常連さん
先日「ちんや」と同じ雷門通りにある、鰻「やっこ」の御主人と話していたら、永年御店へ通って下さった、常連さんが最近お亡くなりになった、ということでした。
永いおつきあいだったのだそうで、さぞ残念なことと思います。お悔やみ申し上げます。
聞けば、一代で世界に製品を輸出する会社を興した、やり手社長なのに、そのことを知らなければ、そうはゼンゼン見えないお爺ちゃんだったとか。
その話しを聞きながら思ったのですが、その世代より下の世代になるにつれて、お客様と店のつながりが、だんだん希薄になってきているような気がします。
その原因はハッキリしています。
インターネットで店を選ぶからです。
インターネットのランキングで店を選ぶからです。
以前インターネットがない時代は、店選びの原則は口コミでした。
口コミの場合、特定の個人の主観に左右されるので、ランキングより不確実のように見えます。しかし昔は、自分の舌と自分の目で、店の好悪を判断できる、大人のお客様がたくさんおいででした。
だから特定の個人であっても、そういう方に問い合わせれば、実は結構確実に良い店が選べたのです。
そして、そうした問い合わせを繰り返している内に、問い合わせていた側の人も、自分の舌と自分の目で、店の好悪を判断できるようになっていくのが通例でした。
そういう場合、
お客様「○○さんに、この店のことを聞いて来たんですよ!」
店の人「ああ!○○さんのお知り合いでしたか!」
というやりとりがあったものです。今時は、そういうやりとりが減ったように思います。
「ランキングで上位だったから来ました!!」じゃあねえ、主体性無しと表明しているようなもんですからね。あまりそうは仰らないですよね。
そもそものキッカケがそんな調子なので、今時は常連さんへと発展しにくいのだと思います。
もちろん、それでは寂しいので、「ちんや」メンバーズ・カード会員様には、「記念日割引」の制度を作ったりして、なんとか距離感を埋めようと工夫しています。
「○○さんに、この店のことを聞いて来たんですよ!」
の一言を、飲食店はとても喜ぶものだ・・・そのことを知っていて損はしませんよ。
追伸
義捐金込み価格の仙台牛メニューを提供してまいりましたが、めでたく完売いたしました。ご注文いただいた皆様に御礼申し上げます。収益は被災地に贈ります。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて437連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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