ギリシャ国債

 ギリシャの財政破綻が回避できそうで、まずは結構なことでした。

 ギリシャ政府が国債の返済を出来なくなると、その国債を持っている世界中のたくさんの人が破産するとかいう話しでしたが、そうはならずに済むらしく、金融関係の皆さんも、ひと安心でしょう。

 でも皆さん「?」と思いませんでしたか。なんでまた、ギリシャの国債を世界中の人が持ってるんですかねえ?

 普通の会社が社債を売り出す時は・・・

 我が社の発展のために、これこれこういう設備を購入したい!

⇒その設備を導入すれば、売上が、これこれこの位増えるに違いない!

⇒だから我が社の社債を買っていただきたい!

という筋道ですよね。

 ところがギリシャ政府の場合は・・・

 選挙の時に与党を支持してくれた連中を公務員として雇って、たいして働かなくても給料を支払いたい!

&脱税して税金を払わない国民に課税せず、このまま生活させて行きたい!

⇒だから、我が国の国債を買っていただきたい!

という筋道なんですよね。なんでまた、そういう国債を世界中の人が、好き好んで持ってるんですかね。不思議です。

 実は、明治時代のことを調べると、日本も無理無理にたくさんの国債を発行したことがありました。

 それは、日露戦争。

 この戦争は軍事的にも冒険でしたが、財政的にも冒険で、つまりはカネが無いのに戦争を始めてしまったのです。国民に税金をかけましたがそれでも足りず、ロンドンで国債を売ろうと考えます。

 ロシアに勝ちたい!

⇒だから、我が国の国債を買っていただきたい!

という筋道ですね。

 そのために派遣されたのが、後に「ダルマ宰相」と呼ばれようになる高橋是清でした。

 しかし高橋が営業して回っても、日本国債はサッパリ売れませんでした。英国は日英同盟の仲間でしたが、日本に投資して損をするのはイヤですから、買い手は多くありませんでした。

 その時、ひとりのユダヤ人の大富豪が現れて、日本国債の大量買い入れを申し出ます。この大富豪の御蔭で日本は戦争を出来たとすら言えます。

 彼は、ロシア皇帝が領内で多くのユダヤ人を虐殺しているのを憎んでいて、日本を支援しようとし、その手段が国債の買い入れだったのです。

 そして、彼の望みは達成されました。

 他にも、最近こういう事例もあります・・・3年前のことですが、台東区役所が樋口一葉を顕彰する「一葉記念館」の建物を建て替えるために区債=「一葉債」を売り出したところ、発売初日で売り切れたそうです。

 こういうのを「住民参加型地方債」と言うそうで、結構なものと思います。

 一方のギリシャ国債は、チト志が足りなかったんじゃあないですかね。

 あ、でも日本人がギリシャを笑えるかどうかは微妙です。笑うのは、これから売り出す「復興債」をしっかり売ってからですよね。

 さて現代の財務省に高橋是清はいるのか・・・

追伸

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Filed under: 憧れの明治時代 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)