リスク管理

 今日は「鷲神社」の「酉の市」の日です。「三の酉」で、しかも土曜ですから混み合いますよ。早めにお出かけを。さて、

 読売新聞に、文化功労者で元・産業技術総合研究所・化学物質リスク管理研究センター・センター長、元東大教授の、中西準子先生が連載をしておられます。まだ始まったばかりですが、納得度が高いので、毎日読んでいます。

 中西先生のご専門は「環境リスク学」。環境リスクについては、リスクの程度を可能な限り定量的に評価・比較し、いたずらに危険性を騒ぎ立てるのではなく、それをもとに合理的な対策をとるべきであると主張されています。

 そのためのリスク評価手法の確立に尽力され、文化功労者にまで成られました。

 原発もそうでしたが、世間には「絶対安全」の神話が流布されることがあり、そうした「安全標榜はうそが多い」、と先生は断言しておられます。「ウソ」と言い放つところが痛快です。

 「私には安全なんて証明できないという感じがあった。リスクというのはある程度許容しないと、結局、全体としてリスクが大きくなりますよ、ということが私の研究の出発点なんですよね。(中略)安全を標榜するとリスクがゼロと言っているようで、嘘みたいで嫌だと。結局みんな隠すことになるじゃないですか。」

 それで、原案では「化学物質安全研究センター」という名前だったセンターを「化学物質リスク管理研究センター」に変えさせて、それからセンター長に就任したそうです。

 先生は、このように「安全の標榜には嘘」をお感じになる一方、危険を強調しすぎるのも問題、と指摘しておられます。

 昨今の放射線の記事でも、

 「こんなに危険、日本の食材」

 「食べてはいけない危険な食材」

とかいう見出しの記事の中に、基準値を超えた産地と一緒に、大きく下回る産地がリストUPされていたりします。その見出しの枠で採り上げられてしまったら、もう全て食えなくなってしまいます。

 ゼロ以外は全て危険という発想は、困りますね。

 記事を読んでいて「大変だなあ」と思いますのは、こういうお考えの方には、味方が少ないそうです。

 「絶対安全」派からも「ゼロ以外は全て危険」派からも疎まれます。

 若い頃、物議を醸す研究を発表した時は、東大の中で阻害され、長期間助手の地位にとどめられたこともあったそうな。

 私などは、つくづく日本人は怖がり方が下手だと思ったりしますが、先生は、そういうことではなく、リスク評価をキチンと提示すれば、日本人も正しく怖がるようになるハズだと書いておられます。

 是非、そう願いたいものです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて633日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)