のメンバーを動員して、撃ってもらうわけですので、経費がかかります。

 で、地元では撃った鹿の肉を売って、その経費を少しでも回収することを思いつきました。そのために食肉処理場を整備したりしているそうです。それで、東京にも鹿肉が出回るようになった次第です。

 ところが、です。私が最近ジビエを食べた御店のシェフによると、そういう肉は臭みがあって良くないのだそうです。

 その説明を以下にしますが、少し残酷な流血話しなので、読みたくない方は今の内に「戻る」ボタンをクリックしていただきたいです。

 さて、動物を撃つ時、頭や脊髄を一発でしとめれば、動物の苦しみは小さいです。しかし、他の部分を撃ったりしてしまうと、動物はもがき苦しみます。これが味に影響するわけですが、駆除活動の場合は、能率的に多数をどんどん駆除するのが、本来の仕事ですから、あまり丁寧に照準を定めたりしないことがあるそうです。

 また銃撃後なるべく早く食肉処理すなわち=血を抜いて皮や内臓と分離しないと味が落ちるのですが、駆除の場合は、いちいちそうした処理をせず、後でまとめて行うようです。

 そうした肉は美味しくなく、そういうものをジビエだと思ってしまっている方が多いようなのですが、その御店のシェフ=「コジト」のYさんは、そういう状況を嘆いて、自分で猟に行くことにした、とのことでした。

 自分で山に入り、丁寧に銃撃し、丁寧に食肉処理をするのだそうです。スゴイです。

 結果、私も臭みのほとんど無い鹿肉をいただくことができました。

 そういう話しを、シェフはニコニコと語ります。ところが同行した仲間の中には、こうした流血話しが得意でない方もいらして、さらに猟や食肉処理の様子を撮影したアルバムも拝見したので「・・・」となってしまった方もいらしたようでした。

 私はどうか、と申しますと、牛の食肉処理の様子は見学済みですので、まあ免疫はあります。

 牛の味の良し悪しが、処理の手際次第で変わってくるのは、野生の鹿とまったく同じです。ただ、牛の場合は野山で牛を撃つわけではなく、と畜場の中で、牛を固定した状態で撃つわけで、また食肉処理も即座に行われるわけですので、ジビエのように大きな差が感じられることが少ない、ということです。

 全ての牛や鹿が成仏してくれることを願うばかりです。アーメン。

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嵌め込み

 「取材」「リサーチ」ということで、様々な方が私のところへお見えになります。

 勿論有り難く、ほとんどお断りすることはないのですが、見えてから、

「・・・」ということもあります。

 それは「取材」「リサーチ」というより「嵌め込み」とも言うべきケースです。

 何に何を嵌め込むのか、と申しますと、

 ご本人が描きたいストーリーに、

「ちんや」を嵌め込むわけです。

 この場合、たいていは先方の説明や語りが、やたらと長くて、ほとんどこちらは「ちんや」のことを説明しない、というやりとりになって行きます。だから次第に「嵌め込み」の方だな、と分かります。

 つまりは、その話しに「ちんや」を登場させる許可を取りに見えただけなのです。

 それでも、まあ、たいていはOKを出します。

 弊店の営業姿勢や私の価値観と、根本的に違っていれば、勿論NGですが、そういうことはそれほど多くないので「・・・」と思っても、最終的にお断りすることは、それほど多くはありません。

 ありがちなのは、現代の「食」の状況に、批判的な気持ちを持っていらして、その批判を軸にストーリーを組み立てたい、そしてそういう流れに抗している店として、「ちんや」を登場させたい、という展開です。

 私も現代の「食」の状況については「?」と思うことが多いので結構とは思います。でも現代文明批判がベースですから、その批判の範囲が広い場合には不都合も生じます。

 「文明批判の店」の主人つまり私が、パソコンとかネットとかツイッターとかフェイスブックとかをやっていると、盛り下がってしまうのです。

 使えるものは使ってますので、私。

 機械に人間が使われるのだけは避けたいと思っていますが、自分のやりたいことの道具として、ネットが有効であれば使っています。

 テレビや雑誌に出てきた私を見て、ホンモノと少し違うなあ、と思う時がありましたら、まあたいてい、それは「嵌め込み」仕事の結果です。

 それに比べてネットは自由に、自分の好きなことを書けるので、そういうわけで、やっぱり今後もご愛読下さい、弊ブログを。

 ヨロシクです。

 追伸①

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通信販売

 とある大手の通販カタログを見ていて、あれ! と思いました。

 とある個人経営の、小所帯の老舗料理店の惣菜が載っていたからです。それを冷凍の状態で通販するとか。

 ほお、そんなことやっておいでだったんだ! 人は見かけによらないなあ。

と、いうことで注文して⇒届きまして⇒イヤな予感。

 まず記載されている「製造者」が別の会社です。会社名は、勿論ここには書けないので、仮称で「ザンネン食品株式会社」とでもしておきましょうか。

 ちっ! 要するにOEM生産か。

 でも、パッキングのロゴや、シンボルマーク・色づかいは、その老舗さんのイメージそのままです。「製造者」の項目を見落とせば、人はその老舗さんが造ったものと信じるでしょう。

 解凍しつつ、さらに詳しくパッキングの記載を読もうとして、私の目は点に。

 冷凍だから食品添加物は控えめと予想していたのですが、以下そのまま転載しますが・・・

「牛肉、ビーフエキス、乳たん白、粉末卵白、食用油脂、粉末状大豆たん白、でん粉、還元でん粉糖化物、佐藤いや砂糖、食塩、更新料いや香辛料、パン粉、でん粉、小麦粉、米粉、大豆油、果糖ぶどう糖液糖、湯種、ショートニング、パン酵母、醗酵調味液、食塩、ソース(野菜、果実(トマト、りんご、にんじん、たまねぎ))、砂糖類(砂糖、果糖ぶどう糖液糖)、醸造酢、食塩、コーンスターチ、マスタード、加工でん粉、調味料(有機酸等)、酵素、酸味料、増粘多糖類、着色料(カラメル、ターメリック)、参加防止剤いや酸化防止剤(VC)」

・・・うおお、激しいです。

 たまたま、この前の日に、取材で私を訪ねて見えた、食文化研究家の先生が、この老舗さんを褒めておいででしたので、私は余計ブルーな気分になりました。実際、御店自体は良い感じなのです。でも見えないところで丸投げ生産をやっておいでだったとはねえ。

 さてこの添加物の大名行列を見て、私はこの食い物を食べることを躊躇しました、とても。 

 しかし食べないといけません。美味しいかもしれないからです。体をはってでも、味を確認するのが、私の務めというものです。

 で、結果ですが、

 残念の極み。

 ああ、八百万の神々よ、この食い物を許し賜うのか。

追伸①

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 と言っても、すき焼きの話ではなくて狆の話し。今回のテーマは「江戸の動物」なのです。私も撮影されましたが、果たしてオンエアされるのか・・・

 放送時間は、午後10時からです。

追伸②

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