レンタル着物

 七五三のシーズンですね。

 この時期に活躍するものはなんでしょう? それは・・・

 レンタル着物。

 弊店でも小さなお子さんの可愛らしい、着物姿を見かけます。

 思えば、レンタルというのは便利なものです。是非使ってみたい物だけど、ごくたまにしか使わない物を、購入せずに借りる、というのは合理的です、至極。

 でも、手放しで「レンタルいいね!」というわけにはいかないようです。

 レンタルとは要するに使いまわしですから、容易に洗えて、汚れが付きにくい着物でないといけません。だからどうしても、洗い易い生地の着物に、偏ってしまうようです。

 そのせいで洗い易くない生地の生産は、細る傾向にあると聞きました。その生地がとても良い素材であっても、「レンタル向きでない」という理由で、細る傾向にあるとか。

 これは、とても残念なことです。 

 私は、日本文化の特徴の一つに「マテリアルへのこだわり」があると思っています。陶芸などが、その典型例と思います。だからレンタル向きでなくても、良い生地は頑張って生産してもらいたいと思っています。

 ところが、一生に一回しか着ない着物のマテリアルに、客がこだわって借りるわけもなく、どうしても「洗える着物全盛」となっています。

 さらにもう一つ申しますが、日本文化の特徴として、「骨董品の使いまわし」があると思います。使ったことによって生じた汚れ自体を面白がる、という発想です。典型例は茶道の御道具です。

 そう思えばこそ、洗える着物全盛は残念ですね。

 着物レンタル業界の方が、七五三や成人式、卒業式といった行事を盛り上げて下さっていて、我々は、そのオコボれに与る立場ではあるのですが、やはり残念は残念ですね。

 で、ご提案なのですが、

 レンタルではなく、分割払いにしたら、どうでしょう。

 短大の卒業式の袴は、短大が購入して所有するようにして、支払いを数年単位の分割にするのです。そうすれば着物業者側の売上は、レンタルの時とさほど変わりません。もちろん、保管の契約はします。

 品物は良い生地を使い、洗えない袴で良いのです。ある年の卒業生のPA子ちゃんが、その袴を汚してしまっても、それを面白がって使っていくのです。PA子ちゃんと親しかった、一学年下のBU子ちゃんが、あえて立候補して、その汚れた袴を着たら、先輩=後輩の絆が深まり、一生忘れられない卒業式になると思います。

 七五三さんの着物は、やや難しいですが、町会で所有してはどうでしょう。

 去年は7番地の喫茶店の娘のDON子ちゃんが来て→コーヒーで汚した着物を、今年は8番地のお好み焼き屋のPON子ちゃんが着て→ソースで汚す、という塩梅です。

 どうでしょう? ど素人考えですが。

追伸

 11/27に第五回「ちんや」すき焼き通検定試験を実施します。

 年内最後の検定です。今年の内に、「自称すき焼き通を、公認すき焼き通に!」

詳しくは、こちらです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて614日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)