ジビエ
ジビエがブームだそうです。
ジビエとは地冷えする寒い気候のこと、では勿論なく、野生の動物や鳥を狩って、それを食べる料理のことです。
最近北海道では野生の鹿の数が増えてしまい、里へ降りて来て畑を荒らすので、それを駆除しないといけなくなっているそうです。駆除するには猟友会のメンバーを動員して、撃ってもらうわけですので、経費がかかります。
で、地元では撃った鹿の肉を売って、その経費を少しでも回収することを思いつきました。そのために食肉処理場を整備したりしているそうです。それで、東京にも鹿肉が出回るようになった次第です。
ところが、です。私が最近ジビエを食べた御店のシェフによると、そういう肉は臭みがあって良くないのだそうです。
その説明を以下にしますが、少し残酷な流血話しなので、読みたくない方は今の内に「戻る」ボタンをクリックしていただきたいです。
さて、動物を撃つ時、頭や脊髄を一発でしとめれば、動物の苦しみは小さいです。しかし、他の部分を撃ったりしてしまうと、動物はもがき苦しみます。これが味に影響するわけですが、駆除活動の場合は、能率的に多数をどんどん駆除するのが、本来の仕事ですから、あまり丁寧に照準を定めたりしないことがあるそうです。
また銃撃後なるべく早く食肉処理すなわち=血を抜いて皮や内臓と分離しないと味が落ちるのですが、駆除の場合は、いちいちそうした処理をせず、後でまとめて行うようです。
そうした肉は美味しくなく、そういうものをジビエだと思ってしまっている方が多いようなのですが、その御店のシェフ=「コジト」のYさんは、そういう状況を嘆いて、自分で猟に行くことにした、とのことでした。
自分で山に入り、丁寧に銃撃し、丁寧に食肉処理をするのだそうです。スゴイです。
結果、私も臭みのほとんど無い鹿肉をいただくことができました。
そういう話しを、シェフはニコニコと語ります。ところが同行した仲間の中には、こうした流血話しが得意でない方もいらして、さらに猟や食肉処理の様子を撮影したアルバムも拝見したので「・・・」となってしまった方もいらしたようでした。
私はどうか、と申しますと、牛の食肉処理の様子は見学済みですので、まあ免疫はあります。
牛の味の良し悪しが、処理の手際次第で変わってくるのは、野生の鹿とまったく同じです。ただ、牛の場合は野山で牛を撃つわけではなく、と畜場の中で、牛を固定した状態で撃つわけで、また食肉処理も即座に行われるわけですので、ジビエのように大きな差が感じられることが少ない、ということです。
全ての牛や鹿が成仏してくれることを願うばかりです。アーメン。
追伸①
11/17(木)放送の、NHKの番組「ブラタモリ」で「ちんや」が紹介されます。
と言っても、すき焼きの話ではなくて狆の話し。今回のテーマは「江戸の動物」なのです。私も撮影されましたが、果たしてオンエアされるのか・・・
放送時間は、午後10時からです。
追伸②
11/27に第五回「ちんや」すき焼き通検定試験を実施します。
年内最後の検定です。今年の内に、「自称すき焼き通を、公認すき焼き通に!」
詳しくは、こちらです。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて620日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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