面倒なこと、すき焼き鍋の洗い方

 「ちんや」の精肉売店で、すき焼き用の鍋を販売することになりました。既に1個売れました。

 すき焼き用の鍋を売る、と聞いて、

 それって鉄鍋でしょ、取り扱いが面倒なんじゃないの!

と思う方がおいでと思います。その疑問にお答えします・・・

 そうなんです。面倒です。しかし、その面倒なことをしていただきたいんです!(絶叫)

 ここでお尋ねしますが、お子さんあるいはお孫さんのお誕生日とか、正月に親戚が集まるとか、そういう機会に、ご自宅ですき焼きをする場合に、鍋はテフロン鍋でおやりになりますか。よくテレビの通販で「この鍋で、なんとギョーザも焼けます!」などと宣伝している、あれをお使いになるのでしょうか。

 テフロンなら、ほぼ何も手入れをしなくて済みますね、たしかに。でも、たまの機会に、ご家族の思い出に残るすき焼きをなさるなら、わざわざ「ちんや」で買ってきた、専用の鍋を使ってみてはどうでしょう。

 取り扱い方法については、弊店で独自にマニュアルを作り、プリントしてありますので、それを差し上げます。このマニュアルこそが、むしろ、鍋本体より「売り物」と言えるかもしれません。その「ちんや」のノウハウを手に入れることで、ご面倒でも、本格的なすき焼きがご自宅で出来るのです。そこに価値がある、と申し上げたいと思います。

 せっかくの、記念日の食事であれば、買ってきた惣菜をチンして並べるだけではなく、是非、お父様がこのマニュアルに従って、ご家族のために、鍋の手入れをしていただきたい、そう思っています。

 そう思いながら、酔狂にも、

 面倒なことをしていただきたいんです!と言いながら、鍋を売っていきたいと思っています。

 だいたい、この世の中を、これ以上便利にしてどうするんでしょうか。

 今の世の中、いつでも駅ビルで惣菜が買えたり、夜中でも24時間ラーメン屋が営業していたりします。そういう営業の影では、たくさんの消費期限切れ食品=ゴミが発生するわけですが、便利さを求める中で、忘れられてきました。

 なんか、食べ物の有り難味が本当に薄いですよね、今時。

 お父さん達にお尋ねしますが、それで良いんでしょうか、本当に。

 たまには、お父さんが一生懸命鍋を洗う姿を、お子さんに見せることを通じて、食べ物の有り難味を知らせても良いのではと思います。ちんや店主敬白。

追伸

 義捐金込み価格の仙台牛メニューを提供してまいりましたが、めでたく完売いたしました。ご注文いただいた皆様に御礼申し上げます。収益は被災地に贈ります。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて436連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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Filed under: すき焼きフル・トーク,食育ナウ — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)